福島・吾妻山麓を舞台に、音楽・アート・カルチャーをクロスオーバーさせながら進化を続けるフェス〈LIVE AZUMA〉が、今年も10月18日(土)・19日(日)に開催される。このフェスで初年度の2022年から皆勤賞かつ、全ステージに出演しているアーティストがJUBEE。ラッパー・ビートメイカーとして、CreativeDrugStore、Rave Racers、AFJB、さらにはソロ名義でもジャンルにとらわれず自由に越境を続けてきた彼にとって、〈LIVE AZUMA〉は“現場”と“音楽”の熱量を共有できる特別な場所だ。今回は、2025年もECHO STAGEに出演するJUBEEにインタビューを敢行。ソロ・バンド・DJとして出演したこれまでの思い出、共感するフェスの作り方、そして自身の活動との類似点など、〈LIVE AZUMA〉ベテランのJUBEEだからこそ語れる言葉とは?

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LIVE AZUMA

INTERVIEW:JUBEE

ソロ、バンド、DJ、客演で全ステージを体験
ハイライトはDragon Ashとの共演

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──LIVE AZUMAが始まった2022年から出演して、これまで全ステージを経験しているJUBEEさんなので、まずはこれまでを振り返っていただきたいと思います。そもそもで言うと、最初はどういった経緯でLIVE AZUMAに出演することになったのですか?

めちゃめちゃ世話になっている先輩であり、お仕事でも繋がりのあったO-EASTの(高根)大樹くんがLIVE AZUMAのブッキングをやっていて、声を掛けてくれたのが最初です。2022年は、VaVaくんとか(sic)boyとか自分と関係のあるアーティストも出ていて。大樹くんはみんなのことも知っていたし、ブッキングのセンスもすごくいい方なので、自分を呼ぶとVaVaくんとも (sic)boyともできるしみたいなのを考えてブッキングしてくれたのかなと思います。

──初年度からJUBEEさんにとって馴染みの方が多くラインナップされていましたね。その年のトピックと言えばやはり、Dragon Ashのステージへの飛び入り出演でした。

僕のライブのときに、PARK STAGEの右奥にポツンとひとりでKjさんが座っていて。まだそのときはKjさんとあんまりちゃんと喋ったことがないくらいだったので、それを見てちゃんと頑張んないとなって身が引き締まりました。2022年は(sic)boyやVaVaくんのライブにも出て、ひととおりライブが終わったあとにインスタのストーリーを見たら、Kjさんが “手紙”っていう(sic)boyとやった曲を「好きで初めて観られた」みたいな感じでメンションしてくださっていて。

──それはテンション上がりますね。過去の関連記事を拝見すると、それまでKjさんとは数回顔合わせたぐらいで、三茶で飲んだあとが2022年のLIVE AZUMAだったそうで。

はい。ケータリングを食べていたら、Kjさんが突然来て「“FANTASISTA”出なよ」って言ってくれて。たぶんDragon Ashのライブの1時間半くらい前で、マジですかみたいな。

最初は「フリースタイルとかでできるでしょ」「“FANTASISTA”の後半のここの部分で歌ってほしい」みたいな感じで言われたけど、俺ってフリースタイルはあんまりしないのもあって自分の持ちバースで合うやつを探したけどなくて、結局ご本人のそのままでいこうと。Dragon Ashの曲の中で、カラオケで一番歌うのが“FANTASISTA”だったけど、実際やろうと思ったらなんかカラオケの通りにいかないっていうか。でもギリギリまでバックステージで練習してやりましたね。

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──McGuffinの対談で、Kjさんが当時のことを「優しくない、速めの強めのパス」と言っていましたね。でもJUBEEさんにとっては、自身の活動における「ハイライト」だと。

自分の中でDragon Ashがステージに誰かを出す印象があんまりないし、しかも後輩のやつで、しかもラッパーでジャンルが違う人に声を掛けるっていうこと自体にびっくりしました。ただあれがあったからこそ、曲(“Dream Smasher”/2024年10月18日にリリースされたJUBEEの2ndアルバム・デラックスエディション『Liberation(Deluxe Edition)』に収録)をやることに繋がったので、LIVE AZUMAに対しては感謝しかないですね。

──あの飛び入り出演のあと、やはり反響はとても大きかったのでは?

