じわじわと巷で噂になっている「劇団ドラマティックゆうや」をご存知だろうか? 2016年に旗揚げされた小劇団は、田中佑弥と泉田岳による2人組ユニット。彼らの 第三回公演「怪獣の夢」が、5月30日(木)から6月2日(日)まで東京・APOC THEATERで上演される。

MASS OF THE FERMENTING DREGSやtricottら音楽アクトと対バン経験がある前代未聞の劇団ユニットは何者なのだろうか? 彼らのインタビューをご覧あれ。

「怪獣の夢」

 ご無沙汰しております。劇団ドラマティックゆうやでございます。皆様、いかがお過ごしでしょうか?
 当劇団の座長、ドラマゆうやはというと、エキストラとして声帯を奪われた演技を日々こなし、舞台では5番手くらいの配役で「飛び道具」として扱われ、プライベートでは実家に帰り、役者としてかなり仕上がってきております。めまぐるしい日常、こんな状況でも我々は、なぜか「安心」しております!
最近イライラしないですね~。愚痴を言って飲み潰れる事、ないですね~。そんな人達を完全に下に見ていますね~……これぞ、「安心」のなせる技です。
夢って信じれば絶対叶うじゃないですかぁ? 世界って美しいじゃないですかぁ? 花って綺麗じゃないですかぁ? TVが言うには日本て素晴らしい国らしいですし、外国の方も一番興味ある国なんですって!麻薬なんて最低だし、老人は運転がお上手だし、不倫した奴なんて豚箱入れましょう!
そんな精神状況で書いた話は最初「お花畑でカッコーが巣を作る話」だったりして、タイトルも「幸増(サチモス)」でした。

——これはまずいと。僕らそんな尾木ママみたいな人間じゃないだろうと。 我々はアフリカの子供達と繋いでいた手を離し、必死こいてダークサイドに戻り、なんとか「そのカッコーを焼き鳥にして一銭稼ぐ話」まで持っていけました!

劇団ドラマティックゆうや 第三回公演「怪獣の夢」!
蝿も集らない美しい世界、是非ご覧ください。

(語り:前科持ちのホームレス)

劇団ドラマティックゆうや インタビュー|演劇における「作品や思想を世に出す早さ」 interview190524-dramaticyuya-2

Interview:劇団ドラマティックゆうや

ーー自己紹介をお願いします

「劇団ドラマティックゆうや」と申します。
俳優の田中佑弥とCMディレクターの泉田岳の二人でやっております小劇団です。

ーー「劇団ドラマティックゆうや」とは一体なんですか?

二人劇の劇団です。
劇団といっても箱を借りて公演をする形態とは少し違い、場所は問わず色々なところで演劇をやっております。バンドのライブイベント、会社の発表会、結婚式などその都度TPOに合わせた演劇をお届けしております。

ただ毎回変わらないのは、二人の演じる役柄がスポットライトが当たらない人生を歩んできた人、ということです。ドラマティックゆうやのお話に出てくるキャラクターは、どこか偏見があって、どこか負けていて、考えを世に出してもシカトされてしまう地位のない人達です。物語の中ではそんな人達が走り回り、叫び、泣いて、毒を吐き、その毒が自分に帰ってきてしまって死んだりします。しかし何故か観劇した後に、読後感として救いがある。
そんな会話劇をやっております。

例えば普段誰もがしている「会話」って、話す相手との関係性や「友達」「恋人」「後輩」「上司」など色々なフィルターがかかってなんとか保てていますけど、そのフィルターが取っ払われた時に他の人にとって何の意味もないじゃないですか。帝京平成大学の2年生がサークルの夏キャンプで泥酔した話なんて興味ないじゃないですか。
「あたりめえだろ。」って話なんですけど、もし、そのやっすい会話を公に向けたお話に仕立てて100円でもお金が落ちてきたら儲けもんなのではないかという思想のもとに出来上がったのがドラマティックゆうやです。

ーーお2人の役割分担を教えてください。

田中→全てのセリフを覚え、走り回る
泉田→全てのセリフを考え、走り回っている人にチャチャを入れる

です。

ーーどういう経緯で結成されたんですか?

かねてよりCMディレクターである泉田は入社当時から書きためていた広告物とは関係のないお話を世に出す機会を伺っていました。正攻法で考えると「自主映像を制作する」となるのですが、映像は撮るのにコストがかかります。自分一人では完結しないのです。お金がかからなそうな表現媒体ということで「演劇」を見つけました。しかも「二人劇」にしてしまえばよりコストダウンに繋がります。そんな潰れかけの中小企業の再建案みてぇな泉田の思想によって彼の高校時代の友人である売れない役者、田中に白羽の矢が立ったというわけです。

ーー影響を受けたものや好きなものはありますか?

