韓国のヒップホップを牽引するレーベル・H1GHR MUSICに立ち上げ時から所属する人気ラッパー・pH-1が、現在日本と韓国の両方で爆発的にリスナーを広げているバンド・LET ME KNOWと彼らの代表曲の一つ“偽愛とハイボール”にフィーチャリングという形でコラボレーション。pH-1による曲のストーリーを広げる歌詞と、韓国語と日本語、英語を混ぜ合わせたリズミカルなラップが加わることで、原曲にある退廃的かつエモーショナルな魅力をさらに引き上げている。

さらに世界へと羽ばたこうとするLET ME KNOWにとってこのコラボレーションはどのような意味を持つのだろうか。あるいは、これまでもindigo la endやちゃんみなといった日本のバンド/アーティストたちと積極的にコラボしてきたpH-1にとって今回のコラボレーションはいかなる価値を持つものだったのか。

今回、LET ME KNOWのボーカルのMattyは残念ながら体調不良で欠席となったが、ギターのKehnとドラムのLyo、そしてpH-1による鼎談が韓国の地で実現した。

INTERVIEW
pH-1 × LET ME KNOW

──まずは、pH-1さんを中心に、お話を聞いていきます。韓国で生まれ、12歳の頃にニューヨークに移住されたという話はよく知られていますが、どのような音楽を聴いて育ったのでしょうか。

pH-1 12歳まで韓国で育ったので、周囲の友達と同じようにバラードを聴いたり、流行っていたK-POPを聴いて育ちました。アメリカに行ってからはニューヨークに住んでいたので、特に興味があったと言うより、周りの友達がみんなヒップホップを聴いていたから自然とヒップホップに触れることになって。例えば、ブリトニー・スピアーズ(Britney Spears)、ネリー(Nelly)、50セント(50 Cent)、エミネム(Eminem)、ジェイ・Z(Jay-Z)だったり、リンキン・パーク(Linkin Park)だったり、その当時有名だった曲は全部聴いていたと思います。ヒップホップも好きでしたが、バンドの音楽もすごく好きで、ドラムを叩いていました。本当に何でも聴いていたんです。

──これまでのキャリアを振り返って、ご自身にとって特に重要だったと思う出来事はありますか?

pH-1 当然ですが、音楽を仕事にしようと思った時期です。つまり、アメリカに住んでいて、音楽をするために韓国に来ると決心したその瞬間が、実は私の人生で最も重要な瞬間なんです。それは音楽を仕事にするきっかけでもありますが、それ以上に、私が自分の人生を両親が望むように生きるのではなく、自分で真剣に決断し、自分の人生を導いていくという最初の大きな決意をしたからです。その決意を通じて、今、音楽をしながら幸せに生きている。それ以上に大きなターニングポイントはないですね。

──2021年のindigo la endとのコラボや、あなたの昨年のアルバム『What Have We Done』へのちゃんみなの参加なども含め、韓国以外のアーティストとのコラボレーションにも積極的です。そのように広い視野を持って活動する理由を教えてください。

pH-1 私の音楽はヒップホップとR&B、ポップが混ざっていて。その上で、今は韓国で活動していますが、アメリカで育ったので、グローバルに活動したいという欲が常にあるんです。だから、できるだけ多くの国で私と似たような好みを持つ方と、たくさんコラボレーションしたい。日本には本当に優れたアーティストがたくさんいるので、もっとたくさんコラボできたら嬉しいです。今回の“偽愛とハイボール”も本当に良くて、すぐに「やりたい」と思った。良い曲で、こんなにファンから愛されている曲に私を誘ってくれて本当に感謝しています。

 

異なるルーツを持つ3人、原点をたどる

pH-1 × LET ME KNOW──異なるルーツが交わる、その先の音楽|pH-1を迎えた“偽愛とハイボール”リリース LMK-_pH1-90-1

──コラボの話が出てきたところで、お二人(Kehnさん、Lyoさん)にもご登場いただきましょう。ここからはお二人を交えてお話できたらと思います。まずはお二人から自己紹介をお願いします。

Kehn LET ME KNOWのギターのKehnです。よろしくお願いします。

Lyo LET ME KNOWのドラムのLyoです。LET ME KNOWは簡単に言うと、「Nostalgic Modern」というコンセプトで活動しています。僕とKehnの80年代、90年代の音楽からの強い影響と、ボーカルのMattyが持つ日本歌謡の要素やポップセンスが混ざり合って僕たちらしい音楽性が生まれているんだと思います。pH-1さんの音楽をコラボする前から聴かせてもらっているんですけど、グローバルに活動しているという唯一無二のアイデンティティが音楽からも伝わっているので、今回話ができて嬉しいです。

──せっかくなので、ここからはお互いに気になっていることを聞いてみていただけたらと思います。まずKehnさん、pH-1さんに聞いてみたいことはありますか?

