昨年デビュー・アルバム『meteorite』をリリースし、作品、ライヴの評価が高まる中、<FUJI ROCKFESTIVAL(以下:フジロック)>のルーキー・ア・ゴー・ゴーに出演し、第1次投票では見事1位を獲得した若手バンド、Tam Tam。来る3月6日(水)にリリースするニュー・アルバム『Polarize』では、新メンバーを加え劇的に変化した第二章の幕開けと言える、DUBの血脈を汲むモダンなハイブリッド・ロックを展開しており、注目が集まっている。そのリリースの約1ヶ月前にあたる2月15日(金)、この日はNINGEN OKが昨年リリースしたアルバム、『体温の行方』の発売記念ライヴであったが、共演にはTam Tam、そしてYasei Collectiveも含まれており、奇しくも昨年の<フジロック>のルーキー・ア・ゴー・ゴーに出演した、個性と実力を変え備えた3組の三つ巴の様相となった。3月には今年の<フジロック>への正式な出場枠をかけた第2次投票も控える中、この3組によるスペシャルな対談が実現した。
Interview:ジュネ、黒田(Tam Tam)/松下(Yasei Collective)/ケンイチ(NINGEN OK)
ジュネ(Tam Tam)
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黒田(Tam Tam)
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松下(Yasei Collective)
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ケンイチ(NINGEN OK)
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――まずはバンドを結成したいきさつを教えてください。
ケンイチ(NINGEN OK):今は3人でやっているんですが、僕ともうひとりは高校の同級生で、2人は元々は別々のバンドをやってたんですが、それが解散して、4年くらい前から2人でやり始めました。そこから2年くらい2人でやってたんですが、その後サポートのシンセが入ってから3年目くらいですね。
松下(Yasei Collective):僕(ドラム)とベースの中西がロサンゼルスで留学中にロサンゼルスで出会って、帰国して半年ぐらいして結成しました。すぐにギターの拓郎を入れてトリオにして、1年後にキーボードの別所が加わりました。その2人とも大学の後輩だったりジャズ研だったりして。一時期サックスが入って一度5人になってたこともあったのですが、その後4人になりました。いま満3年くらいですね。
黒田(Tam Tam):出会いは大学の時の中南米研究会ってサークルです。スカとか、レゲエとか、ダブとかそういった音楽を演奏するサークルで、そこの先輩、後輩で結成しました。彼(ジュネ)が声をかけてきて、ダブのバンドをやろうということになって始まりました。
――昨年3組とも<フジロック>のルーキー・ア・ゴー・ゴーに出演されまして、今までやられた中でも凄く大きな規模のイベントだったと思うのですが、出演してみてどうでした?
ケンイチ:僕は行ったことなかったので、行けただけ嬉しくて、さらにここに出演できるということで幸せでした。お客さんの量がハンパじゃなくて。新しい経験でした。
松下:メンバーで行ったことある奴が1人いるんですが、僕は行くのも初めてで、出番は2日目の最後だったんですが、以前出た先輩のバンドから、「人来ないよ」って言われてたんですけど、始めたら凄い人で。それで盛り上がって。
黒田:わたしも行ったことなかったんです。いつも来日する海外バンドをチェックしていたくらいで。そんなところで演奏できたのは嬉しかったし、沢山お客さんが来てくれたんです。ちょうどレッドマーキーで電気グルーヴで入場規制がかかったので、そのお客さんが音を聴いて流れて来てくれたということもあって、あんな沢山のお客さんの前で演奏するのは初めてだったので、舞い上がっちゃいました。
――3組が一緒に揃うのって今日が初めてですか?
松下:いや、実は先日あったイベントでニアミスしてます。
黒田:こないだ新代田のFEVERであったイベントにTam TamとNINGEN OKは出てて、そこに松下さんが観に来てたんですよ。
松下:違うバンドも知り合いがいろいろ出てて。
ケンイチ:ご挨拶はしました。
松下:3組で会うのは初めてですね。
――ここの2組(Tam TamとYasei Collective)は交流あるんですよね。
黒田:なんか飲みに誘っていただいて。
松下:ドラムの高橋くんと3人で飲みに行って。それも<フジロック>がなかったら接点が無かったんですよ。なんかドラムの高橋くんが<フジロック>の後に個人ブログでうちらのことを激推ししてくれてて、「何だコイツ」って思って(笑)。それでメールしたんですよ。
――お互いのバンドの印象はどんな感じですね。
ケンイチ:Yasei Collectiveは今日初めて見るので楽しみです。Tam Tamは先日のFEVERで観たんですが、素晴らしかったです。女性ヴォーカルのダブ・バンドって観たこと無かったんで。
松下:僕はどちらも大好きです。共通の知り合いからNINGEN OKのライヴ行ってみって言われてたので、FEVERで初めて観て。その前から動画はかなりチェックしていたんですけど。まあ久々にインスト・バンドで同世代で嫉妬しました。
ジュネ(Tam Tam):僕はNINGEN OKを<フジロック>の前に観てるんですよ。LAGITAGITAと知り合いで、O-WESTでZとかとやった時に。
ケンイチ :あー、3組でやりました。
ジュネ:どんなバンドか全然知らなくて。2人で出て来たかと思ったら。もうバッキバッキで。凄いカッコ良くて。すげー良いなーと思って、<フジロック>でも一緒だ! って思ってたんですけど、<フジロック>では観られなくて。また、FEVERでまたご一緒出来たんで凄いうれしかったです。
――3組ともライヴ・バンドだと思うんですけど、例えばNINGEN OKはリズム激しくてフィジカルな感じがありますし、Yasei Collectiveは転調が凄いあって、Tam Tamはレゲエ、ダブが基調にあるということもあり、3組ともリズム面にはかなりこだわりがあるのではないかと思うのですが、どうでしょうか?
