昨年から続くコロナ禍が猛威をふるい、今年のゴールデンウィークはおうちで過ごす人も多いのではないでしょうか? おうちにいる機会に、ゆっくりと写真を眺めたり、こだわりの質感を感じることのできるアートブックにも注目が集まっており、Qeticでも『アートブックノススメ』として、毎月編集部がピックアップしたアートブックを紹介しています。
今回はゴールデンウィーク特別版として、クリエイターやアーティストのオススメの書籍をご紹介! アーティストたちの本棚にはどんな本が並んでいるのか、中でもオススメの一冊とは!? リアルな本棚の写真と共に、お気に入り書籍の紹介コメントも。長く休みが続くゴールデンウィークのお供となる本を見つけられるかも!
今回はLil’Leise But Goldが『邪悪な花鳥風月』/岩井志麻子をピックアップ!
Lil’Leise But Gold -『邪悪な花鳥風月』
元来私は岩井志麻子世界の虜である。
そして今日皆さんにお勧めしたい一冊は『邪悪な花鳥風月』だ。
初めに著者の紹介をしよう。夕方の某テレビ番組において大抵彼女は豹の装いで、デスクの下では華麗に開脚し、お茶の間が油断したところを妙に尖ったコメントを撃ち込み涼しい顔をしている、そんな方だ。一方数多くある著書では、ありふれた日常の隙間にいつしか根付いた憎悪や、それにより生まれた狂気が淡々と、そして当たり前のように破滅していく様を丁寧に描いている。
さて『邪悪な花鳥風月』。主人公は「私」。環境にも才能にも大変恵まれた新人女流作家。彼女は家族の家とは別に、仕事部屋と称してマンションの一室を借りている。その部屋から見下ろす木造アパートの住民達から着想を得て4つのお話を紡いでいく、序章と終章全六話からなるオムニバス小説だ。
初めに「私」から語られる、「私」がこの一室にいる4つの理由。狭い部屋の小さな窓から覗き見る、アパートの住人たちを主人公にした4つの物語。妄想と現実、理想の境界は曖昧になり混ざり合う中、『私』はこの部屋を借りた4つ目の理由を思い出そうとすると、頭の奥が痺れぼんやりしてしまう。
最後のその1ページまで油断を許されないこの本。中でも私が一番気に入っているお話は“いずれ檸檬は月になり”だ。一つは本物の月、もう一つは人工の月がある、近くて遠い異国の街。妄想が暴走する。
甘美なおとぎ話にぞっとしたい方へ。
PROFILE
Lil’ Leise But Gold
Lil’ Leise But Gold (リル・レイゼ・バット・ゴールド)
東京都出身のシンガーソングライター、ビートメイカー。子供の頃に見た映画「天使にラブソングを 2」に出ていたLauryn Hillに影響を受け、活動をスタートさせる。2019年にKMとのコラボシングル「(no)Reason」「24 rules」の二枚のシングルと、2020年に自曲のセルフリミックス「(no) Reason [bitter coco Remix]」をリリース。2021年3月にadd.some labelsよりKMとのコラボレーションEP「Sleepless 364」をリリースし、東京のアンダーグラウンドシーンで注目を集めている。
RELEASE INFORMATION
Sleepless 364
Lil’Leise But Gold
2021年3月24日(水)
add. some labels
収録曲
1.Sleepless (Pt.1 & Pt.2) (prod.KM)
2.Pearl (prod.KM)
3.Nobono (prod.KM)
4.Citrus (prod.KM)
5.Aenaiya (prod.KM)
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