――この子たちのことをどう思いますか? 悪い子たちだと思いますか?

作品を創るにあたって、感情移入しようとしていたのであって、善悪の判断をしようとはしませんでした。本作は、家庭でしっかりした価値観を与えられていない子供たちが、文化というものにいかに感化されうるのかということを描いています。もちろん、彼らたちがやったことは悪いことではなかった、というつもりはありませんでしたが、善悪については観客自身に判断を委ねようと思ったのです。私は決して、観客にどう感じてほしいか押し付けるつもりはありません。

――本作は語り口がストレートですし、近接撮影をされているので、以前の作品のスタイルとちょっと異なるように見えました。どうしてでしょう?

題材に合っている、ということだと思います。私が映画を作る際には、いつも題材によってスタイルを決めています。特に、前回の作品『SOMEWHERE』以降、私はちょっとスピード感を欲するムードにあったとも言えるので、このような作品に仕上がったんだと思います。本作は近接撮影が主ですが、家を上から写して、2人の子たちが部屋から部屋へと出入りしているシーンでは遠写しで撮影しましたよ。向かいの丘の上から撮るというのは、撮影監督のハリス・サビデスのアイディアです。本作の中でも特に私はこのシーンが好きですし、窃盗の様子を変わったやり方で撮ろうとしていたので、ハリスがこのやり方をプッシュしてくれたことを喜んでいます。ハリスはいつも、私の作品に様々なアイディアを提供して、より良い作品になるよう助けてくれるんですよ。

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――パリス・ヒルトン以外に、実際のセレブの家で撮影をしていますか?

彼女の家だけが本物で、あとはセットを使いました。パリスの家での撮影の際、彼女の私生活の一部やクローゼットの中を見れたことは、正直言うととっても興奮しましたね。

――経験豊富な女優(エマ・ワトソン)と、新人を組み合わせて起用していますが、どうしてですか?

エマはニキ役にぴったりでしたし、私はいつも新人の俳優たちと一緒に働くのが好きなんです。彼らは一生懸命だしフレッシュでしょう? 作品を創るにあたって、実際に16歳や17歳だということも大事なポイントでした。のびのびと演技ができるよう気を使いましたし、彼らが本当のグループとしての団結感が見えるように、撮影前はできるだけ一緒にいられるようにしましたね。

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――『ブリングリング』は、道徳的に寓話的な作品だと思いますか?

たぶん、教訓的な作品だと思います。

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