反響はめちゃめちゃありました。ただ僕はDragon Ashが好きなことを周りの仲間にずっと言っていたので、おめでとう的な反響の方がデカかったです。それでも曲を一緒にやることが目標だったので、あとちょっとで曲ができるかも、というワクワクが先行していました。

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──続く2023年は、AFJB(奈良発3人組ロックバンド・Age FactoryとJUBEEによるオルタナティブ・ユニット。2022年に結成)でPARK STAGEに出演しました。

2023年は雨の印象が強いですね。僕たちのライブのときも降っていて、ライブ自体は気持ち良かったけど、それ以外の時間でちょっと歩き回ろうとかにはならなかったです。あとソロのライブで行くと身軽だから、新幹線の時間を変えて夜までいようみたいなこともできるけど、バンドだと機材車で行くので、ライブが終わったら機材を即積んで帰るみたいな感じでした。

──ライブでもそれ以外でも、いろいろな意味でバンドとして参加したのが2023年。2024年のLIVE AZUMAは、PARK LIFE(入場無料)のDJ BOOTHに参戦しました。

今年はDJで来たかみたいな感じで、うれしかったですね。あのときはDJをコンスタントにやっているのを大樹くんも知ってくれていたし、個人的にロックDJを流行らせたいと思っていたので、AZUMAも全部ロックでDJしました。

僕の好きなニューメタルやミクスチャーとかを聞くようなお客さんはたぶんあんまりいなくて、邦ロック、ヒップホップ、メロコアとかが好きなお客さんが多いからこそ、教育じゃないけどラップロックを流すとか。あとJesseさん(The BONEZ)とKjさんが“Straight Up”という曲を出してすぐくらいだったので、1曲目で流したらめちゃくちゃ盛り上がりましたね。

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──そして2024年は再び、Dragon Ashのステージに出演しましたね。

Dragon Ashのライブを観ようと思って、ライブ前にスタジアム裏で挨拶していたら出ることになって。2022年は1時間半くらい前でしたが、2024年は10分くらい前でした。でも俺も2回目だったので「全然いけるっすよ」みたいな感じだったし、2人でやった“Dream Smasher”という曲ができていたので、その曲のバースを差し込もうと。あと俺がhide好きで、Xのロゴが後ろにデカく書いてあるTシャツを着たら、それに対するコメントもけっこう届きました。

──2024年は、ライブ以外でもLIVE AZUMAのコンテンツを楽しめましたか?

3年目でやっとゆっくり散歩しました。そのときにフェスの運営が整ってきた印象を受けましたし、すごくハッピーなフェスだなって。会場の空気もいいし、DJをやった場所も芝生になっている原っぱみたいなスペースで子供連れも多くて、とにかく治安がめっちゃいいなと。福島って意外と近いというか、思ったより移動に時間がかからないので、LIVE AZUMAは家族で行こう!みたいな遊び方ができるフェスだと思いました。

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LIVE AZUMA
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LIVE AZUMA

LIVE AZUMAとJUBEEに共通する
“グッドミュージック”を紹介する精神

──JUBEEさんはLIVE AZUMAのステージをすべて体験していますが、ほかのフェスなどと比べて感じた印象や、LIVE AZUMAだからこその魅力があれば教えてください。

例えばロック方面で僕のこと知ってくれているお客さんと、例えば一緒に出たどんぐりずや(sic)boyとかを通じて僕を知っている人が、僕のステージになると混ざって遊んでいるのがすごく良くて。僕もそういう遊び場を作ることが好きで、LIVE AZUMAのお客さんからは音楽が好きな雰囲気が伝わってくるし、フェスに慣れている人が多い印象。自分がそれまであまり知らなかったアーティストでも盛り上がってくれるし、お客さんのノリがいいなと感じました。

──LIVE AZUMAの抑えるところを抑えたブッキングセンスも素晴らしいですよね。

LIVE AZUMAはブッキングが上品ですよね。バラバラに名のあるアーティストを呼ぶと集客だけでしょみたいな感じでお客さんもアーティストも思っちゃうけど、DJ含めてすごくバランスが取れていて、音楽をちゃんとわかっている人がやっているフェスだなと。福島の人からしたら、地元でこういうハイセンスなフェスが1年に1度あってすごくいいなと思います。

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──2025年はエントランスフリーのECHO STAGEで、DJとして19日の19時30分からの出演が決定。全体的に今年もJUBEEさん馴染みのメンツが数多く出演しますね。

ECHO STAGEで言うとBAKUさんは僕のライブDJもやってくれていますし、shakkeくんやTOMMY(BOY)さんも近い。あとクリエイティブ(CreativeDrugStore)のメンバーのin-dもライブで出るので。もしかしたらin-dのライブのときに俺が行くのか、俺のDJのときにあいつに来てもらうのかわからないですけど、何かしらでセッションできたらとは考えています。

