アップルが立ちあげたiTunes主催の音楽フェスティバル、<iTunes Festival>。その13年版が昨年9月に開催された。ロンドンのカムデンにある巨大な円形の会場=ラウンドハウスを舞台に30日間、つまり1ヵ月連続で1日2組ずつ計60組が出演するこのイベントは、専用アプリを通じて観客を招待。その様子をPCやiPhone、iPadなどを通じて音質/画質共に高クオリティで無料配信することで、世界中の人々で巨大な空間を作り上げるオンライン・フェスティバルだ。07年にロンドンのICAで第1回を開催すると、09年からは現在のラウンドハウスに会場を移し人気を拡大。その後はフレッシュな才能にも機会を与えながらミューズら大物の出演にこぎつけ、いよいよ13年はレディー・ガガにはじまりケイティ・ペリーで終わる大盛況の30日間となった。そして、運悪く見逃したあなたもご安心あれ! 名シーンをぎゅっと凝縮した番組がWOWOWで放送されるのだ。

●話題の面々が集結!! ジャンル不問の超おいしすぎるラインナップ

今回の放送では、13年版のおいしいところを真空パック。記念すべき初日のヘッドライナーを務めたレディー・ガガは2月に手術のため、ツアーを中止してから7ヵ月ぶりとなる本格的な復帰の場で、新作『アートポップ』のお披露目ライヴとあって客席にはアデルやワン・ダイレクションのメンバー、ビーディ・アイのアンディ・ベルらの姿も。曲ごとに衣装を変え、シングル“Applaus”やトゥイスタとトゥー・ショートが飛び入りした“Jewels n’ Drugs”など新曲を次々に披露した。最強アンセム“Blurred Lines”を引っ提げて登場したロビン・シックはソウル/ファンク色濃厚な楽曲にシルキー・ヴォイスを乗せる横綱相撲で実力を証明しつつ、最前列の女の子にキスしたり(女子発狂)、コーラスのセクシー美女がピアノの上でゴロゴロしたりとプレイボーイっぷりも随一。

それとは対照的にストイックな雰囲気の貴公子ジャスティン・ティンバーレイクは黒人バンドを従えて盤石のステージを披露。EDM界からはアヴィーチーが登場し、アロー・ブラックが歌を提供した“Wake Me Up”で特大の手拍子が巻き起こる。さらに新作『AM』を引っ提げヒップホップやR&Bを取り込んだセクシーなロックンロールを披露したアークティック・モンキーズは、先日発表された<サマーソニック>のヘッドライナーの前にぜひ見ておきたい最新ライヴだし、新作が欧米のメディアで年間ベストを総なめにしたヴァンパイア・ウィークエンドは昨年の<フジロック>直後のライヴで既に“Diane Young”のアウトロなどが変化していて面白い。他にも所属レーベルのロゴをバックに完全に観客を味方につけたケンドリック・ラマー、“Sex On Fire”で会場が興奮の渦と化したキングス・オブ・レオン、バンド編成で臨んだジェイク・バグなど……ジャンルを問わず旬&話題の面々が集結した豪華ラインナップだ。

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