ベルリンで生きる女性たち

宮沢香奈

400
Photo by Saki Hinatsu
plan01_shobaleaderone_20170317

ドイツ・ベルリンを心から愛し、ファッション、アート、ビューティーの世界で実力を発揮し、たくましく、そして、とても楽しそうに生きている日本人女性二人にスポットを当て、対談形式でインタビュー。

EU離脱という衝撃的なニュースは未だゴールが見えていない。しかし、ロンドンに住む外国人が一気にベルリンに注目し始めたのは事実だ。理由はロンドンと似ていてエキサイティングだから。それには全く持って同意出来ない。イーストロンドンが好きでクラブカルチャーが好きならベルリンのことも好きになるかもしれない。

しかし、それ以外において、ヨーロッパを代表するメトロポリス、ロンドンと似ているところなどあるのだろうか? ファッションにおいては表向きは未だ雲泥の差である。ロンドンに限ったことではないが、大都市からやってきた人がベルリンに辟易して去ってゆく姿を何度も目にしている。どこまでも続く灰色の空、灰色の建物、身なりに無頓着な人々。一度では絶対に分からないその背景に見え隠れする特別な価値観に気づき、その中で自分の居場所を見つけることが出来た人にしか住めない街なのだ。

そんなベルリンを心から愛し、ファッション、アート、ビューティーの世界で実力を発揮し、たくましく、そして、とても楽しそうに生きている日本人女性二人にスポットを当て、対談形式でインタビューさせてもらった。

ベルリンで生きる女性たち”シリーズ第三弾となります。是非ご覧ください!!

Interview:山根裕紀子 × 坂入小百合
(インタビュアー:宮沢香奈)

ベルリンで生きる女性たち Part.3
左から:山根裕紀子、坂入小百合

インタビュアー宮沢香奈(以下、Kana) 二人とは仕事やプライベートでもコンタクトを取らせてもらってますが、ベルリンに移住した経緯とか聞いたことなかったのでまずその辺りから教えてもらえますか?

山根裕紀子 / Yukiko Yamane(以下、Yukiko) 私は2012年に移住してきたのでもう5年目です。やばいですね! (笑)。実はベルリンにはそれまで一度も来たことなくて、ロンドンとブライトン、大学時代に留学セミナーで2週間滞在したオックスフォードだけだったんです。もともとUKロックが好きでHMVでバイトしてたので、お金を貯めてはロンドンへ行ってました。

坂入小百合 / Sayuri Sakairi(以下、Sayuri) ロンドンのイメージすごいある! なんでロンドンに移住しなかったんですか?

Yukiko 私の年からワーキングホリデーが抽選になったんですよ。

Kana あー! 通称“宝くじ”!? あの制度って2012年からだったんですね。逆にそれまでってどうゆうシステムだったんですか?

Yukiko 新年だったかな? 聞いた話なので詳しいところまでは忘れちゃったんですが、受付開始日になったらインターネットで申請するんです。でもサーバーがものすごい混雑状態になってるから、早いもの順で運良くアクセス出来た人だけが取れるようになってるんです。だからワーホリを狙う人は家族友達全員とかでネットカフェに行って、受付開始になったら一斉に申し込みをするんですよ。もう必死ですよね。あー、今年もダメだったって肩を落として帰るんです(笑)。

Kana イヤだな、そんな新年(笑)。では、Yukikoちゃんは本当はロンドンに行きたかったんですね?

Yukiko そうですね。知り合いもいるし、好きな音楽のジャンルやカルチャーもそっちでしたし。でも、好きなアーティストさんがロンドンよりベルリンの方がいいよって言ってたのをフッと思い出したんです。そこからネットで調べ始めたんですけど、当時は情報があんまりなくて、そこにワクワクしたんですよね。正直、ロックだとドイツ=メタルのイメージが強かったですし、テクノとかクラブミュージック系に特に興味なかったんですけど、大学卒業後に海外で生活したいっていう思いが強くて。とにかく行動力だけはあったので、思い切ってベルリンに来ました。

