ゲストを迎え、チェキとともに“ゆかりの街”を歩く連載シリーズ「チェキさんぽ」。第6弾目となる今回は、THEラブ人間の歌手、金田康平さんが登場です。「恋愛至上主義音楽」をテーマにヴァイオリンやキーボードを交えて演奏される豊かな音楽性と、溢れ出すように感情を歌い上げるヴォーカルと歌詞で人気を獲得しているTHEラブ人間。今年2月には「全国のオーディエンスのみんなの体温を感じたい」とクラウドファンディングを使って制作した3rdアルバム『メケメケ』を発表し、当作品収録曲“コント”のMVにスピードワゴンの小沢一敬さんが出演するなど、今話題の6人組バンドです。
ライブサーキットイベント<下北沢にて>を毎年主催し、普段は活動の拠点となる下北沢との結びつきで知られるTHEラブ人間と金田さん。しかし2011年のメジャーデビューEP盤『これはもう青春じゃないか』を筆頭に、歌詞には西武線沿線の風景が数多く登場します。なかでも金田さんが多感な時期を過ごした城西大学附属 城西中学・高等学校があるのが、今回の舞台となる椎名町。高校卒業後、約12年ぶりに訪れたという思い出の場所・椎名町を、チェキを片手におさんぽします。
駅舎が変わっても、住んでいる人たちは全然変わってない。
「思い入れがあって、その思い入れを発揮しなきゃいけない機会だからこそ行ける街、と考えた時に、中学・高校と6年間通った学校がある椎名町にしようと思ったんです。この駅で降りたのは12年ぶり。駅舎は結構変わっていたけど、住んでいる人たちは全然変わっていなかったです。飲み屋が多くて、街自体がゆったりしている雰囲気で。たとえば、下北沢は100人いたら、きっと90人はそこに訪れにきた人ですよね。でも椎名町は100人いたら90人は住んでいる人だと思う。当時は学校に行くために通っていたので、学校行きたくないなぁと思っていたところもあると思いますが(笑)、その当時抱えていた感情はもう思い出になっているので、また違った風景に見えましたね。」
金田康平(THEラブ人間)のチェキさんぽ
椎名町駅北口—南天
「中学・高校の6年間、放課後に毎日ここの肉うどんを食べに来ていたんです。安くてボリュームがあって肉がある、という若い男の子の心を鷲掴みにする要素が揃っていますよね。味も値段もまったく変わっていなくて、相変わらず美味かったなぁ。マスターも温かみがありました。当時から創業50年ぐらいの老舗だと思っていたけど、話を聞いたらそのころはまだ店が始まって2~3年ぐらいだったらしいです(笑)。チェーン店が好きじゃなかった俺は、そこにぽつんとあった『南天』に居場所を感じて、食べ終わった後もイスに座ってずっと喋っていましたね。」
すずらん通り商店街
「『西武鉄道999』に出て《夢も愛も嘘も乗せて黄色い列車は走る/しょんべん色の俺のふるさとよ》という歌詞は、この西武線のこと。俺は生まれも西武線沿線なので、10代のころの思い出を歌にすると、この車両がどうしても出てくるんですよ。特に中学校からは椎名町に毎日通うことになったので、電車にまつわる思い出はたくさんありますね。下北沢に住みはじめてからも、実家に帰る時の得もいえぬ感じを思い出すときには、いつも西武線のこの黄色い車両がポンッと出てくるんです。」
text by Jin Sugiyama
photo by Nozomu Toyoshima