2月20日、私の携帯に一通のメールが届いた。差出人はQetic編集部から。メールを開いてみると、そこには『UMAを捕獲。至急メールに添付された資料を確認し、青山一丁目のビル2階の会議室に集合』と書かれてあった。私は少しの時間ぽつんと自宅の廊下に佇んだが、ことの真相を把握すべく、編集部に電話を掛けてみることにした。しかし電話はいっこうに繋がる気配がない。仕方なく文章と掲載された住所を4回ほど確認し、よく分からないまま身支度を始め、よく分からないまま自宅をあとにした。
青山一丁目に向かうまでのあいだ、私は電車の中で指示通りにメールに添付された資料を確認することにした。メールに書かれている項目は複数あったが、順を追って読んでいくことにした。
情報その1:【UMAは中級ユーラシア料理と隕石を好む】
ユーラシア料理と隕石。2つについて考えを巡らせてみたが、関係性は見えてこない。その項目の下には捕獲されたUMAにコンタクトを取ったとされるT氏の証言が書かれてあったので私はそれを読んでみることにした。
「UMAは宇宙村で1万円の隕石を購入していました。その数日後、中級ユーラシア料理屋さんで再会したときに、隕石を購入した直後に風邪を引いたって言ってましたね。」
揺れる電車の中で私は家に帰って優雅に昼寝でもしようかと迷ったが、引き返すことも億劫だったので資料を引き続き読むことにした。
情報その2:【藁人形を約2年間で1000体生み出している】
T氏の証言の下にはたくさんの藁人形が陳列されている画像が貼り付けてあった。私はその画像にゾッとしながらも、大量の藁人形を眺め、もしかしたらこの中に捕獲されたUMAがいるのではないか? と予測してみたが、続くT氏の証言でどうやらそうではないことが分かった。
「UMAは感情がこもる物をいろんな人にプレゼントしたいということで、一時期たくさんの藁人形を作っていたみたいです。作り方は呪いのサイトを見て学んだそうですよ。当初はプレゼントのために作っていたそうなのですが、途中から作ることに楽しさを見いだして、ギネスにまで挑戦したらしいです。その藁人形は500円で買えたとか。そうそう、1000体作った達成感でその後なにをしていいか分からず、根本にある活動を見失いそうになったそうです(笑)。最近は、東京には藁がないということで人形はあんまり作ってないみたいですけどね。」
中級ユーラシア料理と隕石を好み、藁人形を作る。一体何を目論んでいるのか全く見当もつかなかったが、少し変わったUMAだということがT氏の証言によって分かったような気がした。しかし、次の項目を読み、私はこのUMAが更に変わっていることに気づかされるのである。
情報その3:【OKAPPAを広めている】
藁人形大量生産の他に、UMAはどうやらOKAPPAを広める活動をしているらしい。T氏の証言にあった“根本にある活動”とはこのことなのか? 証言者がT氏からb氏に変わっていることに不審感を抱きつつも、私はb氏の証言を読み進めた。
「人と目を見て話せなかったり、端っこにいきたい気持ちが強いらしいんですけど、髪型をOKAPPAにすることによってそういった後ろめたい気持ちが和らぐらしいんです。眉頭が3㎜見えるパッツンのOKAPPAが完璧だって言ってましたね。OKAPPAはダサいくらいが丁度良いとも言ってたっけ。私もOKAPPAを広める活動をUMAとしているので、昔から仲良くさせて貰ってるんです。一緒に結婚式を開いたり、舞台に上がって歌ったりしましたよ」。
このb氏の証言が確かであるならば、じつに憎めないUMAである。人と関わることに難しさを覚えながらも藁人形を作ってプレゼントしてみたり、自分が出来うる形で他者との繋がりを試みているのかもしれない。もしかしたらこのUMAは人間に対して友好的な姿勢を持ってるんじゃないか? 私はUMAに対して次第に興味に似た感情すら湧いてきていた。残す項目はあと一つ。電車は新代田を通過していた。
情報その4:【オーストラリアへ放浪しサメと戯れ、四暗刻】
新代田を通過し、目的地の青山一丁目に近づいてきたが、依然UMAの正体は謎のままであるし、Qetic編集部からの招集の意図も分からないままだった。残された資料はあと一つ。これで全ての謎が解けるのか? いや、もしかしたらここに答えはないのかもしれない。とにかく私は資料に目を通し、指定された場所に行けばいいのである。そう考えると多少気分が和らいできたので、私は最後の項目に目を移すことにした。
「なんでオーストラリアに来たのか聞いてみたら、『人間とジンベイザメが泳いでいる映像をディスカヴァリー・チャンネルで見て、これだ! と思い、来たんだ』って言ってたな。サメと泳いだら何かが見えるんじゃないかってね(笑)。それでワーキング・ホリデーを使って彼女はここに来たんだ。本当にサメとの接触をすぐに試みてたよ。でも尾ひれがないと泳げないことに気づいて、海の中で死にそうになっていたね(笑)。オーストラリアを出国する前日に、『最終的になにがしたかったんだろう…』ってぼやいてたのが印象に残ってるな(笑)。そのあとも彼女とは連絡を取り合っていたんだけど、その後、どうやら麻雀に目覚めたようでね。雀荘に通い、プロを目指してたみたいだよ。なんでも、初めてのフリーで四暗刻つもったらしいからね(笑)。好きな役は国士無双って言ってたかな。今は何してるんだろうなぁ。音楽活動には戻ったのかなぁ。」
