世界中のトップアーティストが出演し、独創的で個性あふれるアコースティックライブの源流としてその歴史を刻んできた『MTV Unplugged』。日本制作としては宇多田ヒカル、平井堅、加藤ミリヤ、VAMPSなど総勢28組のアーティストが登場し、いつものライブとは一味違うパフォーマンスを披露してきました。
今回この伝統的なステージに立ったのは、昨年メジャーデビュー5周年を迎え、今年もニューシングルのリリースや野外フェスの開催など、精力的な活動を行っている高橋優です。札幌の路上ライブを原点に、メジャーデビュー後もライブ活動を大切にしてきた彼が、デビュー6年目の最終日である今日、これまでのキャリアの集大成として『MTV Unplugged』の舞台に立ちました。
「自分は“プラグ”のない路上でずっと歌っていたので、そんな自分の原点を思い出しながら、みなさんと一緒に楽しい時間を過ごしたいと思います。」というMCで始まったライブは、インディーズ時代の“こどものうた”から6月にリリースしたばかりの“産まれた理由(わけ)”など全15曲を披露、途中フラワーカンパニーズの“深夜高速”をカバーする嬉しいサプライズもあり、会場は温かい空気と笑顔に包まれました。また、8月31日にリリースされた15枚目のシングル“光の破片”の初パフォーマンスも行われ、オーディエンスは贅沢で親密なライブ空間を楽しんでいました。このライブの模様は9月10日(土)21時よりMTVで放送されます!
MTV Unplugged:高橋優
2016年7月20日(水)@MTV Unplugged
ゆっくりと歩いてステージ中央に置かれている椅子に座り、愛用のアコースティックギターを手にした高橋優。ギター、ベース、ドラム、キーボード、ヴァイオリン……という、普段のライブとは一味違う編成のバンドメンバーたちも登場して準備完了。スタートした1曲目は“陽はまた昇る”だった。柔らかな光に包まれているステージから、哀愁を帯びたメロディが高鳴っていく。どこか幻想的にも見える空間から心地よいサウンドが一気に溢れ出し、観客は息を呑むように耳を傾けていた。続いて、ギターを激しく掻き鳴らし始めた高橋。骨太にコードを響かせながら2曲目“こどものうた”へと突入した。その気迫に刺激されて、観客も手拍子を始める。やがてバンドメンバーたちのパワフルな演奏も合流し、高橋の声は熱を増していく。彼の歌に宿っている圧倒的な熱量をまざまざと体感した。
「お越し頂きありがとうございます!」と元気よく挨拶をして、数々のアーティストの名演が繰り広げられ続けてきた『MTV Unplugged』に出演する喜びを語った高橋。路上ライブからシンガーソングライターとしての活動をスタートした過去にも触れて、「原点を思い出しながら皆さんと一緒に楽しい時間を過ごしたいと思います」と観客に呼びかけると、“クラクション”の演奏を始めた。時折、ブルースハープも吹きながら歌う高橋の声が温かい。清々しいムードのまま雪崩れ込んだ“BE RIGHT”は、実に楽しそうに打ち鳴らされていた観客の手拍子がステージまで届いたのだろう。高橋は勿論、バンドメンバーたちも笑顔を浮かべていたのが印象的だった。
“同じ空の下”も披露された後に、再び迎えたインターバル。高橋はバンドメンバーたちを紹介すると、このステージに立って歌うことができる喜びを改めて語った。そして、「こういう機会なので、アコースティック編成で初めての曲をやらせて頂きます。」と言い、次に演奏する曲について説明した。くっついたり離れたりの繰り返しである人間関係。当事者には様々な感情があるわけだが、それも俯瞰で見れば美しいものなのではないか? そんな視点で作ったのだというその曲は、8月31日にリリースされた15thシングルの表題曲“光の破片”。続いて、叙情的なメロディがじっくりと迫ってきた“さくらのうた”。優しさに満ちた歌声で観客を包み込んでいた“産まれた理由”……ステージを見つめる誰も彼もがうっとりとした表情を浮かべて噛み締めていた。
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