──「葬式でもかけられるパーティ・レコード」の意味するところを、具体的に教えてください。

グルーヴがありながらも、ちゃんとハートのあるレコードって意味。パーティ・レコードって、たまにグルーヴだけが中心で、ダンスすることだけが目的のものもあるわよね。でもこのアルバムでは、グルーヴで踊れるだけじゃなく、ちゃんと心のこもったパーティ・レコードを目指したの。

──出身地であり、現在の活動拠点でもあるテキサスはあなたにどんな影響をあたえましたか?

テキサスにはアウトロー精神があって、自力で努力をして何かをやろうとしようとする人が多いの。私もその中で育ったから、自然とそういう主義になってたんだと思う。自分で頑張って夢を掴む。それが実現出来たのは自分に大きな自信をくれたと思うわ。

──テキサスとニューヨーク、あなたにとってどちらが音創りの環境に適していますか? 以前はブルックリンを拠点にされていましたよね。

テキサス。近所に音が聴こえるかも気にしなくていいし。このレコードもテキサスで作ったのよ。マンハッタンにも家はあるんだけど、滅多に行かないの。ほとんどテキサスで生活してる。だからマンハッタンが家って感じはあまりしないかも。1年でトータル1ヶ月くらいしかいないから。あとはほとんどテキサスにいるわ。

──あなたにとって素晴らしいライブパフォーマンスとはどのようなものですか?

うーん、なんだろう……。今回の私たちのショーがどんなものかなら言えるわ。展開が早くて、ライティング・デザインがすごく美しくて、熱にうなされてる時に見るような、混沌としたクレイジーな夢を見てるような感覚になるショーよ。

St. Vincent “Rattlesnake(Amex UNSTAGED Fashion)”

──あなたが音を創る最も大きな理由を教えて下さい。

何よりも自分がハッピーになれるのが音作りだから。他のことではここまでハッピーにはなれないの。自分がやりたいことがこうして出来ているってすごくラッキーだと思う。それがなかなか出来ない人も沢山いるのに。すごくありがたいことだわ。

──あなたに素晴らしい才能があるからこそですよね。

ありがとう。でも、ここまで来るにはやっぱりハードワークも必要なの。ここまでになるには努力もたくさんあった。4、5枚のアルバムを作って、やっとここまで来たの。一枚出したら飽きられてしまうこともあるけど、ここまで皆がついてきてくれて本当にラッキーだし、すごく嬉しい。

──音楽創りを通して伝えたいことはありますか?

音楽は本当に色々な形で人に作用するものだと思う。だから私は、とにかく自分が面白いと思うもの、好きだと思うものを作ってるの。自分の音楽を通して人がどんな経験をするかを私が決めようとは思わない。ただ自分が作った曲を皆に提供するだけよ。その作品とどう繋がるかは皆の自由なの。

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