その宿は、熱海駅からほど近い高台にある。わずか4室の宿泊施設『ATAMI 海峯楼』は、日本が世界に誇る建築家・隈研吾氏が設計を手がけたものだ。

もともとはある企業のオーナーが、大切なお客さまをもてなす迎賓館として1995年に建てたもので、これをカトープレジャーグループが譲り受け、2010年にラグジュアリーな宿泊施設として開業した。<水/ガラス>をテーマとし、海との一体化をはかったこの建物の魅力、そして、この非日常空間に滞在する醍醐味を探る。

建物全体に流れる「気」に惚れ込み、購入を決意

熱海駅から『ATAMI 海峯楼』までは、徒歩でも駅から10分強。徒歩にしろ、車にしろ、急な坂をのぼることにはなるが、起伏が激しく、坂道が多い熱海という街をのっけから体験できる。

新しい歌舞伎座やサントリー美術館、根津美術館などを手がけ、2020年オリンピックのメイン会場となる新国立競技場の設計にも携わる、隈研吾氏本人がこの作品に付けたタイトルは<水/ガラス>。
その名の通り、館内のいたるところに水とガラスをテーマにした演出が施されている。また、高台の上の立地をいかし、さまざまな場所から相模湾の眺望がのぞめるように工夫を凝らした。しかし、ほかの建物とは異なる独特のオーラを放っているもものの、その外観からは、<水/ガラス>をテーマにした建築物だとはわからない。建物に足を踏み入れて初めて作品の世界観を“共有“できる。そして、何度か感嘆のため息をもらすことになるのだ。

海、空、建物が一体となる幻想的な空間、隈研吾が手がけた「水とガラスの城」へ art180328_atamikaihourou_1-1200x801

カトープレジャーグループの代表、加藤友康氏は、立地、デザイン、そして、建物全体に流れる“気”に惚れ込んだのだという。宿泊施設のオープンにあたり、ほとんど手を加えていないという。

宿泊は1日4組限定。一度は訪れたい『海峯楼』の全客室&館内の魅力を紹介!

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Text:Aya Hasegawa
Photos:大石隼土