Kehn さっそくですが、先ほど12歳まで韓国にいたとお話されていましたよね。今グローバルで活躍されている中で、生まれ育った韓国のルーツはどれくらい意識されているのでしょうか。

pH-1 当然意識しています。現在住んでいて、最も活発に活動をしている場所は韓国なので、ここが私のメイングラウンドだと思っています。だから韓国での活動は重要ですよね。でも、一方で今は直接会わなくてもウェブ上でもたくさん作業ができて、地球の反対側にいる人たちとも作業ができる時代です。だから、いろんな国や地域の人たちと一緒に作業したい気持ちも強いんです。

Kehn なるほど。

pH-1 お二人は、ノスタルジックな音楽をベースにしていて、80年代の音楽にも多く影響を受けているとおっしゃっていましたが、その時代には生まれていなかったですよね? それが不思議なんです。どうして、そういった昔の音楽やノスタルジアに惹かれるようになったのか気になります。生まれていない時代を懐かしむというのは不思議じゃないですか。それに今の時代はすごくインターネット、AI、コンピューターの発達した時代で。そうやって急速に進化している世界の中で、昔のサウンドをベースにトレンディな音楽を作り出す理由は何なのかが気になります。

Lyo 僕たちは日本のL’Arc-en-Cielというバンドに影響を受けていて、そこから彼らのルーツを遡ると80年代のアーティストにたどり着いたんです。それに子供の頃に父が80年代の音楽をよく車で流していて、その時期に聴いた音楽はすごく思い出深いんです。

Kehn もちろん純粋に好きだからやっているんですけど、その時代の曲が今もなおこうして聴かれているというところに魅力を感じています。40年前の曲は今でも色褪せず、多くの人に聴かれ続けている。そこにロマンがあるんです。

──ちなみに今回のコラボレーションの始まりはLET ME KNOWからpH-1さんに声をかけたことがきっかけだったそうですね。

Lyo そうなんです。“偽愛とハイボール”は、韓国でもたくさん聴いていただいている曲なんですが、実はそうなる2年くらい前から「いつかラップを乗せたバージョンも作ってみたいね」という話はしていました。でも、やるなら誰でも良かったわけではなくて。僕たちが本当に一緒に作品を作りたいと思える人とやりたい、という気持ちがずっとありました。国やジャンルにとらわれず、自分たちが信じる音楽を届けようとしている、その姿勢に共感できるアーティストとご一緒したいと思っていたんです。そんな中で思い浮かんだのが、pH-1さんでした。
以前から音楽もスタンスも本当にかっこいいなと思っていて、リスペクトを込めてオファーさせていただきました。正直、受けていただけるとは思っていなかったので、快諾していただけた時はすごく嬉しかったですね。完成した音源を初めて聴いた時は、本当に驚きました。もちろん3ヶ国語を自然に使い分ける表現力にも圧倒されたんですが、僕たちが一番感動したのは歌詞でした。
僕たちが細かいオーダーをしたわけではないのに、“偽愛とハイボール”という曲の主人公や、その夜の空気感までしっかり理解してくださっていて。僕たちが描いた物語の続きを、pH-1さんが自然につないでくれたような感覚があったんです。だから”フィーチャリング”というより、一つの物語を一緒に完成させてもらえた作品になりました。あとは、”LET ME KNOW”とか”ライム”とか、言葉遊びが散りばめられているのが心地よくて。何度でも聴ききたくなるような曲になりましたね。

pH-1 僕はこの曲をこういったお話を受ける前から知っていて。こういった音楽、メロディやコード進行も僕の好きなスタイルだったので、初めて聴いた時から良い曲だと思っていたんです。でも、コラボの提案が来た時は少し驚きました。これまで来たフィーチャリングの依頼のほとんどはヒップホップの曲だったからです。ヒップホップのビートであれば、自分が参加した時にどうなるのかある程度予想はつくのですが、こういったバンドの音楽、特に僕が好きな音楽の場合、自分のラップを上手く調和させられるか、僕にとっては挑戦なんです。

Kehn ちなみに、僕はpH-1さんの最新アルバム『WHAT HAVE WE DONE』の“Summer Fever”という曲が好きなんです。曲が持つ雰囲気、切なさと爽やかさが同居している感じがすごく良くて。それもお声がけさせていただいた理由です。

pH-1 好きそうですよね(笑)。LET ME KNOWのアルバム『Still Romance』の“初なfeeling ”と“Svveet Pea”を聴いたとき、僕のアルバムの“Summer Fever”と“Easy”が好だきろうなと思いました。スタイルが近いですよね。

