天気予報で雪マークを見ることすらあるのに、フェス事情はすでに夏へと向かっている。日本が世界へ誇るロックフェスティバル<FUJI ROCK FESTIVAL(以下、フジロック)>や、国内都市型フェスの元祖である<SUMER SONIC(以下、サマソニ)>の出演ラインナップが続々と発表され盛り上がりをみせているが、忘れてはいけないフェスがもうひとつある。5月に開催されるEDMフェスティバル<EDC Japan>こと<Electric Daisy Carnival(以下、EDC)>だ。
EDC Japan 2018 Teaser
<EDC>は北中米を中心に世界で開催されているフェスで、動員数は通年で数十万人をこえている。“フェス”と聞くと「ステージがいっぱいあって、音楽がいろいろ聞けるんだよね?」なんて安易な発想をする方もいるかもしれない。だがしかし、<EDC>は一味違う。
EDC Japan 2017 公式トレーラー
こちらのトレーラー映像からもおわかりいただけるように、音楽・光・コスチューム・パフォーマー・花火など様々な要素がおりなす総合エンターテイメントだ。いつも控えめな人たちも、音楽とともに創り上げられる特別な空間に身をゆだねる。それだけ人々を非現実に連れていってくれるファンタスティックな力を持つ音楽フェスなのだ。
もちろん、すごいのは演出だけではない。マーティン・ギャリックス(Martin Garrix)やスティーヴ・アオキ(Steve Aoki)、デッドマウス(Deadmau5)、ディプロ(Diplo)といったダンスミュージック界のスーパースターを筆頭に出演者がとにかく豪華。今回は、フェスに不可欠な参加者であるYOU(あなた!)を開放的な気分にしてくれるであろう<EDC>出演アーティストを紹介するとともに、すでにSNS界隈でも大きな盛り上がりを見せている、<フジロック>と<サマソニ>のメインアクトについても触れていきたい。
フジロック、サマソニ、EDCの
メインアクトは?
FUJI ROCK FESTIVAL ’18
今年のフジロックは、近年勢いが増してきているラップ・ミュージックやヒップホップの色が強め。それを象徴するように、メインアクトは2組ともヒップホップ系アーティストとなっている。
1組目のエヌ・イー・アール・ディー(N.E.R.D)は2015年の<サマソニ>でメインアクトを務めた、ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)を擁するヒップホップ・ロックグループだ。2010年の4thアルバムを発売後その活動は途絶えていたが、2017年末に『NO_ONE EVER REALLY DIES』を発表し本格再始動となった。ヒップホップとロックやパンクを織り交ぜたサウンドが特徴的な彼らだが、その音はさらにビビッドに進化している。何より「3人が揃っているステージを観ることができる」ということに興奮を覚えずにはいられない。
N.E.R.D & Rihanna – Lemon
2組目は、第60回グラミー賞で5部門を受賞したケンドリック・ラマ―(Kendrick Lamar)。<フジロック>に出演するのは2013年に次いで2回目だが、このタイミングでの来日とは奇跡としか言いようがないだろう。2016年には『TIME』誌が選ぶ「世界で最も影響力のある100人」にも選出されており、今最も影響力を持っているラッパーと言っても過言ではない。荒れ果ての地からあらわれたかのような黒人ラッパーである彼の痛烈なリリックは、胸に突き刺さるはずだ。
Kendrick Lamar, SZA – All The Stars
SUMMER SONIC 2018
<サマソニ>といえば、真夏であっても幕張メッセ側は室内で空調があって快適。さらに、近年のフェス・ブームで音楽にハマったようなライトユーザーも楽しめて、盛り上がりやすいアーティストが顔を並べるラインナップ力も魅力だ。今回はメインアクトである、ノエル・ギャラガーとベック(BECK)を取り上げたい。
世界的ロックバンド、オアシス(Oasis)のメンバーとして活躍していたノエル・ギャラガーの音楽は、UK伝統的なロックンロールが特徴的だったが、近年では時代を意識した音づくりが顕著だ。昨年リリースされたとなった『Who Built The Moon?』は賛否両論を呼んだアルバムで、普段はあまりロックを聴かない人でも固定概念に捕らわれず自由な感性で楽しむことができる作品として話題となった。
Noel Gallagher’s High Flying Birds – ‘Keep On Reaching’ (Official Lyric Video)
グラミー賞において“最優秀ミュージック・ビデオ賞”にノミネートされたベックも、肩肘を張らずに聴ける心地いい音楽を展開している。90年から現代にいたるまで第一線で活躍をしている彼の作る曲は、抜群のセンスに彩られながらもとてもポップで聴きやすい。「歌詞のわからない洋楽は苦手!」なんて人でも、先日来日時にコラボした国内女性アーティストである、DAOKOとのセッション映像など、邦ロックやポップ・ミュージックを聴いているような感覚で耳に音がスッと流れ込んでくるのでオススメだ。
ベック 「アップ・オール・ナイト x DAOKO」セッション映像
EDC Japan 2018
いよいよ、待ってましたの<EDC>。イベント名に“Electric”なんて入っていることもあり、世界トップクラスのダンスミュージックのアーティストで充実したラインナップになっている。フェス好きはもちろん「音楽を聴く習慣はないけど、クラブは好き!」なんて人でも、絶対に楽しめること間違いなしだ。
<EDC>のメインアクトとして話題の、マーティン・ギャリックスの来日に恋焦がれたファンも多いことだろう。これだけフロアを沸かせる才能を持ちながら、若干21歳という末恐ろしい才能だ。昨年に続いての出演なだけに、さらなるアップデートされた魅せるパフォーマンスにも期待が高まる。
Martin Garrix – Amsterdam Rai 2017 (Official Aftermovie)
スティーヴ・アオキも、スーパースターと呼ぶにふさわしいEDMシーンを代表するDJだ。ハードコア・パンクな精神で最新のエレクトロ・サウンドを享楽的に自由自在に操る姿は、まさしくEDMのカリスマ。その音楽は日常にまで届いていて、彼の名は知らずとも顔を知っていたり、音楽は耳にしたことがあるなんて状況も少なくないだろう。ぜひこれを機会にディグっていただきたい。さらに、かつてグラミー賞にもノミネートされたデッドマウス、今後のシーンを占う最重要プロデューサーの一人であるディプロによるアプローチも気になるところだ。
J Balvin & Willy William – Mi Gente (Steve Aoki Remix) [Official Music Video]
フェス初心者こそEDCへ
“音楽フェス”と聞くと「音楽を本当に好きで詳しくないと楽しめない」なんてイメージを持つ方もまだまだいるかもしれない。しかし、フェスは僕らの生活にスッと入り込んで多様化している。非日常的な空間に身を染め、次々と流れてくるホットなサウンドに体を揺らし、お酒を片手に空を仰ぐだけでも十分に楽しい。夏の風物詩としてお馴染みの<フジロック>や<サマソニ>はもちろん、5月頭に行われる<EDC>に参戦して、開放的な気分で新生活の疲れを吹き飛ばしてみてはいかがだろうか。
EVENT INFORMATION
EDC Japan 2018
2018,05.12(土)、13 (日)
OPEN/START 12:00
ZOZOマリンスタジアム&幕張海浜公園EDC特設会場
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text by ふくりゅう