今年はコロナ禍の中、お家時間が増え、部屋にある漫画を読み返したり、気になってた漫画を一気読みする人も多かったのではないでしょうか? そんな2020年、アーティストたちはどんな漫画に熱中したのか、どんな感想をもったのか。
Qetic編集部では『THE BEST COMICS OF 2020』と題し、アーティストたちが今年ハマった漫画を紹介する企画を実施。お家で過ごす年末年始のお供となる作品を見つけられるかも!
今回はシンガーソングライターのCikahが『RAINBOW -二舎六房の七人-』/原作・安部譲二、作画・柿崎正澄をピックアップ!
Cikah – 『RAINBOW -二舎六房の七人-』/原作・安部譲二、作画・柿崎正澄
私Cikahのおすすめする漫画は『RAINBOW -二舎六房の七人-』です。
物語の舞台は戦後まもなくの荒んでいた日本で、その残酷な時代に罪を犯し湘南特別少年院に収監されることになった七人の少年たちが主人公です。世の中の不条理や大人の汚さ、残虐さ、逃れられない苦しみをテーマに描かれた作品です。
とにかく一番好きな漫画を聞かれると必ず『RAINBOW』と答えてきた私ですが、不意に軽い気持ちで読めないくらい内容は重たく、一巻ずつ読み進めるごとにお腹の奥に鉛が詰まっていくような言いようのない感情が次々と押し寄せてきます。
こんなに辛いことあるの? と一見疑いたくもなりますが、戦後間もない日本で実際に起きていたのだろうという仄暗いリアリティさが、読み手のページをめくるスピードを更に加速させていきます。
「RAINBOW」って虹という意味だけど、どうしてこんなに明るくて綺麗なタイトルをつけたの……と疑問に思うほど感情揺さぶられます。虹は7色。そういうのを考察するのもまた楽しい。
ただの泣ける少年たちの成長漫画じゃない。
これでもか! というくらい苦しみや地獄の底のような出来事が続く中で、それでも絶対に生きてやるんだと立ち向かう血生臭いくらいの生き様が滲んでいる作品です。
少年たちの「友情」という言葉では纏められないような絆も、涙無しでは見れません。
ああ……苦しくなるんだけどこれを書いてたらまた読みたくなってきた。
ちなみにわたしは初めて読んだとき、1巻から最終話の22巻まで一度も休憩せずに取り憑かれたように一気読みしました。
そのくらい引き込まれるパワーのある、忘れたくても忘れられないそんな衝撃をくれた漫画です。
PROFILE
Cikah
“唯一無二のハスキーボイスと切れ味鋭く毒にも薬にもなる中毒性抜群のフレーズ”
1991年生まれ、秋田県出身の女性シンガーソングライター。
幼少期の頃からR&Bやファンク、アシッドジャズなどの影響を受け、ソウルフルな歌声で、確固たる個性と魅力が特徴的。13歳の頃から作詞作曲を始め、18歳で大阪芸術大学音楽学科のポピュラー音楽コース入学とともに本格的な活動を始める。
活動初期から活発な動きを見せており、2015年より自主レーベル「PITTAN RECORDS」からアルバムとライブ音源を全国リリース。2015年1⽉に秋⽥クラブスウィンドルでスガシカオ「Hitori SugarTour」秋⽥公演に多数の応募の中から選出され、その後自身でもNYツアーを⾏う。
2016年にはABS秋⽥放送の「くるくるオンタイム」にて楽曲「誰もが」が年間1位を獲得。
2019年にはR&BピアニストShoAsanoをアレンジャーに迎え、自身のルーツであったブラックミュージックを取り入れたテイストを中心に幅広い楽曲を制作。
2020年、世界的な活動を視野に広げアーティスト名を“Cikah”に改名し、改名後第一弾 配信シングルとして“GO TO JIGOKU”をリリース。