Lyo “Easy”もめっちゃ好きです(笑)。

日本と韓国、異なる音楽文化の先に

──まさに理想的なコラボレーションだったんですね。せっかくなので、日本と韓国の音楽シーンや文化の違いについて、どちらの国でもライブをしている皆さんがどのように考えているのか教えていただけますか?

pH-1 両方の音楽シーンを網羅的に把握しているわけではないので、あくまで個人的な感覚にはなりますが、韓国はトレンドに敏感だと思います。素早く最新のトレンドを捉え、それをリードすることもできて、カッコいい人も多いです。それを聴くリスナー、オーディエンスもトレンドに敏感なので、韓国の音楽シーンはトレンドを早く捉える傾向があると思います。日本はブランドや音楽、文化のあらゆる面において、僕の考えでは韓国よりも(日本の方が)サブカルチャーがより発達していると思います。その上で、日本のリスナー、オーディエンスは、自分が何を好きなのか、自分の好みがはっきりしていて、好きなサブジャンルやサブカルチャーがあれば、それを深く勉強して好きになり、自分のライフスタイルをそこに注ぐ傾向があると思います。韓国はもう少し、みんなで一緒にトレンドを早く捉えている、そこが少し違うかもしれません。ちなみに今日僕が着ている服は全部日本のブランドなんです。日本のブランドが好きでよく着ていますね。

Kehn 僕らも韓国については数えるほどしか来たことがなくて、本当に知らないに等しいと思うんですが、感覚的には来てくれるお客さんの、目に見える熱狂だったり、音楽の乗り方が日本とはまた違う感じがします。

pH-1 日本でのライブは感覚が全然違います。初めて日本でライブするアーティストはよく誤解するんですよね。「この人たちは僕のことを好きじゃないのかな?」と。反応があまりなく静かで、「僕のパフォーマンスは面白くないのかな」と感じてしまうんです。でも実はそうではなく、日本の観客の皆さんは本当に音楽とステージに集中しているんですよね。少しシャイな感じもします。

Lyo たしかにその通りかもしれません。

pH-1 × LET ME KNOW──異なるルーツが交わる、その先の音楽|pH-1を迎えた“偽愛とハイボール”リリース LMK-_pH1-153_2-scaled

──最後に、このコラボレーションを経た後の皆さんの今後のビジョンについて教えてください。

Lyo 僕らはLET ME KNOWとして、国籍とか国とか関係なく世界中で活動していきたいと常々思っていましたし、今もそう考えているので、韓国で多く聴かれるようになったことが最初の自信になったのは間違いないんです。日本語で歌っている曲がほとんどでも、音楽だけで世界のどこにでも行けるんだという自信になりました。とにかく音楽の制作とライブ活動を一生懸命やって、世界中にLET ME KNOWの音楽を届けていきたいです。

Kehn グローバルな活動は、これからさらに重要になってくると思っています。今、LET ME KNOWの音楽は、韓国で日本と同じくらい聴かれているので、さらに他のアジアの方々にも広げていけるような活動をしていきたいですね。今回、こうしてpH-1さんとコラボできたことも、すごく嬉しいです。

Lyo あ、今回は“偽愛とハイボール”にフィーチャリングでpH-1さんに参加していただきましたが、いつかは最初から一緒に曲を作りたいです。

pH-1 それはいいですね! 楽しみにしています。

──pH-1さんは今年、デビューシングルを発表してから10年になる記念すべき年でもあります。今後の活動について、何か考えていることはありますか?

pH-1 自分の音楽と、今音楽以外にも韓国でYouTubeをやっているんですが、どちらもこれまで通り一生懸命やるつもりです。僕の所属するレーベルのH1GHR MUSICから出す音楽も継続して作りつつ、僕一人、あるいはレーベルの仲間たちと一緒にヨーロッパやアジアを回ったりと、面白いライブもたくさん考えています。あと、これは個人的な希望ですが、もっとこういうインターナショナルなコラボレーションが増えたら嬉しいですね。日本に遊びに行ったしたら、そこで皆さんと会って一緒にライブをしたり、曲を作ったり、面白いことをたくさんしたいと思っています。

Photo by KIM SEHUN(@kimmsehun)
Interview by Asami Shishido,Hiyori Morisawa
Text by Daiki Takaku
Edit by Sanae Akechi

