長く続くコロナ禍でおうちで過ごす時間も増え、模様替えのためにインテリアや気分が晴れやかになるような日用品を買い揃える方も多いのではないでしょうか? そんな中、インスピレーションを与えてくれたり、部屋に彩りを与えてくれるアートブックに対する関心も高まっています。そこで、デジタルでは感じえない手触りや質感まで、こだわりが詰まっているアートブックを、Qetic編集部がピックアップして紹介します! 今回は『flowers』/奥山由之 他4冊をセレクト!
『2020』/BEN KELWAY STUDIO
イギリスを拠点とするクリエイティブスタジオ「BEN KELWAY STUDIO」が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行に伴い、チャリティ企画として制作したタブロイドタイプ冊子です。当初は、10人の選者が10冊の写真集をセレクトする非営利団体「10×10 PHOTOBOOKS」のコンセプトより着想を得て、2020年刊行/20ページ/20の団体・組織などへのチャリティを目的としてスタート。しかし、予想を超える反響を得たことで72ページへと変更され、およそ70名の作家が参加することとなった一冊です。
そのセレクトやバリエーション、デザインにモダンな美しさが感じられ、本スタジオの世界観がうかがえる内容に。アーティストの作品集でありながら、どこか日常にあるような親近感が本書の大きな魅力です。2月のアートブックノススメで紹介したJuergen Tellerや、本項で紹介するAlbrecht Fuchsなど本連載で登場した写真家なども参加しています。
Emma Stone, Alicia Vikander, Léa Seydoux in the New Classics Campaign | LOUIS VUITTON
INFORMATION
¥3,850 (tax incl.)
360 x 289 mm
tabloid paper 72ページ
BEN KELWAY STUDIO
掲載協力・写真提供:twelvebooks
※実店舗・ECサイト、共に購入可能です。
『GHOST WITNESS』 – Mårten Lange
スウェーデン人フォトグラファー、モルテン・ランゲ(Mårten Lange)の作品集。2017年の作品『THE MECHANISM』では監視社会をテーマにした写真集を発表するなど、ストーリー性の高い構成が特徴的なフォトグラファーとして知られています。本作では、中国の自然信仰の伝統や経済的成長の背景が混じりあった景色を写し出しています。中国滞在中に大都市を訪れた作者は、建築物・テクノロジーが発展した街並みの他にも、そこに映る煙や空、海といった自然をカメラに収め、そのコントラストをモノクロで表現。ラストにかけて収録されている水面は、本書を通した議題について読者に語りかけるようなエネルギーを感じさせます。
INFORMATION
¥6,600 (tax incl.)
230 x 330 mm
ソフトカバー 176ページ
LOOSE JOINTS
『ALBRECHT FUCHS: ALBUM – PORTRAITS 1989-2020』 by Albrecht Fuchs
ドイツ人フォトグラファー、アルブレヒト・フクス(Albrecht Fuchs)の作品集。アーティスト、アートエージェント、コレクター、出版者といった様々な分野で活躍する人々のポートレイト作品が収められています。また本書は、ブラウンシュヴァイク写真美術館とニュルンベルクの「KunstKulturQuartier」で開催された初めての大規模な展覧会を記念して出版され、作者の作品の理解を深めるために選ばれたイメージとしても収録された一冊です。
スタジオやリビングルームなど、プライベート空間に佇む表情は単純なスナップ写真とは異なる空気感を纏っていて、一人一人とても魅力的。オリジナリティを感じるポートレート写真は、スタイリングや部屋のコーディネートのインスピレーションとしてもおすすめです。
INFORMATION
¥4,950 (tax incl.)
220 x 280 mm
ソフトカバー 112ページ
WALTHER KÖNIG
掲載協力・写真提供:twelvebooks
『flowers』/奥山由之
数々のアーティスト写真の撮影やMVの制作でも活躍する奥山由之氏。本作は、花を媒介に、亡き祖母との対話をはかることをテーマとした写真集です。キッチンや書斎、寝室など空間を撮った写真からは奥山氏の祖母が暮らしていた時間を感じられ、写真という静的な作品ゆえの時間を切り取ったような作風がとても印象的です。また、撮影の舞台となった亡き祖母が暮らしていた家は、現在自身のアトリエとして使用しているそう。大判カメラのコンタクトシートや中判カメラ、35ミリ、ポラロイドなど様々なカメラを用い、生前の祖母の視点、亡き祖母の漂う視点、そして作者自身の視点が垣間見える心温まる作品集です。
INFORMATION
¥5,500 (tax incl.)
261 × 216mm
布張り上製本 152ページ
赤々舎
掲載協力・写真提供:T-SITE SHOPPING 代官山 蔦屋書店
※実店舗・ECサイト、共に購入可能です。
『THE SEVEN UNIVERSAL PROPHECIES』/NISHIMOTO IS THE MOUTH
“架空”のカルトクラブ「NISHIMOTO IS THE MOUTH」を主宰する西本 克利氏をMari Kojima氏が撮り下ろした初の写真集です。ブランドを始動した当初は、友人、知人にのみ配布する形で流通されていたものの、ドレイク(Drake)、ヴァージル・アブロー、トム・サックス、ピーター・サザーランド、Matte Babelらが着用したことで大きな話題を呼び、2020年に精力的に活動を開始。本作は「ビックリマン×河村康輔」「2PAC」「Yuya Hashizume 」等のマーチャンダイズ制作を手掛けるCOMMON BASEから出版されていることでも注目を集めています。ブランド同様に独特の世界観を閉じ込めた写真が収録されており、サイズ感も収まりが良いので、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
INFORMATION
¥2,200(tax incl.)
182 × 257 mm
ソフトカバー 24ページ
COMMON BASE
掲載協力・写真提供:T-SITE SHOPPING 代官山 蔦屋書店
※実店舗・ECサイト、共に購入可能です。