赤字を出せば即解散…落ちこぼれ軍団「劇プレ」の逆襲！？

サザンオールスターズや福山雅治、Perfumeなど、音楽業界の第一線で活躍するアーティストが数多く所属し、佐藤健、三浦春馬、野村周平など、若手男性俳優の層の厚さでも知られている大手芸能事務所〈アミューズ〉。

その〈アミューズ〉に「劇団プレステージ」という集団が所属しているのをご存じだろうか？　

TVドラマや舞台で主演を張るアミュメン達を横目に、地道に歌とダンスを織り交ぜたコメディ路線のエンタテインメントを続けてきた、男だらけ20名の劇団だ。始まりは2005年。〈アミューズ〉でくすぶっていた、そこそこのイケメンたち（そうでない人も含む）を集めて結成。劇団公演で赤字を出したら即解散、という条件を飲んだ彼らは、人気も予算もないところからチケットを手売りし、バイトで生計を立てながら劇団業務をこなすという（音楽制作や映像編集まで！）過酷すぎる状況の中、小さな会場から地道に公演を行ってきた。

演出には空想組曲のほさかようや劇団スーパー・エキセントリック・シアターの大関真など、小劇場界の第一線に立つ演出家を起用し、配役は厳正な劇団内オーディションで決定。だから作品はどれも、観客が芝居に心動かされる瞬間が実感できるものになっている。そして劇団公演で5000人を動員するまでになった。

そしてついに！　次に行われる第10回劇団公演で、8月12日（水）からの東京公演に先立ち、念願の大阪公演を敢行！　だが、初の大阪公演なのに諸般の都合で大きい劇場で公演を打つことに……。総動員数は前回公演の倍近くを目指さなくてはならない。赤字を出せば劇団は即解散……。賭けに勝てば一つ上のステップに行けるけど、負ければ劇団は消滅する瀬戸際に立たされている。その勝負の演目に選ばれたのが、2012年に上演された作品『Have a good time？』だ。

デビューして10年目なのに鳴かず飛ばずで30歳を過ぎたC級アイドル「東京オードル」。そのメンバーが、マネージャーの言葉を信じて最後の賭けに出るという脚本は、なかなか芽が出ず苦戦していた、当時の「劇団プレステージ」の様子に重ねて書かれたものだったとか。

芝居と現実が重なり合ってパワーが生まれたのか、この作品から「劇団プレステージ」は動員数をぐっと伸ばした。そして今、再び劇団存亡の危機に直面して、『Have a good time？』を上演することを決めたメンバー。作品に対する自信と「ピンチをチャンスに変えてやる！」という思いが感じられる。

そんな右肩上がりの「劇団プレステージ」がこの夏、大勝負に出る！

メンバーたちは「劇団プレステージを広め隊」を結成。1人でも多くの人に作品を観てもらうため、劇団ツイッターのQRコードを貼ったTシャツを着て渋谷や原宿、下北沢などで、足で稼ぐ宣伝活動を展開。また＜劇・プレ博2015 ～初夏の広報戦略～＞と題した、“劇団プレステージ”の公演に来たことがないお友達や家族を連れてくることが条件の、無料イベントも7月4日に急遽開催決定！　全劇団員がチケットを手売りしていた頃のように、劇団存続のがけっぷちで必死に活動している。

もしかすると、これが最後の公演になるかもしれない「劇団プレステージ」。だが、解散しようとしまいと、作品は劇団の集大成となること必至！　マイナスのところから、逆転に逆転を重ねてここまで来た男たちは、この劇団で芝居を続けることができるのか？　その結末をぜひ劇場まで見届けてほしい！

劇団プレステージ 第10回本公演告知

edit by Qetic