80KIDZにとって約1年半ぶり、5枚目となるオリジナル・アルバム『5(ファイヴ)』がリリースされた。<ULTRA KOREA>などの音楽フェスにも多数出演し、国内外のアーティスト/バンドとコラボレーションを重ねながら、常にシーンの移り変わりを見据えてきた彼らだが、今作では良い意味で肩の力が抜けた、開放的なサウンドとヴァイブを聴かせてくれる。
第一印象としては、とにかくキャッチーでバラエティに富んだアルバムだということ。昨年末にEPでリリースされたHAPPYやKenKen(RIZE)とのコラボ曲を筆頭に、日仏ハーフの女性SSW=マイカ・ルブテや、ジャマイカのアントワン・ヒレール、Capeson(ケイプソン)にOBKRといった〈Tokyo Recordings〉周辺等、豪華面々が一堂に会し、エレクトロからフレンチ・ポップ、ポスト・クラシカル、はたまた超異色なロック・ソングまで、ジャンルや固定観念にとらわれない80KIDZの“現在地”をまざまざと見せつけてくれるのだ。
今回Qeticでは、80KIDZのホームタウンとも呼べる渋谷でALI&とJUNのふたりをキャッチ。シンプル極まりないタイトルの由来から、「フィーチャリングが軸になった」というアルバムのコンセプト、そして気になるコラボレーターとのエピソードまで、『5』の制作背景に徹底的に迫ってみることにした。
Interview:80kidz[JUN、ALI&]
アルバム自体のコンセプトというよりも、「フィーチャリング」っていう軸がコンセプトにあって、それに肉付けしていきました(JUN)
――5枚目のアルバムにしてタイトルが『5(ファイヴ)』と、これまでになくシンプルに削ぎ落とされましたね。前作『FACE』(2014年)はある意味セルフ・タイトル的な側面もありましたが、今回はどのようにタイトルが決まったのですか?
JUN いろいろ案は出し合っていたんですけど、「もっとシンプルでいいんじゃね?」って。(レッド・)ツェッペリンとかそうじゃないですか? だから、半分ノリみたいな感じですね。最初は何にしようとしてたっけ??
ALI& 『LIKE』かな。
――「いいね!」的な……(笑)。
JUN そうそう、でもちょっと(SNSに)寄りすぎかなって思って(笑)。
ALI& あとは『LIFE』とか。いま考えるとちょっとダセーな(笑)。
JUN まあ、アルバム自体が『LIFE』って付けるほどコンセプチュアルだったり、「人生」を歌っているようなものじゃなかったんで。軽い気持ちで決めたわけじゃないんですけど、『5』くらいがしっくり来るよねってスタンスでした。
――『FACE』に続いて国内外からヴォーカリストを迎えていますが、様々な音楽性を飲み込みつつもすごくキャッチーな作品だと思います。もともとは、どんなアルバムにしようという構想がありましたか?
ALI& 今回が5枚目というのはあんまり意識してなかったんですけど、フィーチャリングをするっていうのは昨年の頭には決まっていたんですね。最初にHAPPYとKenKenさんとのコラボがあって、それを軸に考えていったので、自然と「じゃあこのタイミングで色々フィーチャリングしようか」とまとまっていった感じです。
JUN アルバム自体のコンセプトというよりも、「フィーチャリング」っていう軸がコンセプトにあって、それに肉付けしていきました。HAPPYとの“Baby”があって、KenKenさんとの“Gone”があって、年明けにもう1枚出そうかなっていう感じでEPの流れを組んで、その中でアルバムへ展開していく――というのはあらかじめプランとしてあったんですよね。そういう意味で、出来あがった曲にプラス・アルファを足していったというか、アルバムに向けてビルドアップさせていきました。
80KIDZ -“Baby (feat. HAPPY)”
80KIDZ -“Gone EP”
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