2014.10.22(WED)@カラオケ館 新宿店
Red Bull Music Academy presents Lost In Karaoke

画『ロスト・イン・トランスレーション』でビル・マーレイ扮するボブがロキシー・ミュージックを歌うワンシーンの舞台となった「カラオケ館」の7フロアをジャックし、ネット配信で「日本の音」を世界に届ける<RBMA Tokyo 2014>屈指のユニークなイベント<Lost In Karaoke>。劇中のボブは音痴だが、この日は各地から精鋭が集結!! 異なる装飾がほどこされた7フロアが同時進行で日本の今を描き出す、素晴らしい一夜になった。

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配信基地になった会場に潜入して〈Onion Records〉が陣取る3階に向かうと、シャンデリア風の照明や出演者がスーツでキメたラグジュアリーな空間でビバップにロカビリー、スカなどが融合したオリジナリティ全開のグルーヴが炸裂。一方、6階は日本のネット・レーベル〈Maltine〉と〈Bunkai-Kei〉の最強タッグ。ドリーミーなmus.hibaのセットで始まり、“インターネット”や“Sence Of Wonder”などで終始合唱が起こった三毛猫ホームレス、自身のリミックスも多数盛り込んだTomggg、鳥仕様の覆面で“I’m Coming”やtofubeats“CAND¥¥¥LAND”のリミックスを投下した次代のエースPa’s Lam System、キラー・チューン“Rush Hour”も披露した©OOLJAPANなど、注目アクトが一堂に会していて全く目が離せない。

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mus.hiba

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三毛猫ホームレス

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Pa’s Lam System

また、提灯や銭湯ののれんが飾られた和テイストの8階では、MOODMANらが“日本酒に合う”和モノしばりでプレイする<SAKE POP>を開催。邦楽曲にマドンナら洋楽のカヴァーまで盛り込んだセットは、まるで極東のパラダイスガラージのようだ。そして天井から無数のマイクが吊るされた9階には<RBMA>東京関連の海外アクトが多数登場。ブラジルのシルヴァらの他、急きょ参戦決定した〈ストーンズ・スロウ〉のジェイムス・パンツも金髪のウィッグに赤いローブでコズミックかつエクスペリメンタルなライヴを披露。その階上は日本のジューク/フットワーク・イベント<Battle Train Tokyo>がジャックし、別室でフットワーキンするダンサーと共にBPM160で10階をシカゴのゲットーに変えていく。

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シルヴァ

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ジェイムス・パンツ

そして最上階となる11階でも2014年度のRBMAのアカデミー生らがライヴを披露。中でも「ドリーミーなグライムス」とも言えるスペインのブリジット・ラヴェーヌ、モスクワのNVことケイト・シロノソヴァが素晴らしかった。

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ブリジット・ラヴェーヌ

しかしこの日最大の注目は、何と言っても関西勢が揃った5階の<West Beat Sounds>!! 00年代エレクトロ~ニュー・ウェイヴ風のトラックに雰囲気抜群の歌を乗せる∠yuLLiPPeに続いて、花束を抱えたSeihoが登場すると、破壊力抜群の“GOLD”や鍵盤を使った怒濤のインプロヴィゼーションでブチ上げたり、公開されたばかりのトロ・イ・モワの別名義レ・シンズ“Why”のリミックスを披露したりと、シルキー・タッチのエロスと頭をぶん殴られるような破壊力が同居するキレッキレのライヴを披露。“I Feel RAVE”などで最後までガンガン盛り上げる。

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∠yuLLiPPe

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Seiho

一方22:00過ぎに始まったtofubeatsは、アシッドな序盤からお馴染みオリジナル・ラブ“接吻”のリミックスなどを盛り込んで日本屈指のエディット感覚を全開にしたビート曲に繋ぎ、“CAND¥¥¥LAND”ではパラパラも披露。そして終盤はメロウなグルーヴに移行して“衣替え”でライヴを終えるも、観客の拍手が止まらず、予定時間をオーバーしてアンコールの“水星”に突入!! 神戸のカラオケボックスで生まれたこの世代屈指の名曲が時を経て新宿のカラオケボックスで演奏され、ブースは大合唱に包まれた。

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tofubeats

ちなみに、ネット配信されていない各階の空いた部屋ではアーティストがカラオケを楽しむ姿も(レパートリーはなんと“ミニモニ。ジャンケンぴょん!”など……!)。廊下にも人が溢れ、アーティストも階を行き来してライヴを楽しんでいた。RBMAのスタジオの方曰く、会場とスタジオを繋ぐシャトルバスに乗って帰ってきたアカデミー生たちは、今までのどのイベントよりも興奮した様子だったそうだ。

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様々な音楽がひとつの建物にぎゅっと詰め込まれる様子は、まるで現代のジャパン・カルチャーの縮図のよう。もしも『ロスト・イン・トランスレーション』のボブとシャーロットがカラオケでこのイベントに遭遇していたら、果たして彼らは何を想っただろう?

text by Jin Sugiyama
photo by Yusaku Aoki/Yasuharu Sasaki/Dan Wilton | Red Bull Content Pool

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