定型化が進む日本の音楽シーンに切り込む「NU Festival」において、最も先鋭的なパフォーマンスが衝突するのが「NU Live」のプログラムだ。
国内外から集結する濃密なラインナップのなかから、何を目撃し、どう身体を委ねるべきか。漂流音楽が絶対に見逃せないアーティストたちを、2日間にわたって厳選して紹介する。
昨日公開した前編に続く後編では、いよいよクライマックスを迎える6月28日(日)の「NU Live」に出演するアクトをピックアップ。世界の電子音楽シーンの最前線を拡張し続ける鬼才から、ジャンルを解体しダンスフロアを揺らす新世代まで。
このフェスが提示する実験精神の核、その深部を体現する音像を、独自の視点から紐解いていく。
TWO SHELL

21:40 LINKPILLAR Hall
まったくオリジナルなサウンドで革新を続けてきたロンドン発の覆面デュオ。UKガラージの正統性を感じるピッチアップされたボーカルと重厚なベースに、緻密なグリッチが混ざり合うと新たなレイブサウンドへと生まれ変わる。昨年の英・グラストンベリーでのキャリアを総括する内容だったセットは、そのステージ名を冠したアルバム『IIcons』に。今年2月には、クラブPhonoxでの4週にわたるレジデンシーを敢行。キャリアの第二章ともいえるフェーズにいる彼らの勢いは留まることを知らない。電子音楽の次の世界を見せてくれるであろうセットは、このフェスの目的自体を体現しているとも言えるだろう。
SHHHHH

20:00 ROOM5
RDC、ruralなど数多くのレイヴやパーティーへの出演歴のあるShhhhh(読み方はシー)。ホーチミンのクラブThe ObservatoryでもレジデントDJを務めるなど、ここ数年では海外へも活動の場を拡げている。四つ打ちを基本とし、トライバル・土着的な音から電子音までと幅広いサウンドを手中に収める。その深い技術と知識に裏打ちされたプレイは、フロアをいつも鷲掴みにする。先日愛知・蒲郡で開催されたフェス「森、道、市場」でも、90分もの間、集中力を途切れさせることなく、普段DJを聴かないようなお客さんですら踊らせていた。どんなフロアを作り、まとめあげていくのだろうか、今から楽しみだ。
MINNA-NO-KIMOCHI DOWNTEMPO SET

19:00 LINKPILLAR Hall
近年、日本のダンスミュージックシーンで一際注目を集めているのが彼ら。DJとしてグラストンベリーやベルグハインにも出演する傍ら、昨年末にWWW系列の3会場で行われたカウントダウンパーティのキュレーションや、数々のレイブの主催、さらにはレーベル運営など、多角的なアプローチでシーンに貢献してきた。そんな彼らが今回披露するのは、まさかの「downtempo set」。これまでは比較的速めでレイビーなトランスや、どこかアンビエンスを感じさせる表現を得意とし、常に実験的かつ野心的なサウンドを探求し続けてきた。果たして今回はどんな展開を見せてくれるのか、これほどまでに貴重で予測不能な機会は他にない。
ACTRESS SUZANNE CIANI

18:00 LINKPILLAR Hall
イギリスの実験的エレクトロシーンの代表格であるActress。これまでライブセットやDJセットで何度も来日を果たしている彼が、米国の女性モジュラー奏者、Suzanne Cianiとライブセットを披露する。ロンドンのBarbicanとSónarによる共同プロジェクトとして始動し、即興性の高いライブを両イベントで実施済み。これらのライブ盤も今年の3月にリリースされている。両者の特徴的な電子音が交差し、生き物のように展開していく様は、これから何度も体験できるものではないはずだ。電子音、いや、音楽の広さと新たな可能性を感じることができるライブとなるだろう。
KYOMI (鏡民)

14:30 LINKPILLAR Hall
強い炎ほど青く静かに燃える。サイケデリック/オルタナティブ寄りのダンスミュージックで、ジャンルの枠を軽やかに越えていく鏡民。彼女のセットを聴いて感じたのは、ゆらめく音の中にある確かなグルーヴだった。瞑想的な深みから身体を揺らす快楽的なビートまで、空間に自身の感覚を流れるように通して出来上がるのは、静けさと熱を同時に宿した濃密なサウンドスケープだ。実験性とダンスの高揚を自在に行き来する彼女のプレイは、NU Festivalが掲げる都市的文化体験の新たな一面をまさに体現するだろう。一音ごとに見慣れた日常が少しずつほどけ、まだ知らない熱狂へと深く誘われていく。
6月28日(日)Time Table

