ラッド(Plaid)の“音”は独特なものである。テクノやダンス・ミュージック、特に〈Warp〉信者でも彼らの音楽を説明することは難しいことだと思う。でもそれは難解という訳では決してない“音”そのものが形容しがたいものなのだ。決してガツガツ意欲的に活動してきたわけでもなく、それなのにリスナーはともかく映像作家やクリエイターたちにも支持される彼らのサウンド。それは彼らのマイペースさが生み出した“オリジナリティ”の賜物ではないだろうか。

初期インテリジェント・ダンス・ミュージック(IDM)出身

初期〈Warp〉が提唱した“インテリジェント・ダンス・ミュージック(=Intelligent dance music。略称、IDM)” 。その発信源となったのは1992年から〈Warp〉がリリースし始めた「AI」(=Artificial Intelligence。日本語で“人工知能”)というEPシリーズで、そこからオウテカや、エイフェックス・ツインとして活動する別名儀ポリゴン・ウィンドウ、リッチー・ホウティンの別名儀であるフューズらの作品が発売された。その中でエイフェックスと同じくらいに当時のリスナーに衝撃を与えたが、プラッドの2人が属していたブラック・ドッグである(このEP内ではブラック・ドッグ・プロダクション名義。今は残ったケン・ダウニーの1人ユニットとして健在)。

1990年代に世界各地で枝葉が延びるように発展したテクノ・ミュージックであるが、ブラック・ドッグの音はデトロイト・テクノの雰囲気をヨーロッパのレイブやアンビエント性を持って体現したかのような音楽。ビートがファンキーであるがその上に乗るシンセのメロディのコード感や選ぶ音色が非常に美しく、ガンガン踊る曲もあるが当時はそれ以外のリスナーに高い評価を獲ていた。今聴いてもそのオールドスクール・レイヴのビート+アンビエントは刺激的!

“Merck”- Black Dog Productions / Bytes

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