「RCRアーキテクツ」という名前を聞いたことがあるでしょうか。
1988年にラファエル・アランダ氏、カルマ・ピジェム氏、ラモン・ヴィラルタ氏が、バルセロナから150kmほど離れた彼らの故郷、スペイン・カタルーニャ地方オロットに設立した、建築スタジオです。2017年には、「建築と敷地の関係、素材の選択、幾何学を駆使して自然環境を生かしながら、建築にまとめ上げている」と評価され、
建築界のノーベル賞とも称される「プリツカー賞」を受賞しました。
いま世界中で注目を集めている「RCRアーキテクツ」が、
現在、東京・乃木坂の「TOTOギャラリー・間」で
展覧会<RCRアーキテクツ展 夢のジオグラフィー>を開催中。
展覧会の一般公開前日に行われたレセプションには、
ピジェム氏、ヴィラルタ氏が来日しました。
RCRが想い描く“夢“の一大プロジェクト
この展覧会では「RCRアーキテクツ」(以下、RCR)が、スペインのカタルーニャ地方で進行している「ラ・ヴィラ」プロジェクトを紹介しています。「ラ・ヴィラ」は「夢」をテーマに、人々が集い、自然を体感し、「開かれた研究の場(ラボラトリー)」が作られることを標榜し、「森林と水の流れ、そして記憶の住まう土地(ジオグラフィー)」に、研究施設や工房、宿泊施設、パビリオンなどを配する一大プロジェクト。
その広大な敷地は、140万平方メートル(東京ドーム30個分)にも及ぶのだとか。
その「ラ・ヴィラ」プロジェクトのひとつが、「紙のパビリオン」です。
「紙のパビリオン」は、奈良県吉野町の人々の協力で吉野の木材を使用したもので、今回の展覧会では「紙のパビリオン」の構造体の一部を展示するほか、RCRが吉野町の山林や製材所をめぐる旅や、オロットではオフィスの様子やラ・ヴィラの森などをとらえた、ドキュメンタリー映像も紹介しています。
“今の東京に必要なこと”を感じる特別な空間
レセプション後、昨年11月に奈良県吉野町とも所縁のある<奈良の木見学ツアー>に参加されていた、ブランディングディレクターの行方ひさこさんに、今回の個展の感想をお聞きしました。
行方 RCRのお二人がおっしゃっていた、『建築を通して夢を実現する』『建築は人と人との関係を濃密にさせていくもの』『自然と戯れるような建築を作りたい』という言葉が印象的でした。その視点で改めて彼らの建築物を見ると、全然異なる印象になります。また、『風景を最大限にいかすものが建築』とおっしゃっていましたが、作品はもちろん、彼らの空気感にもそれが表われているような気がして。今回、来日したお二人が大切にしているもの、人となりが伝わってきます。チャーミングで、ナチュラルな感じが、ジェーン・バーキンを彷彿させます(笑)。大都市ではなく、地元の田舎で事務所を構えたのは、彼らの意思表示なんでしょうね
行方さんは、彼らの佇まい、作品が作り出す空気は、
「今の東京にものすごく必要なことだ」と感じたと言います。
EVENT INFORMATION
RCRアーキテクツ展 夢のジオグラフィー
〜2019.03.24(日)
OPEN 11:00/CLOSE 18:00(月曜・祝日休館)
入場無料
TOTOギャラリー・間
〒107-0062東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F