60年代にウォーカー・ブラザーズのメンバーとして人気を誇り、後にソロに転向、昨年逝去したデヴィッド・ボウイやブライアン・イーノ、レディオヘッド、U2、ブラーなどUKを代表するミュージシャンがこぞってリスペクトアーティストとして名を挙げる伝説的なアーティスト、スコット・ウォーカー。その彼が、16年ぶりにスコアを書き下ろした映画『シークレット・オブ・モンスター(原題:THE SECRET OF A MONSTER)』が、この11月に公開されます。
『シークレット・オブ・モンスター』は、俳優・声優としても活躍する監督のブラディ・コーベットが、フランスの哲学家・小説家のジャン=ポール・サルトルの短編小説『一指導者の幼年時代』(新潮文庫『水入らず』所収)から着想を得て、ヴェルサイユ条約締結への過程と第二次世界大戦勃発までの流れを描いた、オリジナルストーリー。
ヴェルサイユ条約の作成を目的にフランスに派遣された国務次官候補の子・プレスコットが、仕事で家を空けがちな父親と、親としての義務を放棄した愛情の薄い母親との間で、数々のエピソードを経て成長とともに次第に“モンスター”=独裁者へと変貌していく姿を、全編にわたってダークな雰囲気の中に描いています。
プレスコットの幼少期を、今回映画デビューとなった子役トム・スウィートが担当。その美少年的ルックスも要注目でありますが、常に不満を抱えながら、邪悪なモンスターへと変貌していくその演技は特筆モノ、本作では存分に天才子役ぶりを発揮しています。
その他にも、少年の母親役に2011年に映画『アーティスト』でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたべレニス・ベジョ、父親役に海外ドラマ『ゲーム・オフ・スローンズ』に出演しているリアム・カニンガム、さらにフランス人モデルのステイシー・マーティンやドラマ『トワイライト』で人気を博したロバート・パティンソンなど、キャスト陣にも豪華なメンツが名を連ねています。
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