オーストラリアに住むJ氏と名乗る人物の証言だった。いろいろと気になる箇所に突っ込みを入れたい気持ちをぐっと抑え、私は大きな手がかりにだけフォーカスした。どうやらUMAは女性であるらしかった。UMAに性別などあるのだろうか。もしかしたらUMAと書かれているだけで、その正体は我々と同じ人間なのではないか? そしてT氏の証言にあった“根本にある活動”とは、実は藁人形の制作でも、OKAPPAの普及活動でも、麻雀でもなく、音楽活動であるのではないか? ここにきて思い出されるのはb氏の証言である。舞台に上がって歌っていたという箇所が音楽活動という言葉とリンクする。電車はついに青山一丁目に到着した。気づくと私は一目散に指定された住所に向かっていた。UMAは一体誰なんだ? Qetic編集部は私に何を求めているのか?
・・・
目的地である青山一丁目のビルに到着した私は2階の会議室に向かった。Qetic編集部からのメールを再度確認すると、部屋番号は“3355411”のようだった。部屋を見つけるのに手こずっている私にビルで働く従業員は不審な目を向けたが、ついに『秘密結社Y人Y会合・3355411』と書かれた部屋に辿り着いた。私は一抹の不安をかき消すように力一杯ドアをノックした。すると中から「どうぞ」と声がしたので、私は青山一丁目のビル2階の会議室、3355411の中に入った。
部屋の中を見渡すと、OKAPPA・ヘアの小南泰葉さんが椅子に座っていた。彼女はそっとバッグの中から隕石と藁人形とCDを取り出し、私にそれらを差し出した。私は石にしか見えない隕石と不格好な藁人形と未開封のCDを何も言わずに受け取った。私はそれらをしばらく眺めたあと静かに口を開いた。「あの、中級ユーラシア料理って美味しいんですか?」
(text by Yuuki Kikuchi)
小南泰葉 -“3355411”
Program Information
彼女にまつわる少し特殊なプロフィールを知れば知るほど、まるで未知なる動物のようだ・・・ということでQetic編集部は小南さんを捕獲したのでした! このUMA=小南さんは3月14日(金)に放送されるフジテレビ「僕らの音楽」に出演することも決定。その実態を知るには必見の番組です!
CX系全国「僕らの音楽」
2014.03.14(金)23:30~
放送チャンネル:フジテレビ
Event Information
全国タワーレコード・インストアライブツアー「怒怒哀楽」
2014.03.05(水)@タワーレコード難波店 19:00~
2014.03.06(木)@タワーレコード名古屋パルコ店 19:00~
2014.03.07(金)@タワーレコード渋谷店 B1F CUTUP STUDIO 19:00~
2014.03.08(土)@タワーレコード京都店 17:00~
2014.03.09(日)@タワーレコード吉祥寺店 13:00~
2014.03.09(日)@タワーレコード秋葉原店 17:00~
2014.03.16(日)@タワーレコード仙台パルコ店 16:00~
2014.03.21(金・祝)@タワーレコード大分店 12:00〜
2014.03.21(金・祝)タワーレコードアミュプラザ博多店 17:30〜
2014.03.22(土)@タワーレコード新宿店 12:00~
2014.03.23(日)@タワーレコード札幌ピヴォ店 15:00~
HAPPY JACK 2014
2014.03.15(土)、16(日)@熊本DRUM Be-9V1、V2、V3/Django/ぺいあのPLUS’
OPEN 13:30/START 14:00/CLOSE 21:00
※小南泰葉の出演は3月15日(土)17:30~ぺいあのPLUSになります。
ADV 1DAY ¥4,800/2DAYS ¥8,500
問:HAPPY JACK 2014事務局(KKT事業部内/096-363-6175)
レコ発ワンマン”怒怒哀楽”劇
2014.03.30(日)@OSAKA MUSE
OPEN 17:30/START 18:00
ADV ¥3,300(ドリンク代別)
問:キョードーインフォメーション(06-7732-8888)
2014.04.01(火)@club asia
OPEN 18:30/START 19:00
ADV ¥3,300(ドリンク代別)
問い合わせ:DISK GARAGE(平日12:00~19:00/050-5533-0888)
Release Information
2014.03.05 on sale! Artist: |