キュートなルックスと裏腹にブルーズへの愛情に基づいた音楽性と確かな技術で話題を呼び、2016年にミニアルバム3部作の完結編となる『ORB』をリリースすると、2017年に入ってもチャラン・ポ・ランタンの“ほぼ”フルアルバム『トリトメナシ』やペトロールズのカバーアルバム『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?』に参加するなどますます活動の幅を広げている兵庫県出身のシンガーソングライター/ギタリスト、Rei。彼女の自主企画ライブ<Reiny Friday -Rei & Friends- vol.6>が渋谷duoで開催された。

Live Report:<Reiny Friday -Rei & Friends- vol.6>
2017.03.24(金)@shibuya duo MUSIC EXCHANGE

【ライブレポ】Rei、ジャンルを超えたセッション。土岐麻子と生み出した魅力的なケミストリー music_guitarei_12-700x1050

この<Reiny Friday -Rei & Friends>は彼女が世代もジャンルも越えた様々なゲストを迎えて行なっているセッションライブ・シリーズ。これまでにもiri 、SPARKS GO GO、BOMI、住岡梨奈、NakamuraEmiといった様々な面々を迎え、『雨が降る夜。せっかくの金曜日なのに外に遊びに行けない。そんな時は友達を呼んでJAMするよ! 君も遊びにおいでよ。』というテーマに沿って、その日だけのアットホームなセッションが繰り広げられてきた。第6回目となる今回のゲストはシンガー土岐麻子。Reiのサポートを務めるドラムの片山タカズミ、ベースの玉木正太郎も土岐麻子との関係が深いため、両者のファンにとって嬉しいスペシャルなステージとなった。

会場には天井からカラフルなアンブレラがつるされ、BGMとして雨の音がきこえる中、まずはピンクの衣装に身を包んだReiが登場。弾き語りでイベントのテーマ曲“Rainy Monday Blues”をしっとりと披露する。続いてバンドが登場すると、まずは2ndミニアルバム『UNO』の楽曲を次々に披露。“Black Cat”や“JUMP”ではパワフルなドラム、グルーヴィなベースに乗ってReiのギターが火を噴き、ポップな“Love Sick”ではホイッスルも使って会場を盛り上げる。

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Rei “JUMP” (Official Music Video)

と、ここでReiが誰もが馴染み深いギター・リフを弾き始めると、そこにバンドの演奏が加わってビートルズの“Birthday”のカヴァーに突入! これは恐らく土岐麻子が直前に誕生日を迎えたことにひっかけているはずで、そのアウトロで土岐麻子をステージに迎え入れると会場は大きな拍手に包まれる。お互いの演奏をきっちりと分ける対バン形式ではなく、Reiのライブにゲストがふらっと遊びにくるような雰囲気がこのイベントならではだ。

【ライブレポ】Rei、ジャンルを超えたセッション。土岐麻子と生み出した魅力的なケミストリー music_guitarei_5-700x466 【ライブレポ】Rei、ジャンルを超えたセッション。土岐麻子と生み出した魅力的なケミストリー music_guitarei_15-700x466

そしてここからは、土岐麻子が自身の楽曲をReiやバンド・メンバーとともに披露するセッションタイム。まずはReiのなめらかにグルーヴするギターに乗せて“BOYフロム世田谷”を披露すると、土岐麻子からReiとの出会いが明かされる。Reiは学生時代、土岐麻子のライブに向かい、挨拶したことがあったという。そのときにドラムを担当していたのが、今はReiのサポートドラムを務める片山タカズミでもあった。「夏だったんですけど、大きなTシャツの裾をぐにぐにしながら『すごくよかったです』って言ってくれて、それがすごく可愛くて」と土岐麻子が当時の思い出を語ると、Reiも恥ずかしそうに笑ってみせる。

