普通の青春映画なら見せなくていい部分をちゃんと描こうとしていたので。
それに対してはすごく共感できました。(池松壮亮)

——高校が舞台の中で、池松さんは周りが成長していくことに悶々とする主人公=浅井由、橋本さんは彼が一目置いている幼馴染=入江杏を演じられたわけですが、役柄やストーリーに共感できる部分はありましたか?

池松 僕が通ってきた青春時代は由たちほどキラキラしてなかったし、恋愛どうこうの思い出とかなかったので、全て共感できるかと言われたら、そうではないですね。ただ、この作品はその青春のキラキラした部分だけをすくい取ったものではなかったので、役を演じるうえでの拠り所はありました。普通の青春映画なら見せなくていい部分をちゃんと描こうとしていたので。それに対してはすごく共感できました。内容は違えども、この映画で描かれているような恥ずかしかったこととか痛かったこととかそれ以上に楽しかったことも沢山あるので。

橋本 男性キャラクターに関しては、正直ほとんどわからなかったです。対抗意識で人を好きになる錯覚とかも、私にとっては全然わからない感情だから男性特有だって決めつけることも出来ないし……そういう意味では傍観していました。でも自分が演じた杏ちゃんには自分自身を寄せて見ていたので、「そういえば私も手紙好きだなぁ」とかハルちゃんとの唯一の思い出も「自分にとっても唯一の思い出ってあるな」って思ったりしました。

【インタビュー】橋本愛、池松壮亮。混沌としたこの世の中でいま思うこと、感じること interview140327_otonadrop_main4-1

——ちなみに橋本さんはヒロイン=入江杏の役作りをする上で男性からみる女の子の理想像を参考にしたとお聞きしたのですが。

橋本 監督とスタッフさんが青春について色々話し合ったみたいで(笑)。(女の子の)何にグッとくるか、あの時(青春時代)何にときめいたか、みたいに。その時に出たのが、大きいメガネとかゴツい腕時計とかメガネを上げる仕草とか……。

一同 (笑)

橋本 そうやって話し合っていく中で、それを杏ちゃんに詰め込んだんですよね。

——女性はなかなか共感できない部分だと思うのですが、それを聞いてどう感じましたか?

橋本 最初はあまりわからなかったですね。私は「もっと細いメガネかな?」と思っていたら「これで」って言ってデカいの渡されたので。ギャップがありましたね。

——池松さんはそれを見ていて、何かグっとくる部分はありましたか?

池松 いや、僕も「そうなんだ?」と思って今聞いていました(笑)。もちろん、橋本さんがやっている分にはすごく良かったですよ。

【インタビュー】橋本愛、池松壮亮。混沌としたこの世の中でいま思うこと、感じること interview140327_otonadrop_1239-1

【インタビュー】橋本愛、池松壮亮。混沌としたこの世の中でいま思うこと、感じること interview140327_otonadrop_1269-1

——今回の撮影はロケが多かったと思うのですが、ロケ地での思い出やエピソードはありますか?

池松 僕は2週間くらいずっと伊豆に行きっぱなしだったので、ありがたかったですね。すごく良い所でしたし、東京で2週間やるのとは全然違ったと思います。

橋本 良い所でしたね……あ、お寿司食べたかったですね。池松さんと前野さんが2人で行った回転寿司が美味しかったと聞いたので。でも、私は食べることが出来なかった、という思い出です。

一同 (笑)

——劇中では様々なキャラクターが出てきますが、お2人は学生時代、学校の中でどんな立ち位置でしたか?

池松 学生時代からこの仕事をやっていたので、どこかで一歩引いている部分はあったと思います。そうならないように努めてはいましたけど。

橋本 1人でいてもみんな話しかけてきてくれるから「友達いないなぁ」って孤独感はなかったです。平和主義な人が多かったですね。

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