<Obscene Extreme Festival>は、チェコ発の音楽フェスティバル。1999年の第一回開催後、世界の各主要都市で開催されており、昨年には日本にもそのアジア版となる<Obscene Extreme Festival Asia>(以下OEF ASIA)が初上陸。浅草のライブハウス、浅草KURAWOODにて三日間に渡って開催され、チケットがソールドアウトになるなど、エクストリーム・ミュージックファンからの大きな注目を集めた。
今年は、吉祥寺と浅草という二つの戦場に、世界中から過激派バンドが集結した<OEF Asia>。当日の様子をリポートさせていただこう。
世界各地から猛者が集うエクストリームな音楽フェス<OEF Asia>
<OEF Asia>の最大の特徴は、そのラインナップにあると言えるだろう。出演者には、デスメタル、ドゥームメタル、ハードコアパンク、クラストコア、グラインドコア、ノイズ……といった過激な音楽性を持ったバンドの名前がズラリと並ぶ。その極端に激しい音楽志向故に、コマーシャリズムとは無縁でありながらも、確かな実力と革新性を有したバンドが集うハードコアなフェスティバルなのだ。
二回目の開催となる今年は、11月20日(金)から23日(月・祝)という四日間に渡って狂宴が繰り広げられた。更に、会場も浅草KURAWOODに加えて、よりキャパシティの大きな吉祥寺のCLUB SEATAにも進出。昨年度の好評を受けて、規模もスケールアップを果たすこととなった。
今年も非常に魅力的かつ禍々しさと怪しさに溢れ、そして極端な凶暴性とファニーなジョーク感覚を持つ個性的なバンドが世界各地から日本に集結。
本年度のヘッドライナーであるデスメタル界のリビングレジェンド、マスター(前進であるデス・ストライクとしての特別なステージも!)。オランダのゴアグラインドバンド、ロンペプロップや韓国のゴングリ、イタリアからは下世話なグラインドを掻き鳴らすら2 MINUTA DREKAといったワールドワイルドなバンドが参加。さながら、エクストリーム・ミュージック版オリンピックとでも呼ぶべき、国籍もジャンルも多様性に満ちたバンドが居並ぶこととなった。
それらを迎え撃つ日本のバンドも、日本中から猛者たちが集結。名古屋グラインド代表、アンホーリー・グレイヴを筆頭に、ダークな極悪デスメタルサウンドが武器のアナトミア、ハードコアパンク〜スラッシュメタルを股にかけて活躍する大ベテラン、ローズローズといったバンドが熱の籠もった演奏を見せてくれた。
こうした尖った音楽性を持つバンドが、これだけ勢揃いするというイベントも日本ではなかなかないだろう。<OEF Asia>は、極端な音楽を愛して止まない人々にとっての一大イベントなのだ。
<OEF Aisa>初進出の吉祥寺CLUB SEATA! 当日の会場の様子は?
四日に渡るスケジュールの内、中二日の21日と22日の舞台となったのが吉祥寺CLUB SEATA。その名の通り、ライブハウスとしてだけでなくクラブイベントも開催されており、誤解を恐れずに言ってしまうと“オシャレ”なイメージのある会場である。
駅からの距離も近くアクセスは良好。吉祥寺という若者人気の高い街で、しかも、アンダーグラウンドな匂いが余りしない小奇麗なライブハウスでエクストリームなフェスが開催されるというギャップが何だか楽しい。
会場内はクラブ系のイベントも可能な箱ということで、ノイジーなグラインドコアバンドの演奏中にレーザー光線がステージからフロアに降り注ぐなど、この会場ならではの照明演出も見られた。
この会場でトリを二日に渡って務めたのがマスター。渋い渋いオールドスクールなデスメタルで、会場に集まったファンを唸らせてみせる。デスメタルの創世記から続く長いキャリアを誇りながら、今回が初の来日となったマスター。こうしたアンダーグラウンドシーンの重鎮を招聘するセンスにも<OEF Aisa>の独自性が溢れている。
本会場は、ステージもフロアも広いので、バンドもオーディエンスもダイナミックに動きまわることが可能で、このロケーションは<OEF Aisa>にもピッタリだったように思う。是非とも、来年も同会場で荒ぶるバンドの勇姿を観たいと思ったオーディエンスも多かったのではないだろうか。
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