件の奇妙な事件があったのは、第二次世界大戦の真只中。日本軍がパールハーバーを攻撃してから3ヶ月ほどの時期で(その2週間前には日本軍によって西海岸の大きな油田が破壊されるという事件もあったそうだ)、カリフォルニア周辺のエリアには「いつ何が起きてもおかしくない」という緊張感と陰鬱なムードがあったのだという。

そうした当時のカリフォルニア周辺を覆っていた陰鬱としたムードを、同じ時代のフィルム・ノアール(1940年代前半から1950年代後期にかけて、主にアメリカで製作されたクライム・ムービー)と結びつけ、コンテンポラリー・アートして発展させたのが、この<WEAPONS>のコンセプトである。

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ジェフ・ミルズ本人はもちろん、スタッフもフィルム・ノアールを意識したレトロなスーツを着用。モノクロームで影やコントラストを多用した色調、そして息が詰まるような行き場のない閉塞感……、会場を歩くと、まるでフィルム・ノアールの世界に迷い込んでしまったような感覚に陥った。どれもがコンセプチュアルで興味深い展示だったが、とくに目を引いたのは『トゥモロー+X』という作品。これはリズムで不安な気持ちを表現した作品だそうで、このプロジェクトのために3年(!)の年月を費やし作曲した計44曲の楽曲を白いヴァイナル・レコードに刻み、五線譜にみたてた金属製のホルダーにリズムのように配置したのだという。

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『トゥモロー+X』

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