ケンイチ:そうですね。僕らはリズムは半分以上なんで重視しているところがあります。曲作りはギターのリズムから作るんですが、スタジオ入ってからは両方(ドラムとギターのリズム)を合わせて生まれてくるという感じですね。
――Yasei Collectiveは変拍子もかなり入っていますよね。
松下:変拍子もかなり入ってるんですが、あんまり変拍子、変拍子ってのを僕らはやりたくなくて、聴いててちょっとオッドっぽいけど、なんか気持ち悪いわ~って感じのものを狙ってた時期が長くて、ただ今はもうちょっと緩い感じで。メロディありきになってきて、今はあんまりリズムを! って感じではないですね。
――元々はそういう意識があったけど、変わって来ているという感じですね。
松下:そうですね。
――Tam Tamは元々かなりダビーな感じでしたが、新しい音源を聴くとだいぶ変わってきているという印象があるのですが。
ジュネ:そうですね。リズム面も変わりましたね。ただ、あくまでヴォーカルありきのバンドなので、とはいえリズムは結構いろんなジャンルの要素をダブに通過させて「ダブだよ」っみたいな表現を下ではやってて、その上に乗って(ヴォーカルなどが)はじめてTam Tamの音になるという。
――ダブの意識は今でもあると。
ジュネ:もちろん(笑)。ダブでございます。
――NINGEN OKは元々デュオだったんですが、サポートのキーボードの方が入られましたけど、3バンドともキーボードが音楽的なアクセントになっているな、と思うのですが。
ケンイチ:実は最初はサキナはカホンとして入ってもらったんです。彼女にカホンを叩いてもらって、僕がドラムではなく鍵盤をまったり弾いて、ギターはアコースティック・ギターにして、ちょっと柔らかい曲をやろうかなって思ってたんです。ただ僕が鍵盤を全然弾けないんで、駄目出しを彼女にされて、なんか当たりが強いな~と思っていたら、その時彼女が弾けるってことが分かったんです(笑)。で、彼女をキーボードにしてスタジオで合わせてみたら、「あ、こっちの方が面白い」ってなったんです。
――では元々は弾けることはて知らなかったんですね。
ケンイチ:そうですね。偶然ですね。今は全くカホン叩いてないです。カホンの曲もないですし(笑)。
松下:キーボードの別所は僕の後輩で、元々はジャズ・プレイヤーだったんですが、バンドやろうよって誘って。最初はピアノしか弾かなかったんですけど、騙し騙し機材を買わせて笑。
――それでだんだん今のスタイルになっていったと。
松下:そうですね。今は彼のスタイルですね。それでいろいろなバンドでも弾いてます。
――Tam Tamは?
黒田:ともみん(キーボード)ですか。元々もうちょっとレゲエっぽい感じだったので、キーボードの役割は割と裏打ちが多いんですが、裏打ちのタイム感に関しては大学時代から彼は信頼されてます。元は規則的にリズムを弾くっていう感じだったんですけど、最近は広い意味でベース・ミュージックとか、そういう方向になってきたので、楽曲がシーケンシャルなものが多くなってきて。そこでともみんがフリーキーに動くというか、割とメロディ含みみたいな、リフを好き勝手に弾かせるみたいな方向に持ってくと、「ああ、良いね~」みたいなことが多くて。そういう風にともみんにお願いすることが増えてます。
――彼自身の作る楽曲は凄くメロディアスですよね。
黒田:そうですね。彼自身がクラブ・ミュージックに全然傾倒していなくて、もともとラテンとかカリプソとかが好きで、その辺のものが出て来ていると思うんですが、我々だと出ないというか。そういう部分はアクセントになっていますね。