登場人物の奥底まで掘り下げた心理描写に定評のある島本理生が2018年に発表するや、これまで恩田陸『蜜蜂と遠雷』や東野圭吾『容疑者Xの献身』など数々の映像化作品が受賞してきた第159回直木賞を受賞し、早くも累計発行部数30万部を超えベストセラーとなっている『ファーストラヴ』。‟稀代の問題作“とも称された傑作サスペンス・ミステリーの本作が衝撃の完全映画化を果たし、2021年に全国公開される。この度、本作の追加キャストとして中村倫也、芳根京子、窪塚洋介が出演することが発表された。
堤幸彦監督作『ファーストラヴ』に中村倫也、芳根京子、窪塚洋介が出演決定
本作の主人公である公認心理師・真壁由紀を演じるのは、人を惹きつける芝居と端麗な容姿で幅広い層から絶大な支持を誇り、テレビドラマ『家売るオンナ』シリーズや映画『スマホを落としただけなのに』の大ヒットも記憶に新しい北川景子だ。女子大生による動機なき殺人事件の真相に迫り、その心理を解明していくうちに自身が心の奥底にしまい込んでいた“ある記憶”も暴かれていくという複雑な役どころで新境地を見せている。
監督は『十二人の死にたい子どもたち』をはじめ、『TRICK』シリーズや『SPEC』シリーズなど数々のスタイリッシュなサスペンスで熱狂的なファンを生み出してきたヒットメーカー・堤幸彦が務め、北川景子とは初タッグとなる。脚本を担当するのは、NHK『八日目の蝉』や『彼女がその名を知らない鳥たち』も手掛ける浅野妙子だ。
中村倫也は北川景子演じる由紀の義理の弟で、由紀とともに、事件の真相に迫る敏腕弁護士・庵野迦葉に挑む。昨年度のエランドール賞で新人賞を受賞し、ドラマ『美食探偵』や映画『水曜日が消えた』をはじめ、出演作品が目白押しの中村は、本作ではクールでドライな弁護士を体現。本人も「ここまで頭から離れなかった人物は初めてかもしれません」と語るように、由紀の過去の記憶のカギを握る難しい役どころだが、中村が放つ色香や佇まい、表情の機微が、張り詰めた糸のごとく、見る者に心地よい緊張感を与えている。
また、由紀と迦葉が向かい合う父親殺しの容疑者・聖山環菜は、第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した名実ともに若手トップクラスの芳根京子が演じることに。父を刺殺しながらも供述を二転三転させ、本人も「環菜と向き合えば向き合うほど、引きずり込まれそうで震える恐怖を、初めて味わいました」と振り返るほど真意のつかめない複雑なキャラクターを、鬼気迫る演技で熱演。環菜が発する言葉の一つ一つや身に纏う雰囲気が不穏な空気を帯び、観る者をスクリーンに釘付けにする。
そして由紀の夫であり迦葉の兄という、二人のよき理解者となるカメラマン・真壁我聞は、日本が世界に誇る名優・窪塚洋介が温かく優しい眼差しで演じる。2017年に公開されたマーティン・スコセッシ監督作『沈黙-サイレンス-』で世界デビューを果たし、一躍世界中にその名を轟かせた窪塚は、「求められたのは“何もしない”こと」と落ち着いたトーンで作品に抑揚と緩急をつけ、物語に奥行きを持たせている。
堤監督が「まさにベストな人選。お陰で密度の濃い化学反応がいくつも」と自信をみせる豪華アンサンブルに期待が高まる本作。場面写真に加え、出演者3名と監督のコメントも到着したので合わせてチェックしてほしい。
このビターな世界の中で、迦葉はどんな過去を背負い、またどんな未来を歩いていくのか、日常生活まで入り込むほどずっとず〜っと考えていました。ここまで頭から離れなかった人物は初めてかもしれません。僕がこの世界に入る前から一ファンとして多大なる影響を受けてきた堤さん、窪塚さん。もはや百戦錬磨の芳根さん。そしてなにより、同世代の星、北川さん。試写の案内が届くのが楽しみな今日この頃です。ご期待ください。
中村倫也(庵野迦葉役)
環菜と向き合えば向き合うほど、引きずり込まれそうで震える恐怖を、初めて味わいました。撮影が終わった今も、思い出すと涙が溢れます。現場の温かい空気と、スタッフ・キャストの皆様に心から救われました。真壁先生が北川さんで本当に良かったです。初めての堤組で経験させてもらった事は、一生忘れません。
芳根京子(聖山環菜役)
何もしないことの難しさ。堤監督との12年ぶりの仕事で求められたのは“何もしない”こと。何の狙いも持たずにただただ良き夫、良き兄としてカメラの前で在ることは想像以上に難しかった。つい作為的になりがちなところを北川景子さん始め、演者とスタッフが真摯に自分の仕事に向き合う様に支えられて挑戦することが出来たように思います。
窪塚洋介(真壁我聞役)
今回のキャストはまさにベストな人選であった。お陰で密度の濃い化学反応がいくつも。
中村氏は眉目秀麗な弁護士を演じるが、彼の役が持つ“影”はストーリーの低いところで少しずつ温かい流れとなって全体をくるんでいく。難しい役どころだったがストイックに演じ切ってくれた。
芳根京子さん。役に憑依するとは彼女の事だ。撮影のシステムも熟知していて狙った場所で狙った以上の演技をする。まさに天才。涙の魔術師。
そして盟友・窪塚洋介。いろいろと過去から演じてもらったが、今回はまさに“はまり役”ではないか。信念と優しさ、まるで扇の要のようにいい声で動揺する魂を鎮めていく。
他にもたくさんのこの映画にとっての適材適所な役者が渦巻いている。本当にたくさん。なんとも贅沢な作品作りであった。感謝!
堤幸彦(監督)
INFORMATION
ファーストラヴ
2021年 全国ロードショー
出演:北川景子、中村倫也、芳根京子、窪塚洋介
監督:堤幸彦
脚本:浅野妙子
原作:島本理生『ファーストラヴ』(文春文庫刊)
製作:『ファーストラヴ』製作委員会
制作:角川大映スタジオ/オフィスクレッシェンド
配給:KADOKAWA
©︎2021『ファーストラヴ』製作委員会
あらすじ
川沿いを血まみれで歩く女子大生が逮捕された。殺されたのは彼女の父親。
「動機はそちらで見つけてください。」
容疑者・聖山環菜(ひじりやま・かんな)の挑発的な言葉が世間を騒がせていた。
事件を取材する公認心理師・真壁由紀(まかべ・ゆき)は、夫・真壁我聞(まかべがもん)の弟で弁護士の庵野迦葉(あんのかしょう)とともに彼女の本当の動機を探っていく。
二転三転する供述に翻弄され、真実が歪められる中で、由紀は環菜にどこか過去の自分と似た「何か」を感じ始めていた。
そして自分の過去を知る迦葉と環菜の過去をきっかけに、由紀は心の奥底に隠したはずの<ある記憶>と向き合うことになるのだが……。
なぜ、彼女は父を殺さなければならなかったのか?
「ファーストラヴ」に隠された事件の真相に、あなたの「愛の記憶」も揺らぎ出す――。