東京から常磐線に揺られること数十分。異常な暑さで神経が削られ、家から外に出ればヒートアイランド現象に追い討ちをかけられる逃げ場のない日常から、摩訶不思議な六根清浄的空間がそこにはあった。
2018年7月21日(土)、千葉県松戸市の廣大山 松龍寺(コウダイザン ショウリュウジ)にて開催されたイベント<煩悩 #BornNow 2018>は、「お寺」と「HIPHOP」を組み合わせた「お寺でゆれる、ここに生まれる。」をカルチャーコンセプトが開催前から大きな話題となっていた。
今その面影を見ることが少なくなってしまった地域コミュニティーの中心としての「お寺」を再構築すること。ヒップホップという新しい形式を取り込みながらも、祭という伝統的な儀礼を通じて、持続可能なナイトカルチャーを創出すること。新しい時代を切り開かなければいけないという、その巨大な扉を前にして、このコンセプトは重要な鍵になる可能性を秘めていたし、イベントに来場者はある意味でその証人になったと言えるかもしれない。
2018.07.21(SAT)
煩悩 #BornNow 2018
蝉の鳴き声が鳴り響く昼間から、DJたちのパフォーマンスはスタート。お寺で聴くヒップホップのクラシックは新鮮そのもの。
ロックバンドのステージは注目を一点に集めるが、ヒップホップはみんなに光が当たる。このイベントのコンセプトには、ヒップホップが潤滑油としてベストだった。
会場はまさにお祭り騒ぎ。浴衣の家族連れを始め、地元の老若男女がグッドミュージックで揺れる姿は微笑ましかった。
日が少しづつ落ちるにつれて、会場には人が集まっていく。ゲストアーティストはChilly SourceのillmoreとKick a Show。
Kojoeらとコラボするillmoreはチルかつどこか実験的で、ネットを隈なく探しても見つからないエクスクルーシブなトラックを惜しげも無く披露した。
続いて登場したKick a Showはその日唯一のシンガーで、バックDJにはもちろんSam is Ohm。“Cleopatra etc.”や“友達以上恋人未満~less than lovers, more than frends~”など、お寺の前で披露されるには煩悩が多すぎる(?)パフォーマンスを繰り広げた。
ステージが終わると、夕暮れと重なって会場にはより官能的なムードが漂い始め、魅惑的なプロジェクションマッピングが投影される。
ふと気づけば、会場はクラブのよう。ヒップホップだけでなくテクノやハウス、ビートミュージック(その時の雰囲気はまるで<Low End Theory>)が体を揺らす。ラストスパートでは、プロジェクションマッピングに注目が集まる。
最後のその一瞬。どのようにして「お寺でゆれる、ここに生まれる」が体現されたか、それは観たものにしか分からないものとなった。
煩悩 #BornNow 2018
2018.07.21(土)
廣大山 松龍寺(千葉県松戸市松戸1505-1)
DJ URA a.k.a. CUTMASTA / DJ YEN(Chilly Source) / dosing / illmore(Chilly Source) / Kick a Show / LENA / SATOSHI / MIYA(Broken Sport / BRIG HTON Studio DAIKANYAMA) / 剛斗 and more……(AtoZ)
Official