tofubeatsがメジャー3作目となる最新作『FANTASY CLUB』を完成させた。DreamAmiや小室哲哉、KREVA、くるりの岸田繁を筆頭にした豪華ゲストを多数迎えて完成させた前作『POSITIVE』から一転、今回のゲストはKANDYTOWNのYOUNG JUJUとsugar me、そしてコーラスで参加した中村佳穂のみ。全編にはtofubeatsのボーカル曲やビート曲を中心に据えた、まるで手作りで大切に作られた小品のような世界が広がっている。とはいえ、インタビューでも語ってくれている通り、彼がこのアルバムで表現していることは、大枠では『First Alubm』や『POSITIVE』といったメジャー移籍後の2作とも繋がっている。この『FANTASY CLUB』は、tofubeatsがこれまでの作品でも一貫して表現してきたポップ・ミュージックの魅力を、メジャー移籍後の2枚とはまた違う角度から覗いてみた作品なのだ。その制作過程について、そして今の彼が思うポップ・ミュージックについて聞いた。

Interview:tofubeats

今回のアルバムって、実は『POSITIVE』よりもポジティブなアルバム

今のtofubeatsが思うポップ・ミュージックとは?『FANTASY CLUB』インタビュー interview_tofubeats_1-700x467

——去年SKY-HIさんとの対談の進行をさせてもらったとき、「次のアルバムはメジャー移籍後の2枚とは少し違う雰囲気になるかもしれない」と話してくれたのを覚えているんですが、実際に今回の『FANTASY CLUB』はよりメロウでパーソナルな雰囲気の作品になっていますね。この変化は、どんな風に起こったものだったんですか?

メジャー・デビュー作の『First Album』のときは、そのときやろうとしたことが綺麗にできなかったかなという気持ちがあったんですけど、次の『POSITIVE』ではそれができた感覚があって。だから、次はそういう「(楽曲ごとに豪華な仕掛けを用意して)パワーを積み重ねて作っていく作品」ではなくて、「アルバムらしいアルバムにしたいな」と思ったんです。あと、『POSITIVE』のときに入れなかったトラックがあって、それが今回の“FANTASY CLUB”と“OPEN YOUR HEART”なんですよ。この2曲にスポットライトを当てたいなとも思っていたので、それで作ったのが今回の『FANTASY CLUB』です。だから今回は、アルバム1枚を通して何かを揃えるということを意識しました。タイトルも全部アルファベットの大文字に統一して、MVの雰囲気も統一して、ゲストの人たちも本当に少なくなったんです。

——ポップに弾けたアルバムを2枚作ったからこそ、次は違う雰囲気のものも作ってみようと思えたということですね。

そうですね。今回のアルバムって、実は『POSITIVE』よりもポジティブなアルバムだと思うんですよ。「明るい作品を作らないと聴いてくれないな」ではなくて、「こういうものも聴いてくれたらいいな」と思えるようになった。これは、自分ではすごい成長だと思うんで。

——そもそも『POSITIVE』というアルバムは、「ポジティブな作品」ということではなくて、「ポジティヴに“なりたい”」という気持ちで作られた作品でした。

当時は「メジャーでやっていけるんだろうか?」という恐れのような気持ちがあったんです。でも、結果として『POSITIVE』ですごく綺麗なアーチを作れたんで、今回はそれとは違うものにしようと思えたというか。それで、『First Album』の中で焦点を当てなかった要素にフォーカスして、メジャーで大きくやってみよう、という気持ちになったんです。