女優ナタリー・ポートマンの夫として知られるバンジャマン・ミルピエ。彼の異端とも言える伝統に対する挑戦を圧巻の映像美で描き出す珠玉のドキュメンタリー『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』が、12月23日(金・祝)Bunkamuraル・シネマ他にて公開となる。この度、映画『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』から、本編映像が解禁された。天才振付師ミルピエに才能を見出された、次世代の若手ダンサーたちの美しい跳躍に注目したい。
映画『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』本編映像
本作は、ミルピエが芸術監督として手掛ける新作公演『クリア、ラウド、ブライト、フォワード』完成までの40日間に密着し、公式プロデュース作品でしか成しえない、パリ・オペラ座の貴重なバックステージをスタイリッシュに映し出したドキュメンタリー。次世代ダンサーの競演が楽しめるほか、ミルピエと共に公演を共に創り上げるクリエイターやスタッフ達の姿も丹念に追い、クリエイティブへの深い敬意と愛情をつぶさに描き出していく。
本作の第二の主人公といえるのは、オペラ座の階級制度を否定するミルピエによって見出され、彼の革新を受け止め自分のキャリアを見つめ直す若いダンサーたち。ミルピエによって、コリフェの時代から主役に抜擢され、その潜在能力を証明した、ジェルマン・ルーヴェ、ユーゴ・マルシャン、レオノール・ボラックは、今年『エトワール・ガラ』で日本にもお目見えし、優れたダンスと美貌、若さの輝きで観客を魅了した。その後、11月にジェルマン・ルーヴェはわずか1席のプルミエ・ダンスール(主役を踊るダンサー)へと見事昇格を果たし、名実ともにスターダンサーとなった。
特別映像には、マリオン・バルボー、レティツゥア・ガローニ、アクセル・イーボ、ジェルマン・ルーヴェが登場し、スローモーションを多用したダンサーたちのエレガントで躍動的な動きは、彼らの美しい身体表現を足の先まで存分に堪能することができ、他のドキュメンタリーを圧倒する。細く伸びた手足で、妖精のように可憐な演技を見せる女性バレリーナたちと、力強くもしなやかでエモーショナルな演技の男性ダンサーたちの対比も興味深い。
2006年に放映されたNHK『スーパーバレエレッスン』に生徒役としても出演し、明るく愛嬌のあるキャラクターでファンの多いアクセル・イーボは、映像の中で「変化を好まない現状維持派の団員もいる。僕は変化をチャンスと考え、現状を変えたい」とコメント。まさにミルピエ精神をバネにし、未来へ跳躍しようという意気込みが感じられる。
身体のコンタクトがムーヴメントを生み、言葉を使わぬ自然な対話から深い感情が立ち上がるミルピエ作品は、踊り手の解釈の幅が広い。この創作に参加したことは、伸び盛りの彼らにとって、芸術性を深める重要な経験だったに違いない。ミルピエは、未来に彼の遺産を残したのだ。
ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~
12月23日(金・祝)より全国順次公開
監督:ティエリー・デメジエール/アルバン・トゥルレー
音楽:ニコ・マーリー
衣装:イリス・ファン・ヘルペン
出演:バンジャマン・ミルピエ、レオノール・ボラック、ユーゴ・マルシャン、ジェルマン・ルーヴェ、アクセル・イーボほか
2015年/フランス/110分/原題:Relève(原題)、Reset(英語題)配給:トランスフォーマー