本年度の<第85回アカデミー賞>ノミネーションが発表され、関連作品が続々公開されはじめる中、一本の話題作をご紹介したい。本年度アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた『魔女と呼ばれた少女』である。本作は2012年9~10月に開催された<第7回UNHCR難民映画祭>で日本プレミア上映され、紛争地域の子供たちというアクチュアルな題材を扱いながらも、何よりその芸術性の高さが評判を呼び、ついに日本劇場公開が実現したマジカルな映像詩。
平和な水辺の村から拉致され、反政府軍の兵士となったコモナは、死んだはずの人たちに導かれ、全滅必至のゲリラ戦から生還する。亡霊の見える力が勝利を招き、“魔女”と崇められるコモナだが、殺される運命を悟り、最愛の少年と逃避行の旅に出る。
カナダの新鋭キム・グエン監督自らアフリカのストリートで見出した主演のラシェル・ムワンザが、機関銃を携える凛々しき女神のカリスマ性から、恋する乙女の可憐さまでを見事に演じて<ベルリン国際映画祭>で銀熊賞を受賞。<トライベッカ映画祭>でも作品賞、主演女優賞をダブル受賞した衝撃作である。
少女のまなざしを通してのみ描かれるリリカルな映像は、悲惨さばかりを強調しがちな戦争映画と一線を画すファンタジックな現代の神話と絶賛され、各国の映画祭を席巻している『魔女と呼ばれた少女』、是非とも注目してもらいたい。
『魔女と呼ばれた少女』
2013年3月9日(土)シネマート新宿以降大阪第7藝術劇場ほか全国順次公開!
監督・脚本:キム・グエン/出演:ラシェル・ムワンザ、セルジュ・カニンダほか/原題REBELLE(WARWITCH)
2012 年/カナダ映画/フランス語・リンガラ語/90 分/アメリカンビスタ/デジタル作品 [R-15]
提供・配給:彩プロ/後援:ケベック州政府在日事務所/協賛:英治出版 © 2012 Productions KOMONA inc