■「社会は“大人のごっこ遊び”かもしれない」
「ある時期から、社会が“大人のごっこ遊び”にしか見えなくなったんです」と話すのは、地獄茶会の鍵になる、重要な役回りを演じられたAyAkoさん。亭主の藤本さんとは姉妹であり、海外のビエンナーレなどにも出演しながら表現者として活動されています。
「みんな“サラリーマンごっこ”とか、“銀行員ごっこ”を【社会という大きな遊園地】で勤しんでいるだけ、というような……。そんな風に、自分には見えるようになりました。それなら真剣に“遊び”を突き詰めようじゃないか、と思ったんです。茶席の途中、参加者から『大人が本気で、遊んでる感じがします』という感想が聞こえて『やった!』と、とても嬉しくなりました」と、<地獄茶会>そして<劇場茶会>への想いを語ってくださいました。
左)手際よい藤本さんのお点前 右)供されるのを待つお茶
お茶がふるまわれる
藤本さんからは以下のようなお話もありました。
「“地獄草紙”という作品が地獄に親しむようになったきっかけです。人間の姿は貧弱に描かれているのに、鬼などのあちらの世界の方々はとてもイキイキと描かれていて面白かったですね。
それから地獄というものを考えるようになり、衣装作品として地獄草紙をモチーフにしたものも作成しました(※藤本さんのWebサイトでご覧いただけます)。
人の思う“地獄のかたち”はいろいろと思いますが、そこには私たち日本人が共通して持っているものがある気がします。西洋のものとはまた違う、そのようなものや毎日の生活に思いを巡らせつつ、みんなで楽しもう! というのが<地獄茶会>であり、<劇場茶会>なんです」
一言一言確かめるように、それでいてはっきりとした話しぶりがとても印象的でした。
地獄の雰囲気を醸し出すキャンドル