やはり、と言うべきか。当然、とも言うべきか。テーム・インパラTame Impala)の通算3枚目となるニュー・アルバム『カレンツ』の評価がとんでもないことになっているようだ。

まさかのディスコ〜シンセ・ポップ路線へシフトしたことで話題騒然な今作。かの『ピッチフォーク』では、ジェイミー・エックス・エックスのソロ作やケンドリック・ラマーらと並ぶハイスコアの9.3点で「BEST NEW MUSIC」獲得、『スピン』では10点満点中9点、さらに『Paste』では100点満点中94点……と、<グラミー賞>にもノミネートされた前作『ローナイズム』(12年)を凌ぐハイアベレージを叩き出している。間違いなく、年間ベスト・アルバムでも上位に食い込んでくるだろう。

3枚目にして最高傑作、爆誕!テーム・インパラをめぐるファミリー・ツリー music150720_tameimpala14

『カレンツ』ジャケット

パンパンに膨れ上がっていた『カレンツ』への期待値と、主要フェスでの破格の待遇

新作『カレンツ』に対する期待値は、昨年の終わりぐらいからパンパンに膨れ上がっていた。4月の<コーチェラ・フェス>ではメイン・ステージのトリ(AC/DC)前に出演、ブラック・エンジェルズが主催する<オースティン・サイケ・フェス>においては、奇跡の再結成ライヴを実現した13thフロア・エレベーターズと並んでヘッドライナーに抜擢され、その後続いたツアーでも主要フェスのほとんどで準ヘッドライナー級の待遇、単独ライヴのチケットは瞬く間にソールド・アウトを記録した。

▼Tame Impala – “Let it Happen” Live on Conan 04/15/15

イケメンもファッション・リーダーも不在(失礼!)のこのバンドが、なぜここまで世界中から熱い視線を浴び、インディ・ロック・シーンを飛び越えて愛すべき存在になったのか? それはひとえに、ドロドロとしたサイケデリアをきわめてキャッチーで洗練されたポップ・ソングに落とし込む彼らの音楽的手腕があってこそだが、その魔法のレシピを手っ取り早く知るためにも、ヴォーカル/ソングライター/マルチ奏者/プロデューサーであるケヴィン・パーカーのアタマの中を覗いてみよう。そもそもテーム・インパラは、れっきとしたケヴィンのソロ・プロジェクトなのだ。

というわけで、彼のルーツから前身・関連バンド、プロデュースを務めたアーティスト、そして影響を与えた(であろう)バンドまで、1枚のファミリー・ツリーにまとめてみた。

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