Theo Parrish/セオ・パリッシュ
ブラック・サイケデリック。ムーディーマンらと並び、ブラック・ミュージックの伝統を濃厚に継承するデトロイトのディープ・ハウス・シーンを代表するセオ・パリッシュのDJプレイを形容するなら、そんな言葉が相応しい。官能的なソウル、ねっとりしたファンクのグルーヴ、マッドなスピリチュアル・ジャズ、魂を鼓舞するようなゴスペル、コズミックなアンビエント、スモーキーなイーヴンキック、遥か彼方までぶっ飛ばされるアフロ・グルーヴ……彼のターンテーブルにはハウスやテクノのみならず、さまざまなジャンルのレコードが乗る。漆黒のフロア、深夜のクラブ・パーティで我々を魅了し続けてきたセオのグルーヴを、幕張のあの大舞台で堪能できるのは、とても新鮮だし、おそらくクラブ・パーティとはまた違った新たな体験をもたらしてくれるのではないだろうか。デトロイトの黒きグルーヴがついにエレグラのフロアを包み込む。それを考えるだけで、いまから興奮が止まらない。 |
<コレはミトケ! 神ライヴ映像!>
<アイツはミタ! 目撃者は証言スル・・・>
ロングセットを得意とするセオならではの、ただひたすら地味にじわじわと追い込んで、気付いたらとんでもなく深いところへ辿り着いていたあのYellowでのプレイが忘れられない。ディープハウス、ジャズ、ソウル、ファンク、ディスコなど、様々なジャンルを自由自在にごった煮にしながらどこまでも自然で熱い魂の入ったスピリチュアルな世界を作り上げていく。それが出来るのは卓越したDJスキルと強靭な意志を持つセオ・パリッシュだけ。目を閉じて、ソウルフルで愛溢れる濃厚なグルーヴに身も心も任せてただひたすら踊りたい。泣きの瞬間がきたらそれが最高のセオソウル体感!
text by Kana Miyazawa
Sherwood & Pinch/シャーウッド&ピンチ
ブリング・ミー・ウィード! ブリング・モア・ウィード! 彼らの楽曲名にもあるように、とにかくそういうことである。70年代後半にパンクとダブを接続させ、いまだ最前線で活動を続けるUKダブにおける最重要レーベル〈ON-U〉の総帥エイドリアン・シャーウッド、そしてデジタル・ミスティックなどを輩出し、ダブステップ・シーンを引率する〈Tectonic〉の若大将、ピンチによるこの世代を超えたドリーム・タッグは、地鳴りのような重低音でビリビリと空気を振動させ、漂う煙のようなエコーで幻惑し、UKのベース・ミュージックの歴史、現在、そして未来を体感させてくれることだろう。昨年、<SonarSound Tokyo>で彼らのライヴを体験し、その低音の凄まじさにとことん痺れたが、今度はさらに大きな会場で……。いったいどんな体験になるのだろう。 |
<コレはミトケ! 神ライヴ映像!>
<アイツはミタ! 目撃者は証言スル・・・>
とにかくすごい重低音だった。天井も地面も震えていた。空間全体が震えていたみたいだった。身体はもちろん、血液までもが振動してるんじゃないかってくらいビリビリして、そこにあるあらゆるものが震えていたように感じた。でも不思議と耳が痛いタイプのやつではない。むしろマッサージのように心地よくて、ずっと身をゆだねていたくなるのが不思議。エイドリアンとピンチはまるで親子みたいだ。UKダブの生き証人とダブステップの最前線を突っ走る若き才能。UKベース・カルチャーの歴史と現在が並び、繋がり、未来に向かって音を放っているという、その光景に胸が熱くなった。実は僕はダブやベース・ミュージックをあまり聴いちゃことがなかったけど、彼らのライヴを観て、ものすごくいろいろな表情を持つ音楽だと感じた。深くてドープな曲もあるし、ぐっと胸に迫る哀愁のある曲もあれば、拳を突き上げたくなる熱くてアグレッシヴな曲もある。<エレグラ>でも絶対に見たい!
text by 山城半平太