──DJはイメージできていますか? 前回はロックで、ということでしたが。

ざっくりどうしようかなと考えていたら、まさかのラスト(19:30-)だったので。その時間だとけっこう暗いと思うので……まあでもロックかなと。ロックかハウスかで考えています。

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──LIVE AZUMAは福島の特産品が盛りだくさんのFOOD & DRINKやMARKETなど、出店エリアも魅力なので、DJまでの時間でそういう部分も楽しめるといいですね。

ケータリングのラーメンとかも美味しかったですけど、今年は会場内のごはんも食べたいですね。あとファンの子で福島に住んでいる男の子がおすすめしてくれたラーメン屋が福島駅の近くにあるらしいので、食べに行くつもりです。ラーメン食って、in-dのライブに間に合うように行こうかなと。なのでわりと早めからいます。

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LIVE AZUMA

──観客目線で、観たいアーティストのライブはありますか?

RIP SLYMEは久々なので観たい。ほかはDragon Ashはもちろん、フォーリミ(04 Limited Sazabys)も最近観たし、黒夢もDEAD POPっていうフェスで初めて観られたので。

──今年もDragon Ashのステージにはやはり……?

どうでしょうね。本当だったら僕の曲でできたらいいなとは思いますけど、Dragon Ashというバンドのライブなので。あったとしても何分前になるか……それはもちろんやりたいですよ。恒例にしたい気持ちもありますが、何回も出るのもしつこいか、みたいな。 先輩次第です。

──JUBEEさんはソロ、バンド、DJ、オーガナイズなど多方面に活動されていますが、自身で感じている手応えや、今後やっていきたいことなどがあれば教えてください。

無理してやっているわけではないですし、ワクワクしながら全部を突き詰めていったらバンドもやりたくなったし、DJもやりたくなって、オーガナイズもするようになっただけなので。そういうことを続けてきたおかげで、僕ならではの遊び場が作れるようになってきたと思います。

昨日も自分が主催する『CROSSOVER』というイベントをSPARK!!SOUND!!SHOW!!とlilbesh ramkoと3マンで開催しましたが、その3組を聴いているお客さんはたぶんほぼいないぐらいだと思うけど、全員ワンマンみたいな感じでお客さんも超盛り上がってくれて。みんな音楽が好きっていう雰囲気がすごくあるし、ライブを観に行くのが好きみたいな人たちを僕は呼べている気がして。そういう自分にしか作れない空間を作ることをこれからも続けていきたいです。

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──JUBEEさんは「紹介する」という言葉をよく使っている印象があるのですが、そのJUBEEさんのスタンスはLIVE AZUMAとも親和性があるように感じます。

例えば今ってヒップホップがすごく流行っているけど、俺がもしこのタイミングで高校生だったら、ヒップホップはやらない気もしていて。自分はずっと逆が好きで、高校生のときに40人クラスで39人がRADWIMPSやELLEGARDENとかのバンドが好きでも、俺はヒップホップがカッコいいと思うし、「俺しか知らなくてイケてるだろ」みたいな感じでいました。

「このカッコ良さわかるか?」みたいな感じで、39人がバンド好きだったのを、38人37人していくみたいなことが好きで。バンドをやるのも、DJをやるのも、その精神が根底にあります。俺はカッコいいと思うし、良さに気づいてほしいし、わかってくれたら幸せだよって。

──JUBEEさんのその精神はLIVE AZUMAでも遺憾無く発揮されていますね。

自分のことが好きで追ってくれていたら、けっこうわかってくると思います。繋がっている知り合いも多いですし、いろいろな音楽を紹介して、影響を受ける人を増やしていきたい。LIVE AZUMAに出るまで、自分は福島でのライブがソロでもバンドでもなかったけど、今では幸せなイメージしかない。今年も楽しみたいですし、来たことない人はぜひ遊びに来てください。

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アイテム
・ジャケット / スカーフ:(AMBUSH®️)/AMBUSH WORKSHOP
・トップス / パンツ:(DISCOVERD)
・リング / ブレスレット / キーチェーン:(THE OBJECT)
・その他本人私物

Interview & text by Rascal(NaNo.works)
Photo by Ryoma Kawakami
Styling by 87

INFORMATION

LIVE AZUMA 2025

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2025年10月18日(土) , 19日(日)
会 場:あづま総合運動公園 / 福島あづま球場
(〒960-2158 福島県福島市佐原字神事場1番地)
主催:LIVE AZUMA 実行委員会
(福島テレビ株式会社 / 株式会社クリエイティブマンプロダクション / 株式会社フライング・ベコ)LIVE AZUMA 2025