ハリウッド映画とトレンディードラマとお笑い番組です。
ドラマティックゆうやは「テレビに育てていただいた」、という自負があります。

ーーなぜ「演劇」なのでしょうか?

「早さ」です。
何かモノを世に出したい時、「ドラマティックゆうや」は二人の予定が合えば練習場所はどこでも良いですし、場所なくても電話で良いですし、話が上がった時点でほぼ完結します。他の劇団と違って小道具や舞台セットも要らないですし、ポスターやパンフレット、グッズをデザインしてくれるプロフェッショナルな友達が近くにいますし、「作品や思想を世に出す早さ」が演劇というかドラマティックゆうやをやっている理由ではないでしょうか。
加えて、普段溜め込んでいるストレスや鬱憤を「演劇」に包めば大概「舞台」か「コント」として解釈していただけるので、演劇は大変都合が良いのです。

ーーギャラリーでの公演、ライブハウスでの音楽イベントの出演など、他の劇団とは違うアプローチを感じますが、なぜですか?

場所は問いません。いつでもどこでも何のジャンルでも面白そうなところに集まる虫がドラマティックゆうやです。
演劇かコントかバンドかアートか寄席かミュージカルか映画か……よくわからないしどれでも良いです。
そもそも脚本を担当する泉田は演劇を観ないので、「劇団のアプローチ」を知らないのです。勉強します。すいません、すいません……

ーー脚本はどうやって考えてるんですか?どういう瞬間に話のアイデアを思いついたりしますか?

人と会話をしている時と、負けた人を見た時と、間違っている人を見た時と、失敗した人を見た時と、バカな人を見た時と、何かと都合のいい理由をつけて行動しない人を見た時と、そんなでもない事で喜んでいる人を見た時です。

うちの劇団にはその全てをこなす田中が在籍しているので、泉田にとってアイデアは永久機関と言えるのではないでしょうか。

ーーお気に入りの作品があれば簡単なお話の内容と作品について教えてください

安い漫画アプリの作品紹介風にいうと……

第一回公演「魂の行方」から
「栄一」
官能小説家の父親の葬儀を抜け出した喪主の息子と彼を探しにきた葬儀業者が父親の思い出を語る中、父親に隠された衝撃の謎が発覚し……??

第二回公演「明日の人」から
「木村さん」
木村拓哉のいい話エピソードを考えさせられている構成作家二人のお話。二人が最後に考えついたエピソードとは……!?

「兵士の走馬灯」
第二次大戦中の日本兵が何度も死にそうになり、何度も走馬灯を見てしまう。その走馬灯が過去の思い出からだんだん未来まで見えるようになってきて……

他にもいろいろあります。

ーーボツになったお話はありますか?

「ちんこ」というある兄弟の元にふるさと納税でちんこが送られてくる話がありましたが、品がないのでボツにしました。
「スペイン」という召集令状が来た若い兵士がスペインに行くと言い張る話がありましたが二人とも意味がわからなすぎて覚えられず、ボツにしました。

ーー今後やってみたいこと、目標はありますか?

やってみたい話はまだまだたくさんあります。
劇団としては座長である田中がそろそろ舞台に見切りをつけて、仰天ニュースとかの再現VTR俳優になることが当面の目標です。役者として、田中にとって良い収入源を劇団総出で模索中です。

ーー最後に一言お願いします。

読者の皆様、本当に偶然なんですが、5月30日(木)から6月2日(日)まで、ドラマティックゆうや第三回公演「怪獣の夢」が上演しております。お暇でしたら是非、劇場にいらしてください!

劇団ドラマティックゆうや
第三回公演「怪獣の夢」

劇団ドラマティックゆうや インタビュー|演劇における「作品や思想を世に出す早さ」 interview190524-dramaticyuya-2

日程

2019年5月30日(木)~6月2日(日)

5月30日(木) ①19時30分
5月31日(金) ②19時30分
6月1日(土) ③13時00分 / ④18時00分
6月2日(日) ⑤13時00分 / ⑥18時00分
※開場は開演の30分前

会場

【千歳船橋】APOCシアター
小田急線千歳船橋駅 徒歩1分

料金

【前売】3,500円/【当日】4,000円
全席自由席、税込
【前売り特典】特製ステッカープレゼント

予約

https://www.quartet-online.net/ticket/dramatic3

劇団ドラマティックゆうやWEBサイト

http://dramaticyuya.com/