2019年9月10日、台湾の音楽ユニットF.I.R.が、Do As Infinityとのコラボレーション楽曲”無限青春 Forever Young”の中国語バージョンのミュージックビデオを公開しました。
日本語版は、9月25日に発売されたバンド名を冠した最新アルバム『Do As Infinity』へ、”Forever Young~不死鳥であるために~”として収録されています。
F.I.R. 飛兒樂團、Do As Infinity 大無限樂團 [ 無限青春 Forever Young ] Official Music Video
Do As Infinityといえば、2019年に活動20週年を迎えたばかり。数々のタイアップで多くの方に親しまれ、長年ファンの方に愛される音楽ユニットです。そんなDo As Infinityと初のコラボレーションを実現した台湾のF.I.R.とは、どんなグループなのでしょうか? 台湾の音楽シーンではどんな立ち位置? ……そんなあなたのために、今回は、F.I.R.についてお伝えします!
F.I.R. 飛兒樂團とは?
F.I.R. 飛兒樂團 – 我超越 (華納official 官方完整版MV)
F.I.R.は、2004年に台湾で結成された男女3人による音楽ユニットです。バンド名はFairyland in Reality(日本語訳:現実にあるおとぎの国)を短縮したものであり、初代メンバー3人の英語名の頭文字(Faye,Ian,Real)からも取られています。
異世界感のある開放的なメロディーや高品質の楽曲で、台湾国内のファンはもとより、日本の台湾ポップス愛好家からも熱く支持されています。
F.I.R.は、とあるテレビドラマの主題歌へ起用されたのがきっかけに有名になりました。デビューした2004年から2018年頃まではFayeが初代ボーカルをつとめ、2018年からは2代目ボーカルのLydiaへ交代し、2019年にニューアルバム『末日青春 : 補完計劃(英:Re:Youth)』をリリースするなど、精力的に活動を続けています。
現ボーカリストのLydia(韓睿)は、大学の音楽コンテストに出演したのを機に、ギタリストのReal(阿沁)にスカウトされ、2代目のボーカルに抜てきされました。
「初代ボーカル、Fayeさんの歌声が好きなので、そのようなグループに加入でき、幸運の女神に祝福されたように思いました。とはいえ私自身も、もっと努力してF.I.R.の作品を表現しよう」と決意したそうです。
ギタリストのReal(阿沁)は、有名アーティストへ多くの楽曲を提供し、音楽学校を創立するなどのキャリアの持ち主。キーボーディスト兼プロデューサーIan(陳建寧)は、ベテランのプロデューサーとしての顔をもち、F.I.R.の活動のほか、これまでに、張惠妹(アーメイ)、流星花園(台湾版の『花より男子』)など、数々の有名アーティストのアルバムをプロデュースしています。
そんなF.I.R.がDo As Infinityとのコラボレーションに至ったのはなぜなのでしょうか?
”深い森”のカバーをキッカケにつながる、台日の絆
2019年7月、F.I.R.はDo As Infinityのリード曲、”深い森”の中国語カバーをFacebook上で公開し、Do As Infinityの結成20周年を祝福しました。すると台湾のF.I.R.ファンは大盛り上がり。「2000年代からDo As InfinityとF.I.R.が好きです! いつかコラボレーションが見たいな」との声も挙がったのだとか。
また、Do As Infinity本人達にもこの動画が目に留まり、このカバー動画をFacebookのファンページにシェアして、国境を超えてお礼の気持ちを伝えました。その後、双方の事務所を経由して、音楽についての理念や考え方を話し合った結果、”無限青春 Forever Young”のコラボレーション企画が決定したとのこと。
”無限青春 Forever Young”のコンセプトは、「”青春”が考え方だとすれば、その時制は無限にある」ーーたとえ今が何歳でも、若い気持ちを忘れず、あらゆる挑戦に前向きであることを応援する内容です。
”無限青春 Forever Young”はF.I.R.が作詞と作曲を担当しました。「Do As Infinity の曲が大好きで、尊敬しているので、コラボ企画の実現がとても楽しみでした」と、Realは当時を振り返ります。そして、F.I.R.はエイベックスのアーティストが愛用する渋谷のスタジオ「prime sound studio form」を訪れ、Do As Infinityとともにレコーディングを行ったそう。
「私たちにとって、とてもいい刺激になっています。F.I.R.のお誘いに感謝していますし、音楽は国境を越えられるんだなと感じました」伴都美子さんはそう語ります。
東京、大阪、台北、宜蘭で行われたMV撮影
”無限青春 Forever Young”のミュージックビデオ撮影チームは、東京、大阪、台北、宜蘭などの日台各都市を訪れて約一ヶ月の撮影を行いました。アイドルになる夢を見る高校生、ダンスダンスレボリュージョンが大好きなビジネスマン、甲子園を目指している野球選手、帆船で世界一周する男性など幅広い年代の人びとが、夢をもつ熱い気持ちをテーマにしています。
F.I.R.本人らが登場する東京では、数多くのバンドや路上アーティストのスタートラインの場所である渋谷が撮影地となりました。3人がスクランブル交差点を歩くシーンは、「最初の自分を忘れない」というF.I.R.の精神性を表しています。
”無限青春 ForeverYoung”のもう一つの撮影地は、日本愛好家で知られるRealがよく訪れる渋谷のギターショップです。Realが当地のオーナーとも親しいことから、ロケ地に決まったそうです。
そして、Do As Infinityは”無限青春 ForeverYoung”の発表後、2019年10月に今年で3回目となる台北公演を実現。終盤には、F.I.R.のメンバーが登場し、Do As Infinityの伴都美子とLydiaのWボーカルで”無限青春 ForeverYoung”を披露し、大盛況のもとに幕を降ろしたとの情報も。
今後も日台のベテランアーティストたちのコラボレーションに要注目です。
Text:中村めぐみ
Cooperation:TAIWAN BEATS Brien John / 張凱鈞 / 張家綸
写真提供:TAIWAN BEATS