前作『顔』で、2000年度「キネマ旬報ベスト・テン」の日本映画部門第1位(批評家、読者選出のダブル受賞)、監督賞、脚本賞を獲得し、日本映画界にその名を刻んだ監督・阪本順治(さかもとじゅんじ)。そんな彼の待望の最新作、『団地』が6月4日(土)有楽町スバル座・新宿シネマカリテほかにて全国ロードショーとなります。

物語の舞台は大阪近郊にある、古ぼけた何の変哲もない“団地”。半年ほど前に引っ越してきたばかりの山下ヒナ子とその亭主、清治。こちらもどこにでもいる何の変哲もない“夫婦”です。だが、腰が低いがそのどこか世を捨てた雰囲気に、団地住民たちは好奇心を隠せません。

物語の鍵を握るのは、山下夫妻をときおり訪れる妙な立ち居振る舞いの青年・真城(しんじょう)。彼だけが山下夫妻の抱えた過去を知っています。そんなある日、些細な出来事でヘソを曲げた清治が「僕は死んだことにしてくれ」と床下に隠れてしまいます。夫の姿が団地から消えても、淡々とパートに通い続けるヒナ子の言動に、隣人たちの妄想は膨らむばかり。「もう殺されていると思う……」。一人が口にした言葉をきっかけに、団地を覆った不安は一気にあらぬ方向へと走りだして……。

斎藤工も出演!前作『顔』で映画賞を総なめにしたコンビが贈る新作『団地』 film160601_-danchi_2

斎藤工も出演!前作『顔』で映画賞を総なめにしたコンビが贈る新作『団地』 film160601_-danchi_6

というのが大まかなこの映画のあらすじです。冒頭に斎藤工(さいとうたくみ)演じる真城が、山下夫妻に、「ご無沙汰しております」を「五分刈りです」と言って真顔で頭を下げるシーンを観たときは、“これはショールなコメディ映画がきたな”と思いました。が、その後物語はだんだんと様相を変え、団地という閉鎖空間で起こるサスペンスなのかと思いきや、新興宗教にハマっていく夫婦を描いたホラーなのかとハラハラさせられ、最後には思わず「そんなのアリかー!」と声を出さずにはいられないSF映画へと着地していきます。

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山下夫妻を演じた藤山直美、岸部一徳は言わずもがな、脇を固める宅間孝行(たくま たかゆき)、麿赤兒(まろ あかじ)、竹内都子(たけうち みやこ)、濱田マリら芸達者たちの演技も小気味良く、心地よく物語に集中することができます。観賞後、きっと誰かと感想を共有したくなる映画『団地』は6月4日(土)有楽町スバル座・新宿シネマカリテほか全国ロードショー!

斎藤工も出演!前作『顔』で映画賞を総なめにしたコンビが贈る新作『団地』 film160601_-danchi_4

☆こちらの記事は今週の『InterFM 897 Tokyo Brilliantrips』と連動してお伝えしました。

団地

6月4日(土) 有楽町スバル座、新宿シネマカリテ他全国ロードショー

脚本・監督:阪本順治
出演:藤山直美/岸部一徳/大楠道代/石橋蓮司/斎藤工/冨浦智嗣/竹内都子/濱田マリ/原田麻由/滝裕可里/宅間孝行/小笠原弘晃/三浦誠己/麿赤兒
製作・配給:キノフィルムズ
©2016「団地」製作委員会 2016 年/日本/カラー/103分/ビスタサイズ/5.1ch

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text by Qetic