五台山竹林寺(高知)の開創1300年記念事業にて、竹林寺の伝統的な空間とサウンドを融合したインスタレーション「宿り音(やどりね) ~ともしびのありか~」が、3月11日から4月9日(春会期)まで展示される。本作は、世界的に活躍するサウンドアーティストであり、ソニフィデア合同会社の代表も務める及川潤耶が、参道と書院を演出する。
50年に一度の“秘仏本尊の特別ご開帳”他、行基像の初公開、書院襖絵が特別公開
竹林寺は僧・行基により724年に開山。真言宗智山派に属し、四国霊場八十八か所で唯一、文殊菩薩を本尊とする寺院であり、多数の文化財を抱える名刹として知られている。2023年に開創1300年を迎え、春秋二期にわたってさまざまな記念行事が行われるが、春期は50年に一度しか公開されない秘仏本尊の特別ご開帳をはじめ、行基像の初公開、書院襖絵が特別公開となる。この特別な節目にあたり、ソニフィデアは深い歴史と文化と自然を携えた竹林寺の境内を、「宿り音~ともしびのありか~」と題して演出する。
「宿り音(やどりね)」は、ソニフィデア代表である及川潤耶によって、2019年にスタートしたサウンドアートプロジェクト。春期記念事業では、本堂に続く緑豊かな参道を音響で演出し、訪れた人々を迎える。また、日本画壇の巨匠・堂本印象画伯の襖絵の特別公開が行われる書院とその庭園を音で彩り、内面的な感覚に訴えるような音響空間をつくり上げる。芸術家が灯す音が生き物のようにたゆたい、変容し、空間に宿る「宿り音」の世界を楽しみながら、1300年の時の中でともしびのように人々を導いてきた竹林寺の景観をじっくりとご堪能あれ。
竹林寺住職 海老塚和秀氏コメント
全長千四百キロに及ぶ四国八十八ヶ所霊場の遍路道を徒歩で巡る遍路人の姿もめずらしくありません。
そうしたお遍路さんからこんな声を聞くことがありました。「歩き遍路の道中は鳥のさえずりが聞こえるんですよ。道ばたに咲く花が輝いて見えるんですよ」。
私たちはふだん、鳥のさえずりに触れますし、咲く花を見てはいます。でも本当にそのさえずりに耳を傾け、咲く花を見つめたことがあったでしょうか。他人に抜かれまいと常に先を急ぎ、前へ前へと急ぐあまり、鳥は鳴けどもその声は耳に入らず、花は咲けども目に映らず。
しかし、遍路の道中は心のチャンネルがかわるのでしょう。テレビやラジオでチャンネルをかえると番組が変わるように、日常のチャンネルがかわるからそこに新しい世界が立ち現れたり、目にし耳にするものがさらに輝きをもって五感に感じられるのでしょう。
緑に包まれた境内を歩く。たたずむ。そして、静寂の場所に宿る音に耳を澄ます。そこに今までにない心象風景が立ち現れてくるに違いありません。
開創千三百年を迎え、古く、そして常に新しい寺・竹林寺でそんな出会いをしていただければこれに勝る喜びはありません。
及川潤耶 コメント
1300年という時間を乗り越えてきた竹林寺ならではの特徴とその背後にある多層的な真言の世界観に感銘を受けました。これまで、イタリアのアッシジやドイツのシューベービッシュ・グミュンド、ポルトガルのブラガといった、西洋における信仰の地で日本人として仕事をしてきました。
今回は寺院という長年にわたる伝統・秩序のある環境下で、音の空間芸術に対し共感いただいた竹林寺の御住職と皆様、そして高知の地元企業であるオフィスパートナーさんとの協奏となります。日本の信仰の場から灯されるアートの本質を皆さんと共に考え、地域貢献する機会を目指して参ります。
INFORMATION
2023年3月11日(土)~4月9日(日) 9:00 ~ 17:00
夜間拝観:期間中毎週土・日曜日 17:30~20:30(最終入場20時まで)
拝観料:無料
主催:竹林寺
企画:株式会社オフィスパートナー
芸術監修:及川潤耶
後援:高知新聞社、RKC高知放送、KUTVテレビ高知、KSSさんさんテレビ、FM高知
音響・設営協力:能美亮士(Music of New Reference)
サウンドインスタレーション「宿り音 ~ともしびのありか~」
会場:竹林寺境内および書院
竹林寺書院(※):大人1000円・高校生以下400円
団体(15名以上)大人800円・高校生以下350円 未就学児無料
※同時開催中の堂本印象画伯襖絵展示(出展作品「風神」「雷神」「太平洋」「瀬戸内海」)、および、「名勝庭園」と「宝物館」を拝観することができます。
住所:四国霊場第三十一番札所 五台山 竹林寺(高知県高知市五台山3577)
備考:
・4/15~5/14まで、秘仏本尊文殊菩薩他の特別ご開帳も開催。
・秋期にも別の企画を予定しています。詳細は決まり次第お伝えします。