それぞれの音がより深く、濃くなっていくこの日、ただ音楽を消費するだけじゃない、自分の感覚がゆっくりと書き換えられていくような濃密な体験が、そこには待っているはずだ。
3日間にわたって、街の歩き方から2日間のアーティストガイドまで、漂流音楽の視点で「NU Festival」の全貌を紐解いてきた。
定型化が進む日本の音楽シーンに切り込む、なんて言うと大それて聞こえるかもしれないが、このフェスが面白いのは、駅に降り立った瞬間からサウナ、空中庭園、畳の部屋まで、街のあちこちに心地いい空間が用意されているところ。私たちはただそれを眺めるだけじゃなく、その場に身を置いて、床に寝そべったり、風を感じたりしながら、カルチャーの一部になっていく。
6月26日から28日までの三日間は、実際に高輪ゲートウェイへ足を運んで、その場所でしか鳴らない音を、自分の身体ぜんぶで受け止めてみてほしい。
Text by 漂流音楽
EVENT INFORMATION

NU Festival 2026
日時:
6月26日(金)12:00-22:30
6月27日(土)12:00-23:00
6月28日(日)12:00-23:00
※各プログラムごとに実施時間は異なります。
アーティスト:
ACTRESS / ACTRESS & SUZANNE CIANI / COLA REN / DAITO MANABE / DJ KRUSH / GRANDBROTHERS / 鏡民 (KYOMI) / 冥丁 (MEITEI) / みんなのきもち (MINNA-NO-KIMOCHI) / NATHAN FAKE / SAKURA TSURUTA / SAPPHIRE SLOWS / TWO SHELL / WILLIAM BASINSKI / AKIE / CHLOÉ JULIETTE / DJ EMERALD / KEIGO TATSUMI (LIVE) / MASAAKI HARA / SHÖKA (LIVE) / NICK LUSCOMBE / ROKUDAI SPECIAL LISTENING / SHHHHH / HIKO・KONAMI / OUSMANE BÂ AND MORE..
会場:
〈NULive〉TAKANAWAGATEWAYConventionCenterLINKPILLARHall
〈NUArt〉MoNTakanawa:TheMuseumofNarratives(Box300/Tatami)
〈NUStation〉高輪ゲートウェイ駅南改札外3Fテラス
〈NUPark〉高輪ゲートウェイ駅前GatewayPark
1 Day 6月26日(金) ¥9,000
1 Day 6月28日(日) ¥9,000
2 Days 6月27日(土)& 6月28日(日) ¥15,000
1 Day Under 23 6月27日(土) ¥5,000
1 Day Under 23 6月28日(日) ¥5,000
チケット購入:
ローソンチケット https://l-tike.com/nufestival/
イープラス https://eplus.jp/nufestival/
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/nu-festival-2026/
ZAIKO https://nufestival.zaiko.io/e/nu-festival-2026
※本フェスティバルは6月26日(金)、27日(土)、28日(日)の3日間開催されます。
※6月26日(金)はMoN Takanawa (Box300 / Tatami)で入場無料のプログラムを実施。
※6月27日(土)、28日(日)の「TAKANAWA GATEWAY Convention Center」と「MoN Takanawa(Box300/Tatami)」は有料です。
※「高輪ゲートウェイ駅 南改札外3Fテラス」および「Gateway Park」はフェス期間中、無料でお楽しみいただけます。
※「LUFTBAUM 28F 翠の庭」のプログラムは、フェス期間を含む6月26日(金)〜7月5日(日)の全期間、どなたでも入場無料です。
※「高輪SAUNAS」でのDJイベントは、通常のサウナ入館料のみで入場可能です(フェスのリストバンド提示で入館料が1,000円OFF)。
注意事項:
※規定枚数に達した場合、当日券の販売はございません。
※ご入場の際にIDチェックを行います。写真付き身分証明書をご持参ください。
※中学生以下は入場無料です。ただし、保護者同伴に限ります。
※Under 23(23歳以下)チケットをご購入の方は、ご入場時に身分証明書の確認を行います。身分証明書をご提示いただけない場合は、当日料金との差額をお支払いいただきます。
漂流音楽

漂流音楽(Hyoryu Music)は、2022年2月16日に国内外の音楽を紹介するメディアとしてInstagramを拠点に活動を開始。新譜情報を中心に、フェスやライブ情報も発信している。活動開始同年には初の紙媒体『漂流音楽マガジン VOL.1 -too many music to follow…-』を刊行。以降も制作を続け、現在はVOL.4まで刊行している。DJコレクティブとしての顔も持ち、渋谷 club bar FAMILYにて自主企画イベント「NEIGHBOR」を毎月開催中。ジャンルの壁を超えた音楽体験を届けることを軸に、メディア・出版・イベントの三つの軸で活動を展開している。