生涯愛すべきワードローブを自ら手入れすることが、一つの趣味として語られ始めた昨今。中でもレザーシューズの磨き方、ひいては靴磨きのプロフェッナルであるシューシャイナーの存在に注目が集まっている。そこで、キャリア6年で国内初開催の日本選手権を制し、名実ともに日本の靴磨き界をリードするシューシャイナーとなった石見豪氏に、靴磨き職人に宿る知性と感性をたずねた。

ただ一人の挑戦でつかみ取った王座

2018年1月末に東京・銀座三越で行われた靴磨き日本選手権大会。全国から集まった12名の靴磨き職人の中で初代王座を射止めたのが、大阪の靴磨き専門店『THE WAY THINGS GO(以下TWTG)』のオーナー兼プロフェッショナル・シューシャイナー、石見豪氏だ。

日本一のシューシャイナー、石見豪が語る「靴磨きにも必要なストーリー」 1115_mondo_twtg_2-1200x801

その日本選手権の開催告知サイトには、初開催の全国大会に挑む参加者のプロフィールと意気込みが残されているが、石見氏のコメントで気になる箇所があった。

「今まで研鑽してきたことが、間違いでなければ優勝という最高の結果を出せるはず」

この一文を意訳すれば、「間違わない限り優勝以外にない」という並々ならぬ自信が見えてくる。大会前にそこまでの確信を持てた理由を当人に聞いた。

「優勝する他になかったからです。靴磨きを始めて6年。地元の大阪で店を持って3年。当初は2千人程度のインスタグラムのフォロワーが1万3千人を超え、それなりに知名度が上がった今、負けて評判が下がるリスクを徹底的に排除するため、大会に向けた練習を行いました」

日本一のシューシャイナー、石見豪が語る「靴磨きにも必要なストーリー」 1115_mondo_twtg_10-1200x801

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Text:田村 十七男
Photos:大石 隼土