気付けばもうどこにも引き返せない状況だった。
遂に遂に、完成したのだ。ブラック・スターが!
今日は「弦を張りましょう」と先生が言う。僕もいつもやっている作業なのにこの日だけは何故か手汗が止まらない。新品の弦が死んでしまうくらいの量。
それからオクターブ・チューニング、弦高調整を施し、スタジオに移動。
エレベーターの中でも手汗は増し増しになっていく。
アンプにシールドを差し弦を弾く、焦る気持ち先行でスピーカーケーブルを差し忘れ音は鳴らなかった。
仕切り直しで、もう一度弦を弾く。
音が出た!
何とも言えない瞬間だった。構想から半年以上、この時を待ちわびていた。
「めちゃめちゃ良い音! かっこええ!」って思わずにやけながら口に出てしまった。
星型で大きめなボディーも吉とでたのかボディー鳴りも凄く良く、その振動をしっかりと拾ってくれるピックアップのパワー感も最高で、自分の右手でのコントロールもやりやすい。
感動だったあの一瞬。
音に気持ちを込めるって事が素直にできるベースと出会えた。
だって世界に一つだけしかないベースだから。
皆さんに聴いてもらえる日もすぐ近く、また次回お会いしましょう。