その多角的な才能で異彩を放つMELRAW(メルロウ)こと安藤康平。唾奇やIOらと披露した<FUJI ROCK FESTIVAL ’26>でのパフォーマンスも記憶に新しいが、その活動の場は、ジャンルやシーンを飛び越え、縦横無尽に広がり続けている。国内外の最重要アーティストからの信頼を集め、ストリートから巨大なポップスシーンに至るまで国内外の現場をつないでいる彼は、今なにを見つめているのか。長らく共にしてきた音楽、そしてFUJIFILM『NATURA CLASSICA』をはじめとするフィルムカメラで残してきた写真をキーに、その一端を覗いてみた。
INTERVIEW
MELRAW/安藤康平

――ここ数年の安藤さんはあらゆるジャンルを横断しながら新しい流れを生み出すキーパーソンとしての存在感が増している印象があります。
わりと音楽的にも雑食なので、一緒にやりたいと言ってくれるところにはJ-POPからブラックミュージックまで、どこにでも飛び込んできたという感じです。ここ最近はヒップホップの現場が多いですね。日本におけるヒップホップのライブって、DJとラッパーだけというのが主流でしたが、ここ2、3年くらいで少しずつバンドでライブをする流れができているんじゃないかと思っています。自分がバンマスになってメンバーを集めて、アレンジをしてショーに持っていくので、参加する現場ひとつひとつを自分ごととして向き合っている感覚はありますね。
――MELRAW名義での活動をはじめ、自身の作品だけでなく、さまざまな現場でプロデュースにも携わっていますよね。もともと、そうした役割は好きだったのでしょうか?
タイプとして、根っからプロデューサー気質みたいなところはあるんじゃないかなって自分でも思います。レコーディングなんかでも、みんなが「どうしようか」って腕を組んでいるときに横から口出ししてみたり。関わりたがりなんですよ。


――そうした中で、人と現場とをつなぐハブ的な役割も意識的にやってきたんですか?
カッコいい人が好きなんですよ。見た目もそうだし、音楽的にも。そういう人を見つけたら、たとえ自分の仕事がなくなっても「こいつすげえから」と言いたい。僕や石若駿(Answer to Remember)がポップスシーンに合流するタイミングで、小川翔や宮川純、渡辺翔太のような同郷の素晴らしいプレイヤーたちをいろんな現場に突っ込んで。今やみんな第一線で活躍していて、そういう姿を見ると自分は間違ってなかったなと純粋にうれしいですね。
――ヒップホップにおけるフックアップの精神そのものですね。
まあ、負けないように自分もがんばるんですけど、輪はデッカいほうがいいんで。仲間を増やして、やれることを広げていきながら、一生をかけて足跡を残していけたらいいかなって。これって、幸せなことですよね。

――ミュージシャンであり、アーティストであり、プロデューサーでもある。そうした多面性を、ご自身ではどう捉えていますか?
さっき話に出た石若なんかもそうですけど、僕らみたいな人間は、好奇心旺盛なんですよね。「ジャズの一本槍で」っていうよりかは、やりたいことが多いし、それができちゃう。最たる例としては石若とかとふざけてやってるロックバンドがあるんですけど、自分たちで録って配信したりして。そんなことをやりながら、ジャズ・ギグとかセッション的なこともやり続けているという感じです。昨日もここで夜12時くらいまで演奏していたんですけど、僕らは「ストリートにいる人間でありたい」みたいな気持ちが強くて。上京して丸14年経ちますけど、そこはずっと変わらないですね。
――音楽とは異なる表現として、安藤さんがずっと続けていることのひとつに写真がありますよね。フィルムカメラを長年愛用しているとか。
小さいころからずっと音楽ばかりやってきたんで、趣味があんまりないんですけど、フィルムカメラだけはずっとやっていて。ただ、写真というより、もともとガジェット好きなんですよ。僕の親父がまさにガジェット好きで、家族旅行のときなんかは絶対に家庭用のビデオやカメラで撮影していたんですよね。

――普段は、どんなものを撮ることが多いですか?
人や風景の写真が多いですね。「これ覚えてる?」という飲み会のネタみたいなのもあるし、引っ込み思案な自分が隅っこで見てる景色が好きで、それを残しておきたいなという感じです。わりといつも「ここで切り取ったらいいな」とか画角をずっと見ていて。面白いものを見つけたときは、とりあえず撮っておくようにしています。


――今回は、撮影した写真を数枚お持ちいただきましたが、こちらの写真は?
『NATURA CLASSICA』を買ったばかりのころに撮った大学の喫煙所です。当時は、エモい感じの色彩で「空は緑であればあるほどいい」みたいな時期。大学生のときの写真を見返すと、ちょっと多感すぎてキモいんですよね(笑)。でも、あのころはこの情景に合う音楽を聴いていたなあなんて振り返るきっかけにもなっています。

――ステージから撮影した写真もありますね。
これは、福岡の糸島でやっていたフェス<Sunset Live>での写真です。

この視点から撮れるのは、僕らの特権ですよね。バンドについていろんなところに行くので、旅先でのスナップも多いです。WONKと行った沖縄の公設市場の写真とか。
WONKは、僕がみんなをカメラ沼に引きずり込んだんですよ(笑)。僕がみんなを撮ってあげていたのが、いつの間にか全員カメラを向け合っている状態になりました。みんなまとめてカメラ沼に引きずり込んだら、ライブとは別にカメラのグループLINEができたりして。集まるといつもカメラ談義をしています。

何気ない日常の風景から、旅先やステージで目にした光景まで。安藤さんが『NATURA CLASSICA』で残してきた写真には、そのときどきの記憶や音楽が重なっている。
そして、2018年から愛用する『X-Pro2』にも、ライブの舞台裏や仲間たちと過ごす何気ない時間など、ミュージシャンとしての日常をともにしてきたからこそ残せる景色が収められている。『IRODORI by FUJIFILM Xseries』では、そんな『X-Pro2』への愛着や撮影スタイルをはじめ、音楽と写真に通じる安藤さんならではの感性をさらに紐解いていく。
『IRODORI by FUJIFILM Xseries』の記事はこちら

text by 野中ミサキ(NaNo.works)
photo by Kana Tarumi