『IT/イット』の巨匠スティーヴン・キングが2013年に発表した小説を基に、マイク・フラナガンがメガホンを取った『ドクター・スリープ』。アメリカではすでに大ヒットを記録し、日本で行われた試写会でも高評価が続出している。日本でも今週末の11月29日(金)に公開が迫ったなか、すでに傑作と呼び声も高い本作の原作者であるスティーヴン・キングのロングインタビューが公開された。
スティーヴン・キングのロングインタビューが到着
インタビューでは、小説『ドクター・スリープ』のキャラクター造形の裏側や本作のテーマ、今回の映像化について、スタンリー・キューブリックが監督を務めた『シャイニング』との対比や繋がりなど、本作について余すことなく語られた。
キングは、「私はいつも言ってきたんだが、スタンリー・キューブリックの映画版と私の小説の違いは、彼の映画が氷で終わるのに対し、私の小説は炎で終わるという点なんだ」と、2つの作品の違いを前置きした上で、「しかし、大人になったダニー・トランスのストーリーを、マイク・フラナガン監督が、自身の明らかにおおらかな心を通して研究してくれた。だからこそ彼はキューブリックの映画をもう少し先へと進めることができ、それによっていろいろな点に“温かさ”が加わっている」と、キングの世界とキューブリックの映画を融合させることに成功したと語る。
「この映画はふたつのことをやっている。まず、これは小説『ドクター・スリープ』の見事な映画版であること。そしてまた、スタンリー・キューブリックの映画『シャイニング』のすばらしい続編であることだ。マイクは、映画『シャイニング』では起きたが、小説「シャイニング」では起きなかったこともいくつかあるという“世界”で、この映画に取り組み、この二つのテーマをうまく成し遂げている」と、監督の手腕を絶賛した。
キャラクター造形に関わる裏側も、YouTubeで特別映像公開
本作のキャラクター造形には隠された裏側も、キングによって告白された。「『ドクター・スリープ』を執筆したとき、私は長い間、断酒をしていた。私はその視点からダニーのストーリーを書きたかった。というのは……。いや、私は別に自分がふたりの別の人間だったと言うつもりはないよ。それだとこのストーリーを誇張することになってしまうからね。ただ、私自身、『シャイニング』を書いたときの自分とは、相当違っているし、人生において違う場所にいる。それが『ドクター・スリープ』を書こうと思った推進力のひとつだった。このキャラクターに関しては、自分がもっと広い視点で描けると感じたんだよ。」と、執筆時の環境についても語った。
さらに、「私がやりたくなかったのは、酒を飲むとか飲まないとかについての道徳的なメッセージみたいなものにすることだった。私が目指したのは、このキャラクターを読者、あるいは観客に見せて、何が起きたかを基に、彼ら自身で判断してもらうことだったんだ」と、キング自身の経験が一部インスピレーションとなって生まれた、大人になったダニーを通して見える世界を観てほしいと語る。
YouTubeでは、スティーヴン・キングとマイク・フラナガンが本作について語る特別映像も公開されている。映画公開を目前に、彼らの作品への思いをチェックしてみてはどうだろうか。
映画『ドクター・スリープ』特別映像(S・キング&フラナガン)2019年11月29日(金)公開
RELEASE INFORMATION
ドクター・スリープ/DOCTOR SLEEP(原題)
11月29日(金)全国ロードショー。
原作:スティーヴン・キング「ドクター・スリープ」(文春文庫刊)
監督&脚本:
マイク・フラナガン(『ジェラルドのゲーム』スティーヴン・キング原作、『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』)
キャスト:
ユアン・マクレガー(『スター・ウォーズ』シリーズ)レベッカ・ファーガソン(『ミッション:インポッシブル』シリーズ、『グレイテスト・ショーマン』) カイリー・カラン