デビュー10周年を迎えたスモーキー・ヴォイスのシンガー・ソングライター、エミ・マイヤーがナッシュビルで録音したアルバム『ウイングス』をリリースする。

アメリカと日本、ポップとジャズを行き来し、独自の世界を作り出してきた彼女に4年ぶりとなる新作について聞いてみた。

エミ・マイヤー『ウイングス』

今回のアルバムのテーマはどういったものでしょうか?

ー レコーディングの時にお腹に赤ちゃんがいたこと、ナッシュビルという土地でレコーディングをしたことが大きいですね。赤ちゃんのおかげで次の世代や未来のことも考えた曲が書けるようになりました。

なぜナッシュビルに行ったのですか?

ー 2015年にニューヨークでライブをした後、ナッシュビルを通って西海岸までドライブをしたのです。その時に一晩だけ泊まったのですが、音楽に満ちた街だと感じました。それとナッシュビルにいるケブ・モ(Keb Mo)さんとレコーディングが出来ることになったのも大きいですね。

プロデューサーのふたりはどんな人ですか?

ー ローウェル・レイノルズはレコーディングをしたブラックバード・スタジオのトップ・エンジニアで、私の経験ではエンジニアもプロデューサーのような大事な存在だと思います。彼はキングス・オブ・レオン(Kings Of Leon)やジェイムス・ベイ(James Bay)とも親しくて、よく一緒にスタジオに入っています。カントリーのシャナイア・トゥエイン(Shania Twain)ともお仕事をしていますね。もう一人のプロデューサー、ジョーダン・レニングはローウェルの紹介で出会いました。彼はストリングスのアレンジができるので、その2人とプロデュースすれば、それぞれの特徴が良いバランスになると思いました。

スタジオはどのような雰囲気でしたか?

ー ブラックバード・スタジオはナッシュビルでも有名なスタジオで、テイラー・スイフト(Taylor Swift)やジョン・メイヤー(John Mayer)、ベック(Beck)なども使っています。そのスタジオの中でD室が最も暖かく特別な響きがあることで知られています。一流のカントリーミュージシャンもポップミュージシャンも使っている施設で、次の世代を養うために若いエンジニアやプロデューサーの学校もあります。ブラックバードという名前はオーナー夫婦がビートルズ(The Beatles)の大ファンだからです。スタジオにはビートルズの本やグッズが飾ってあり、セッションの息抜きにそのページをめくるのも楽しかったです。

「フェン・アイ・ルーズ・コントロール」では、グラミー賞を4度も受賞しているブルース・ミュージシャン、ケブ・モと共作/共演されていますが、どうやって出会ったんでしょうか?

ー 以前からケブ・モさんの音楽は聞いていて、ナッシュビルに行こうかと考え始めた頃、そこに住んでいるとわかって連絡しました。何度もグラミー賞を受賞している伝説的な方なのでダメ元だったのですが、すぐにマネージャーさんから前向きなお返事があり、そこで「ナッシュビルにする!」と決めました。ケブ・モさんと共作することを想像するとすっごく緊張しましたが、本当に説明できないほど寛大な方で、録音と音楽について多くのアドバイスとノウハウを教えてくれました。

参加ミュージシャンは他にどんなアーティストをサポートしている人ですか?

「フェン・アイ・ルーズ・コントロール」のドラムはニール・ヤング(Neil Young)もやっているChad Cromwellさん、他の曲のドラムはジェイコブ・ディラン(ザ・ウォールフラワーズ)やシェリル・クロウ(Sheryl Crow)をやっているFred Eltringhamさんなど腕利き揃いです。

エミさんが弾いている楽器はありますか?

ー ピアノと歌に集中しました。「スペース」は弾き語りで録音しました。「ドリーム・ポエトリー」や「ハイ・ホープス」では久しぶりにピアノソロをフィーチャーしました。

Emi Meyer ”A Song For You”

いつものレコーディングと違うところはありましたか?

ー 今まで経験重ねてきたことで、プリプロからレコーディングまで昔より自信をもって意見を言えるようになりました。それと同時に自分の方向性と違う時も素早く判断できるようになりました。デビュー・アルバムの頃みたいにこの作品はどう聴こえるんだろう、ということより、どんな「音」を作りたいのかに集中できました。そしてレコーディング時に妊娠していたので歌ったり、テイクを聴いたり、お昼のランチをしている時も、体の中のもう1人の命に意識が向いていました。なので無理せず、楽しむことが一番大事だということは常に心がけていました。ナッシュビルの音楽シーンはLAとNYとも違っていて、新鮮で面白かったです。日本みたいに時間に正確だったり、礼儀を大事にするんですよね。

レコーディングで印象に残っていることはありますか?

ー ナッシュビルという土地柄か、みんな家族優先で、深夜までのセッションや録音は少なかったです。学校に子供を迎えに行ったり、夕ご飯は家族と一緒に食べる、日曜日は家族と過ごす、など。妊娠中の私にはスタジオ内も非常に居心地良かったです。

レオン・ラッセル(Leon Russell)の「ア・ソング・フォー・ユー」をカバーした理由は?

ー 本当に素敵な曲ですし、歌ってみたら歌詞の良さがより理解できて、なぜ昔からいろんな歌手が歌ってきたのかが解りました。個人的にはレイ・チャールズのバージョンが大好きです。

一番印象に残っている曲はどれですか?

ー どれもですが、オープニングの「ドリーム・ポエトリー」は今までないサウンドだと思います。「フェン・アイ・ルーズ・コントロール」もケブ・モさんとリズムや歌い方を細かく相談して録音した曲なので、ライブで歌うのが楽しみです。そして「ナッシュビル・ララバイ」はお腹の赤ちゃんに語りかけている歌詞で、あの時にしか書けない曲だったと思います。聞くたびにお腹の中の赤ちゃん、スタジオに入る前のワクワク感、そして夏のナッシュビルのバーベキューと蛍を思い出します。

Sample Video “Wings” / Emi Meyer

RELEASE INFORMATION

ウイングス

【インタビュー】エミ・マイヤーが語るニューアルバム『ウイングス』制作の裏側 music190610_emimeyer_1

2019.06.12(水)
¥2,700(+tax)

<収録曲>

01.Dream Poetry
02.I & I
03.When I Lose Control
04.Soul Naturale
05.Fear Me
06.Space
07.Original
08.High Hopes
09.Wings
10.A Song For You
11.Nashville Lullaby

Curious Creature Records

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EVENT INFORMATION

エミ・マイヤー デビュー10周年記念!「Wings」ツアー

【インタビュー】エミ・マイヤーが語るニューアルバム『ウイングス』制作の裏側 music190610_emimeyer_2

2019.11.20(水)@京都 磔磔
2019.11.21(木)@名古屋 得三
2019.11.25(月)@東京 渋谷クラブクアトロ
2019.12.15(日)@沖縄 桜坂劇場ホールA

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8pm vol.14

2019.06.18(火)@ボルボ スタジオ青山

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高田漣とエミ・マイヤー 素敵なお二人会

2019.07.13(土)@高田世界館(新潟県)
OPEN 15:30/START 16:00
ADV ¥4,500/DOOR ¥5,000(税込/自由席)
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