エイベックス×テレビ東京による『ヨルヤン』のオーディションを勝ち抜いたヴォーカリスト5人によるユニット、mzsrz(ミズシラズ)の1stアルバム『現在地未明』が3月16日(水)に発売される。
それぞれが圧倒的な歌唱力をもちながらも、当アルバムは声同士が反発し合うこともなく、美しく融解しあいながら歌詞の世界観を表現している。とても1年前まではお互いのことを“見ず知らず“だったとは思えないほどのクオリティだ。
その一方、トラックメイカー・DECO*27(デコニーナ)が彼女たちに提供した楽曲は、素人目からも分かるほどモノにするのが難しい。それらのハードモードな楽曲を、彼女たちはどのように攻略していったのだろうか。今回はアルバム制作を終えてもなお現在進行形で成長を続ける彼女たちに、制作の裏側にまつわる4つのお題を提示し、話を伺った。
INTERVIEW:mzsrz
もっとも難しかった曲
━━オーディションに合格しユニット結成以降、楽曲のレコーディングに臨んでみていかがでしたか?
大原きらり(以下、大原) 自分の強みは歌声を前面に押し出せることなので、オーディション時点では「どんな曲がきても負けないんじゃないかな」って思っていたんですよ。でも、いろんな音楽ジャンルの曲が用意されていたので、実際には全てを力強く歌えばいいだけではなかった。特に感情を込める部分は繊細に、静かに歌わなくちゃいけないことが難しかったです。
ただ、いろんな曲をレコーディングしていくにつれ、新しい歌い方を試行錯誤できるようになりました。特に“フェーダー”は私の出だしから始まるのですが「そんな歌い方したことない」ってくらい静かにゆっくりと歌わなくちゃいけなくて。気持ちを抑えつつも、聞いてくださるみなさんにきちんと届くように……っていう絶妙なラインを掴むことを意識しました。
━━全体的にみても、個々人においても表現の振れ幅がすごいですよね、このアルバム。ちなみにみなさんはどの曲が一番難しかったですか?
作山 由衣(以下、作山) “パンデモミウム”ですね。符割りがかなり早口だし、音程の変化もすごく激しくて。“夜明け”も早口ではあるのですが、それ以上に難しかったのは“パンデモミウム”だったかもしれない。みんなで「この曲やばいね」って。あと、ハモりが段違いに複雑だったので苦戦しました。
よせい でも、みんなお互いを信用してるから「どうせいけるだろう!」ってね。各々がレコーディングブースに入るたびに「頑張れ〜!」って見送ってました。
実果 “パンデモミウム”は難しいと同時にめちゃくちゃ楽しかったかも。作編曲を担当されていた椎乃味醂さんの楽曲をもともと聴いていたので、この楽曲が届いた時は「え、やばい……」って。いちファンとして嬉しかったです。
mzsrz(ミズシラズ) / 「フェーダー」Lyric Video
思い入れのある楽曲
━━実果さんは過去のインタビューではレコーディング中に涙をこぼす瞬間もあった、とおっしゃっていたのですが、特に苦しかった瞬間はありましたか?
実果 レコーディングが本当に難しくて。特に“夜明け”は思い通りに歌えなくて、オーディションの『ヨルヤン』の番組内にも残っているくらい泣きました。ただレコーディングを重ねるごとに楽しむ余裕ができて。みんなで作り上げた実感はありますし、現時点で「このアルバムが自分の宝物になる」と確信しています。
あと“インベーダー”はオーディションの課題曲だったこともあって思い入れがあります。特にレコーディング中、最後の部分でフェイク(※音程やメロディに変化を加える歌唱技法)をさせてもらった時に「カッコいいね!」って言われたのが思い出深いです。
よせい 私はデビュー曲ということもあって、“夜明け”が一番刺さっているかもしれないです。自分の中でもすごく特別な楽曲。心に悩みを抱えていたり、不安を抱えていたりするときに歌詞が寄り添ってくれるんですよね。
私はもともと歌手になりたかったのですが、母親は大学への進学を強く望んでいたんです。本当に運良くオーディションに合格したものの、正直、両立ができるのか不安でした。「何が真っ当な人生なのか」を悩んでいた時だったので、この曲が自分に刺さりました。「自分はこれでいいんだ」と思えるようになったんです。
ゆゆん 思い入れでいうと、私は“アンバランス”かもしれないです。初めてmzsrzとして『ショコラの魔法』という映画の主題歌を担当させてもらったんですよね。歌唱パートの振り分けを見た際に、私が一番最初の歌い出しと一番最後のフレーズのソロだったんですよね。
正直、「私が、そんな重要なパートを務めていいのかな」って不安になりました。私は自己肯定感が低くて「私はこのグループに必要なのか」ってずっと考えてばかりで。だからこそ、この大役を務めさせていただいたことで「私が必要なんだ」ってやっと感じることができました。
アルバム完成を振り返って
━━今回のアルバムは昨年の夏頃から準備をスタートされたと伺いました。みなさんにとっては初めてフルアルバムのリリースとなりますが、最初に「アルバムを出す」ということが決まった時の印象を覚えてますか?
よせい 今まで好きなアーティストさんのアルバムを店舗で見て「形に残るのはいいな」と思っていたので、まさか自分たちもこうして作り上げてきたものを形にできる機会をいただけるのは本当に嬉しいです! 皆様の手に渡る機会をいただけたことに対し、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
━━では、実際に出来上がったCDを手に取った時はどんな感情が沸きましたか?