土岐麻子 / 「BOYフロム世田谷」PV

しかしその数年後、同じ事務所になった2人は土岐麻子の台湾ツアーにReiがギタリストとして参加したことで初共演。そしてReiのライブでの共演は、今回が初めてとなる。Reiが「本当に、本当に嬉しいです。」と伝えると、メンバー全員で土岐麻子の最新アルバム『PINK』から“脂肪”を披露。ピアノやホーンの音色がエレガントに響く原曲の雰囲気を損なうことなく、Reiがギターで横ノリの心地よいグルーヴを紡いでいく。続いて前述の台湾ツアーでも演奏した思い出の曲“Kung Fu Girl”ではReiのギターが原曲とはまったく異なるロック色の強い魅力を追加。都会の洗練された女性を思わせる土岐麻子の楽曲に新しい魅力が加えられていく。“Gift~あなたはマドンナ”でも間奏でReiのギターがさく裂し、ジャムセッションのような雰囲気でライブは一度目のピークを迎えた。

土岐麻子 / Gift~あなたはマドンナ~

土岐麻子がステージを去るとまた雨の音が会場に流れ、Reiが“Cinnamon Girl”でふたたび自身のライブをスタート。ここからは後半に向け、畳みかけるように盛り上げていく。“Route 246”ではシャウトを決めてギターを弾き倒し、バンド・メンバーのソロ・パートを回して盛り上げると、続く“my mama”ではバンドの演奏がさらにタイトにソリッドになり、イントロのジャムでBPMがぐんぐん早くなった“OCD”では高速ビートに手拍子が発生。

Rei – Route 246 @ Rei Release Live“ORB”

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さらにリミッターを突き破って加速していくバンドの演奏に興奮した観客からシャウトも飛ぶ。この頃になるともはや、ライブの雰囲気は抜群の演奏力を持つバンドと彼女による怒涛のセッションだ。「終盤ですよ。もっと盛り上がれるでしょう!」と観客を煽って始まった“BLACK BANANA”もメンバーそれぞれの演奏がスリリングに絡み合い、“COCOA”で本編を終えると圧巻の演奏力とステージングにドッ! と大きな歓声が巻き起こった。

【Rei】PLAYS… BLACK BANANA @Shibuya O-nest

Rei “COCOA” (Official Music Video)

終演後も手拍子が鳴りやまず、観客の声援に応えて登場したアンコールではふたたび土岐麻子を迎えてマイケル・ジャクソンの“Human Nature”をカヴァー。この楽曲は土岐麻子が『乱反射ガール』でTRICERATOPSの和田唱とカヴァーしていることも有名だが、Reiはそのバージョンを聴いて原曲の魅力やカヴァーをすることの楽しさに気づき、それがペトロールズのトリビュート・アルバム参加時にも活かされたという。今回の披露も、Reiからのリクエストで実現したものだ。ここではReiのギター1本に2人で歌声を乗せ、アコースティックな雰囲気のカヴァーを披露。そして最後は再びバンドを迎えて出演者全員で披露した“Oo-Long-Cha”を会場全体で合唱して祝祭感いっぱいの中でステージを終えた。

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Reiの楽曲は、音楽ファンを唸らせるものでありながら、同時にモダンなポップ・ミュージックとしての魅力も大切に加えられている。だからこそ、ジャンルを越えて様々なゲストとコラボレーションする<Reiny Friday -Rei & Friends->では、彼女と出演者の魅力が掛け算のように魅力的なケミストリーを生んでいく。また、セッション・ライブならではの演奏のルーズさが心地よく全編を覆っているのは、キャリアを重ねた今の彼女ならではのものでもあるのだろう。7月には自身初となる東名阪ツアーも決定。そこではどんなステージを見せてくれるのか、ますます楽しみになるようなライブだった。

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EVENT INFORMATION

Rei Tour 2017

2017.07.14(金)
OPEN 18:30/START 19:30
Shibuya WWW X
ADV ¥3,500

2017.07.16(日)
OPEN 17:30/START 18:00
梅田シャングリラ
ADV ¥3,500

2017.07.19(水)
OPEN 19:00/START 19:30
名古屋 CLUB UPSET
ADV ¥3,500
詳細はこちら

RELEASE INFORMATION

ORB

NOW ON SALE
Rei
Tracks:
M1. Pay Day
M2. COCOA
M3. Oo-Long-Cha
M4. Route 246
M5. The Day (I Fell In Love With You)
M6. Polpetta
M7. Keep On Driving
[amazonjs asin=”B01JMONH0Y” locale=”JP” title=”ORB”]
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photo by tetsuya yamakawa