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デビュー20周年を迎えるCalmの4年計画とは

––––そしてこの4年計画の流れの中で、8月に『from my window』をリリースしますね。制作は6ケ月とお伺いしましたが、構想はいつ頃できたのでしょうか?

DJ活動もひと段落ついたと感じた時に、ずっとCalm名義の楽曲をリリースしていないと思って曲作りをはじめました。構想は昨年の夏が始まってフェスをまわりはじめた頃ですね。ピークタイムでのプレイでお客さんたちを盛り上げている時に、「こういう雰囲気もいいけど、もう少しゆったりとした、自分らしいものを作りたいな。」そう思いつきました。そこから「一年の計は元旦にあり!」という事で1月1日から制作作業にはいりました。

––––アルバム全体を通じてアコースティックベース、ピアノ、サックス、フルート……そしてパーカッションにドラムなど、生楽器の音を大切にした作品に仕上がっていると感じました。このような構成に至った経緯を教えてください。

DJをしている時に離陸から着陸までいろいろな音楽をかける中で、ピークタイムには現代のエレクトロな音楽を選曲しますが、離陸から着陸までに昔のダンスクラシックをかけると、ピアノの音色ひとつにしてもとても心地がいいんです。もちろん今のデジタルシンセでしか出せない音もありますが、やっぱりピアノやベースの音は本物の音にはかなわないんですよね。その部分を『from my window』では出して、そこに自分のエレクトロニクスが融合したら面白いものになるかもしれないと感じました。

––––多くの生楽器の音とエレクトロなサウンドの調和。制作で気を付けたことや、こだわった部分を教えてください。

みんなに演奏をしてもらう時に、いかに自由に演奏をしてもらえる環境を作れるかでしょうか。実は自分の中でキーワードがあるけど、演奏する時に窮屈にならないようにそれをミュージシャンの人たちには悟られないようにしていました。この環境はとてもしっかりと作って行きましたね。

––––大変ですけど……楽しそうなレコーディングですね。

今回は録音まで自身で全部やりましたが、演奏は信頼をおける方たちにお願いをしているので心配していませんでした。だけど逆に「マイクの位置ここで大丈夫だよな……。」とか録音部分が心配になりましたね(笑)。

––––“Cosmic Language”ではより強く生音とCalmさんのエレクトロなサウンドの調和、また旋律を感じました。

“Cosmic Language”は調和部分では特に上手にできたのではと感じています。特にグルーヴ、メロディ、音の遊び方という「音楽の楽しさ」を表現できたのではないでしょうか。さらにみなさんステレオで聴くと思いますが、3D感や奥行き感だったり、普通より左右感を感じるトリックのような遊びを入れたりしています。

––––生音が基調にある感じがしますが、エレクトロな音が軸でタスクを振っている。この新鮮な感覚がとても心地良かったです。イヤフォンとスピーカーで聴きくらべてしまいました(笑)。

どっちも面白いと思いますよ(笑)。最終的にそういう風に聴こえるように編集もしましたね。生音を生かすために自分のエレクトロニックなサウンド、音色を削る作業もしました。さらに、生音を生かすために逆に生音を削るという作業もしました。例えば全部ピアノの音だけで1曲を通してしまうとピアノの印象は薄れてしまいます。ずっとその音があると目立たなく感じてしまうので、重要な音を印象的に聴かせるためにその逆の作業をしました。

––––聴いていて心地よさを感じる中に、そのようにバランスを取る作業があるんですね。

もちろんリスナーの方は完成した作品を聴くのでどこの部分だかを探るのは難しいと思いますが……。とにかく、だらだらと聴いてしまう作品になるのはよくないと思うので、この部分に対しては気を使いましたね。

Calm-“Pinning”

次ページ:今回は作業していた時間帯の日射しの感じも反映されています。

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