PROFILE

アーティスト名

LET ME KNOW

Matty(Vo.)、Kehn(Gt.)、Lyo(Dr.)による3ピースバンド。80年代のUKロックをルーツに、現代的なエッジを融合させた「Nostalgic Modern」をコンセプトに掲げ、2024年1月に活動スタート。全曲の作詞作曲をMatty が、アレンジは双子のKehnとLyoが手がける。3rdデジタルシングル『偽愛とハイボール』は、リリース直後から多くのリスナーを惹きつけ、アジアを中心に支持が拡大している。ソウルでの単独公演を成功させたほか、2025 釜山国際ロックフェスティバルやSUMMER SONIC BANGKOK、LOUD BRIDGE FESTIVAL SEOUL 2026などにも出演。2026年6月からは東名阪のQUATTROツアー『1st album release TOUR 2026』がスタート。SUMMER SONIC 2026(大阪)にも出演予定。

RELEASE INFORMATION

偽愛とハイボール (feat. pH-1)

偽愛とハイボール (feat. pH-1)

名義: LET ME KNOW

日時 2026.10.02 Release

RELEASE INFORMATION

1st FULL ALBUM「Still Romance」

1st FULL ALBUM「Still Romance」

名義: LET ME KNOW

日時 2026.06.03 Release
概要
[Special Romance Edition]
規格品番:UPCH-29507 / SKU:4988031872475
価格:¥7,590(税込)
仕様:CD+GOODS

・7 Inch Record Paper Jacket (W180mm×H180mm×D6mm)
・Folded Lyric Poster (W508mm×H680mm)
・CD & Clamp Paper
・Tote Bag (Body:W250mm H320mm / Handle:W25mm H280mm)
・PVC Clear Case (W220mm H220mm)
・Sticker Set (4 types)
・Tin Badge(φ44mm)
・Acrylic Keychain

[Standard Edition]
規格品番:UPCH-20720 / SKU:4988031872482
価格:¥3,300(税込)
仕様:CD+Lyric Booklet

・Regular Jacket
・Lyric Booklet 20p

[ 収録曲 ]
-CD-
01. Lovely Ør Lonely
02.偽愛とハイボール
03. LAD浪漫’s
04. 100円キッス
05. Sentimental Night Dive
06.第六感より
07. Svveet Pea
08.もう恋人には戻れない
09.初なfeeling
10.真夜中のタクシー
11. Goodbye Daily
12. Remember Summer Love
13. Law of Luv

EVENT INFORMATION

LET ME KNOW LIVE TOUR 2026 -Re: Still Romance –

イベント名

LET ME KNOW LIVE TOUR 2026 -Re: Still Romance –

概要
[ 公演日程・料金 ]
2026.10.11(Sun)
宮城 |仙台 darwin
─ w/ GUEST ─
OPEN 17:00 / START 17:30

2026.10.18(Sun)
福岡 |DRUM Be-1
─ w/ GUEST ─
OPEN 17:00 / START 17:30

2026.10.25(Sun)
北海道 |BESSIE HALL
─ w/ GUEST ─
OPEN 17:00 / START 17:30

2026.11.14(Sat)
大阪 |BIGCAT
OPEN 16:30 / START 17:30

2026.11.19(Thu)
東京 |Spotify O-EAST
OPEN 18:30 / START 19:30

2026.11.28(Sat)
韓国 |MYUNGHWA LIVE HALL

PROFILE

SPECIAL THANKS

金世勳(キム・セフン)KIM SEHUN

フォトグラファー / クリエイティブディレクター

1987年、韓国・釜山(プサン)生まれ。フォトグラファー兼クリエイティブディレクターとして、ソウルを拠点に日本などでも活動。ソウル・江南(カンナム)に大型ホリゾントスタジオ「Studio COAP」を構え、ビューティー、ファッション、人物、広告、ライブ、イベントなど幅広いジャンルの撮影を手がける。大学で造園学を学んでいた学生時代に、独学で写真を始めた。2014年にライブやイベントの現場写真でキャリアをスタートし、2016年にソウル・江南に自身のスタジオを開設。ファッション、ビューティ、広告、プロフィールへと活動の幅を広げた。サムスン、LG、ニューバランス(New Balance)、ダルバ(d'Alba)、アヌア(Anua)など国内外のグローバルブランドと仕事を重ね、『W KOREA』『VOGUE KOREA』などの雑誌とも協働。ナナ、キム・サンジュン、イ・スヒョク、イ・ミンジョンなど、数多くのセレブリティを撮影してきた。広告ではメッセージを明確に伝える方法を、ファッションではムードやスタイルを扱う感覚を、ビューティでは光と質感のディテールを、プロフィールでは人物をとらえる方法を学んできた。ジャンルを横断しながら一つひとつの仕事から学び、柔軟に取り組むことを大切にしている。