現在日本の人口は約1億3,000万人。世界全体の人口となると約70億人以上にものぼる。そして、その数と同じだけの性格、外見、人生、物語がある。人間に限定しなければどれだけの生命があるのだろう……ひっくり返っても想像が及ばない、莫大な数の異なる生命がこの地球上に存在している。しかし、どうしてもわかり合えないあの人と私の間にも、ペットの犬と家に巣くうゴキブリの間にも、全てに等しく訪れるものがある。それは「死」だ。
「死ぬとどうなるの?」——そんな疑問を誰しもが抱いてきたが、実際どうなるかなんて誰にもわからないし、いくら考えたって答えは出ない。その上、考えている間に実体のない恐怖感に襲われて、なんだか心細くなってしまう。だが、わからないからと思考を停止させるのではなく、「死」を考えることによって「生」をより輝かせることができるのではないだろうか。
5月16日(金)よりパルコミュージアムで開催される<かないくん展>では、松本大洋が描いた絵本『かないくん』の原画とラフスケッチ、未公開の「本番とは別バージョン」の絵の展示を中心に、「死ぬとどうなるの」をテーマにした展覧会を行う。さらに『かないくん』の文を書いた谷川俊太郎さんの死に関する詩の展示も行い、ビデオインタビューや『かないくん』グッズの販売、トークイベントも開催する。
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©Shuntaro Tanikawa+Taiyo Matsumoto 2014,Printed in Japan
幼少期の経験を元にして一晩で綴った谷川俊太郎の文と、その詩に寄り添うように2年の歳月をかけて描かれた松本大洋の絵。彼らの想いがかたちとなった絵本『かないくん』がまた別の形として表現される。生きている誰もが最終的に行き着く場所=“死”。普段は避けてしまうこのテーマに対して、やわらかなタッチで描いた『かないくん』を通じて今一度想いを巡らせてみてはいかがだろうか。
text by Akane Ishida(Qetic)
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