大原 すごく「mzsrzらしいな」って感じました。そして、よせいが言ったように「形に残る」っていうことがとても嬉しいです。発売後にCDショップで並ぶ姿を想像して楽しんでいました。
作山 まだ未熟な私たちが、世の中に出ている著名なアーティストさん達と同じものを出せていることがすごく嬉しいですね。関わってくださった多くのみなさんや、何よりファンの方に感謝しています。
ゆゆん 私は未だに実感が湧かないんですよね。デビューして1年でアルバムって出来上がるんだな……って。でも、お店に並んだら「mzsrzのアルバムが置いてある!」って今とは違う感情が湧いてくるんだと思います。
━━オーディション時点ではメンバー同士の面識もなく、文字通り「見ず知らず」だったのに、なぜここまで結束力をもって一つのアルバムを完成させられたのだと思いますか?
よせい お互いの「歌声」が好きだらこそ成り立っている関係なのかなって思っています。メンバーそれぞれの声に魅力と特徴があって、初めてお互いの歌声をオーディションで聞いた時にすごく惹かれたんですよね。そしてレコーディングを重ねていくにつれ「やっぱり自分1人だけだったら、自分自身の良さも出なかったな」って思う瞬間はありました。みんなの歌声が出会ったからこそmzsrzの楽曲になることができたんです。
mzsrzが次にチャレンジしたいこと
━━今回の1st Albumを経て、次にmzsrzとしてトライしてみたいことがあったら教えてください。
大原 次はそれを手にとってくださる方々を生で感じたいですね。そしてこのアルバムはいろんな音楽ジャンルが混ざり合って構成されていますが、まだまだ駆け抜けていくためにもっと新しいこと……絶対に人間が歌えないような曲ができたらかっこいいなって思います。
作山 私はみんなで作詞作曲まで携わっていきたいですね。それを感じたのが最後にレコーディングした“Repeat”でした。この曲にはメンバーそれぞれの日常生活を録った音がアレンジとして組み込まれていて、それを聴いた時に「自分も制作に関わっている」っていう実感が湧きました。
歌声だけではなく編曲にも携わられていることを嬉しく感じたし、そこでみんながひとつのきれいな円となり重なりあえた感じがしたんですよね。あとは衣装やMVも自分たちでプロデュースしてみたいです。
実果 私は個人的には自然の中でMVを撮ってみたいです。ただ何より、ライブをしたいなっていう気持ちが強いですね。生で歌うからこそ得られる感覚もあると思うんです。自分が今まで観てきたライブで感じたこと、そして自分がライブをやる立場になって感じることを曲にしてみたい。早く応援してくれるファンのみなさんに会いたいです。
ゆゆん 私は個人的な願望になっちゃうのですが……いつかまたドラマの主題歌を歌わせてもらうことがあったとして、その時は、ドラマのワンシーンにださせてもらいたったりしたいな、と(笑)。
全員 あぁ〜!
ゆゆん ライブのシーンがあったとして、その時にmzsrzが映ったりもしてね。そういう妄想をよくしています。そこで私たちをいろんな人に知ってもらい、そこらへんの道を歩くだけで「もしかして?」ってザワザワされるくらい知名度をあげていきたいです。
よせい ドラマの最終話とかね(笑)。それぞれやりたいことは違ってくると思うけど、今後mzsrzとして「もっともっと飛躍していきたい」という気持ちは大前提にあると思うんです。声やイラスト、みんながいろんな才能を持っているなと感じています。
5人それぞれの才能がもっと伸びて、より魅力的になってたくさんの方に伝わればいいなと思っています。mzsrzとしては「micro music」というコンセプトのもと、聞いてくださる方、ひとりひとりに寄り添っていけるような音楽を続けていきたいです。もっともっと、mzsrzらしく進んでいきたいなと思います。
mzsrz(ミズシラズ)1st album 「現在地未明」CDダイジェスト
Text:Nozomi Takagi
Photo:柴崎まどか
PROFILE
mzsrz
多様な感情を表現する憑依声を持ち、顔出しマストでもなくダンス審査もない次世代オーディション「ヨルヤン」を勝ち抜いたボーカリスト:大原きらり / 作山 由衣 / 実果 / ゆゆん / よせいからなる5人組。コンセプトは “見ず知らずだった私たちから、まだ見ず知らずのアナタへ”。普通の若者でもある彼女たちが歌うのは、1/不特定多数(アノニマスブンノイチ)なボクら “一人独り” が暮らす何の変哲もない日常の些細をつづった『micro music(ミクロ・ミュージック)』
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INFORMATION
現在地未明
2022年3月16日(水)
mzsrz
全曲DECO*27サウンドプロデュースによる “今” を網羅した新音楽図鑑。
トラックメイクには、kous・椎乃味醂・TeddyLoid・teppe・ポリスピカデリー・Rockwellなどが参加。
シングル6作を含む多彩な全10曲を収録。スーパープレイヤーが集ったライヴ映像と、ajimita・APO+・Ocowa・がーこ・KICO・だ子・noka pi・まご山つく蔵・ゆうたONE・yoru・ZUMAなど人気クリエイターが一堂に会したリリックビデオ集も必見!
【3形態同時リリース】
・CD ONLY(10曲入り):AVCD-96908
・CD+Blu-ray(リリックビデオ ver.):AVCD-96907/B
・CD+Blu-ray(ライヴ映像 ver.):AVCD-96906/B
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