皆さん、今年の<フジロック>は如何だったでしょうか?

私は仕事の為、残念ながら初日のみの参加。しかも、午後からの苗場入り……と、かなりタイトな<フジロック>になってしまったのですが、そんな短い時間でも非常に素晴らしいステージを幾つも観ることができました。

中でも、強く印象に残ったのが、BOOM BOOM SATELLITESのステージです。

やや不安げな空模様の曇空の下、ホワイト・ステージへと現れたBOOM BOOM SATELLITES。

そこで繰り広げられたのは、アッパーでありながらどこかヒューマニズムに溢れたデジタル・ビートと生バンドによるラウドなロック・サウンドの幸福な融合でした。

よい意味でベテラン感の漂うステージングは、高揚感と安定感を同時に有しており、その演奏力に加えて、オーディエンスの煽り方や電子音による“泣き”のメロディーが入るタイミングなどもただただ完璧。ホワイトステージに詰めかけた大勢の観客を熱狂の渦に巻き込みました。

デジタルサウンドとロック・ミュージックを融合させたサウンドを武器に、音楽シーンを四半世紀に渡って走り続けているBOOM BOOM SATELLITES。大きな試練を迎えながらも、それでも尚、その歩みを止めない彼らの不屈の精神がステージの上で具現化されたような素晴らしいライヴでした。

今回、ご紹介するワンカットMVは、そんなBOOM BOOM SATELLITESがリリースした最新アルバム『SHINE LIKE A BILLION SUNS』より、リードトラックの“A HUNDRED SUNS”です。

BOOM BOOM SATELLITES – A HUNDRED SUNS

こちらは、ドローン撮影を駆使して作られたMVとなっています。

高層ビルの屋上に佇むメンバーの姿を撮影し続けるカメラは、ドローン特有の“揺れ”を伴っており、画面に独特の絵を形作ります。

歌とメロディーとデジタルビート、そして独特なカメラワークが構築する情感……それらは、終盤、大空へと高く高く飛翔していくカメラによって一気にスケールアウトし、夜の闇でその幕を閉じます。

とにかく、映像も楽曲もエモーションに満ち満ちており、観る者の胸にストレートに迫ってくるこのMV。

一人のミュージシャンの姿を延々映し続けているだけのストイックな内容でありながら、一気に映像が夜の街全体へと広がることで、壮大なスケール感を感じさせてくれる内容となっています。

このMVは、ドローンという技術を上手く使ったからこそ生まれた作品であり、尚且つ、その感性はテクノロジーを柔軟にロック・ミュージックに取り込んできたBOOM BOOM SATELLITESの歩みそのものとも見事にマッチしています。

デジタルでありながらエモーショナルなロック・ミュージックを創造し続けてきたBOOM BOOM SATELLITES。

<フジロック>でも披露され、オーディエンスの涙腺を刺激しまくった“A HUNDRED SUNS”ですが、そのMVは実にこのバンドらしい感性を力強く揺さぶってくる素晴らしい映像となって世に送り出されました。