Kana 今ほど情報がなかったっていう話は良く聞きますね。

Sayuri 私は2014年の6月に移住してきたんですが、その時でもあんまり情報なかったですよ。

Kana え? 私と一緒の時期ですね! もっと前だと思ってました。

Sayuri あ、そうなんですね! その前は、Lim Hairというサロンで大阪で4年半、東京に異動して3年半美容師をやってたんです。サロンで何か撮影が入った時にヘアメイクとして現場に行ってた感じですね。ベルリンには、4、5年前に旅行で来たことがあったんですけど、海外に出てみたいって思った時にあまりロンドンとかパリっていう考えがなかったんですよね。何となくベルリンの方が美容に関してもっと冒険が出来ると思ったんです。“髪の毛? 自分で切ってるけど?”って人とか多そうぢゃないですか?

Yukiko & Kana 確かに!! (爆笑)。

ベルリンで生きる女性たち Part.3

Sayuri 美容師とか求められていないからこそ自分で自分の価値とか美容の可能性とかを発掘したかったんですよね。ベルリンへ来て正解だったなって今は思っています。

Kana なるほど。今ってどこかのエージェンシーに所属しているとかではなく、完全にフリーランスですよね? それでこれだけ多くの仕事をこなしてるってすごいですよね?? Sayuriちゃんの活動を見ていて、もうガンガンやってるから勝手に4、5年は住んでいるんだと思ってました。どうやって仕事を取ってるんですか? 自分のブック(作品)持って営業したりとか? 日本の仕事も多いですよね?
 
Sayuri 営業はやったことないんですよ。自分の仕事ぶりを知ってくれてる知り合いのアートディレクターやフォトグラファーから声をかけてもらって仕事することが多いですね。日本の仕事もドイツ人のアートディレクターの方が日本での仕事が多くて、もともとベルリンにいたフォトグラファーの方と撮影する時に呼んでもらったりしてます。

Kana 日本、というか、東京だったら他にも山ほどヘアメイクさんがいるじゃないですか? 英語を話せる人もいるし。そういった中でわざわざベルリンから呼ばれるってすごいですよね。センスだけでなく、信頼とかチームとしてやりやすいとか絶対にあると思うんですけど、何か心掛けてることとかってあるんですか?

Sayuri 絶対にノー! って言わないことですかね。例えば、日本での仕事が入った場合、まずスケジュールを聞かれるじゃないですか? ディレクターに“この間撮影があるんだけど、日本にいる? ”って聞かれたら、たとえ帰国の予定がなくても“いる!”って言って帰っちゃう。それぐらい日本での仕事はやりたいし、帰らない理由はないですから! 私、ベルリンに来たばかりの時、知り合いが2、3人ぐらいしかいなくて、今考えたら、本当にどうするつもりだったんだろう? ってぐらいノープランで、どうやって生活してくの? って思ってたんです。それで、とりあえず、仕事よりまずは友達をいっぱい作ろうと思ったんですよ。だから、あらゆるオープニングパーティーとか人が集まるところに顔を出してたんです。そこで知り合ったのが、今一緒に仕事をしているアートディレクターとかなんです。

Sayuri’s work

ベルリンで生きる女性たち Part.3
Reality Studio2017ss
Art direction by simple society
Photo by Joji Wakita
ベルリンで生きる女性たち Part.3
左:MIYAO 2017ss
Photo by Joji wakita
右:Ragne Kikas by yohjiyamamoto
Art direction by simple society
Photo by yosuke demukai

宮沢香奈(Kana Miyazawa)

宮沢香奈(Kana Miyazawa)

フリーランスライター/コラムニスト

長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。 セレクトショップのプレス、ブランドディレクターを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積む。2012年頃からライターとして本格的に執筆活動を開始し、ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーを取材するなど活動の幅を海外へと広げる。2014年に東京からベルリンへと活動拠点を移す。現在、Qetic,VOGUE,繊研,men's FUDGEなどで連載を持ち、多くのファッション誌やカルチャー誌に寄稿している。また、国内外のカルチャー情報&体験を提供するアクティビティーコマースBANANAにて、現地ガイドを担う。

Qeticの最新情報をチェック!

友だち追加数