今年で6年目を迎える電子音楽とデジタルアートの祭典<MUTEK.JP>が12月8日(水)〜12日(日)の5日間、「日本科学未来館ドームシアター」「LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)」「渋谷ストリームホール」で開催される。

今回もプログラムには、最新テクノロジーと気鋭の芸術家によるパフォーマンスやイベントがラインナップ。イベント初日から、カナダ・モントリオールに拠点を置くアートセンター・Society for Arts and Technology(SAT)がキュレーションしたオーディオビジュアル5作品の上映や、「第22回文化庁メディア芸術祭 審査委員会推薦作品」に選出されたSynichi Yamamoto+Seiichi Sega&Intercity-Expressによるオーディオビジュアル作品の3D映像によるスペシャルライブといった最先端かつセンセーショナルな試みが繰り広げられる。

本記事では、注目プログラムをQeticでの取材記事や関連動画とともに紹介! 直前に控えた<MUTEK.JP>の予習としてもぜひ活用してほしい。

<MUTEK.JP>
2021.12.8(WED)-12(SUN)

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12.9(THU)
<A/Visions2>
Marihiko Hara & Ryo Shiraki

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原摩利彦
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白木良

今年のラインナップのなかでも必見のパフォーマンスが、音楽家・原摩利彦による<A/Visions2>だ。今回、ピアノ、シンセサイザー、弦楽アンサンブルに加え、ペルシャの楽器サントゥールを導入した特別編成でのライブコンサートが執り行われる。

本プログラムは、プログラマーの白木良が手がける映像も見どころのひとつだ。ともにアーティスト・コレクティブDumb Typeに参加するふたりは、さまざまな場面で共演を果たしてきた。今年開催されたアートフェスティバル<ALTERNATIVE KYOTO−もうひとつの京都−>でも、ともにオーディオビジュアルインスタレーションを制作。また、彫刻家である名和晃平の展覧会<名和晃平「TORNSCAPE」>のサウンドスケープとプログラムを共同で手がけるなど、互いに作家性を通わせてきた。そんな両者によって、今回新たにどんなシナジーが生まれるのか期待が高まる。

JUNYA WATANABE Spring / Summer 2020

JUNYA WATANABE COMME des GARÇONSがパリで発表した2020年春夏コレクションのショーにて、原摩利彦が音楽を担当。

《Altered Perspectives》原摩利彦+白木良

京都府のアートフェスティバル<ALTERNATIVE KYOTO−もうひとつの京都−> 元伊勢籠神社にて、原摩利彦と白木良によるオーディオビジュアルインスタレーションを披露。

また今回のライブでは、サントゥール奏者の岩崎和音も参加。テヘラン大学で最優秀国際学生賞を受賞し、<日・イラン国交樹立90周年記念式典>での演奏など、テヘランや日本国内各地で演奏活動を行う期待の音楽家だ。他にも、UA、蓮沼執太フィルなどで活躍する千葉広樹(コントラバス)や、宇多田ヒカルの“真夏の通り雨”をはじめ、さまざまなレコーディング・ライブに参加する須原杏(バイオリン/ビオラ)、そしてザ・なつやすみバンド、ceroなど多数アーティストと共演する関口将史(チェロ)、角銅真実のアルバム・ライブ参加などで活躍する巌裕美子(チェロ)といった豪華な面々もステージに登場する。

Qeticでは過去に、原摩利彦の楽曲“Passion”のミュージックビデオ撮影に密着したレポートを実施。本ミュージックビデオは俳優・森山未來がダンサーとして参加したことでも話題となった作品だ。原摩利彦の魅力の一端に触れられる本レポートをチェックすれば、<A/Visions2>でのパフォーマンスへの期待もいっそう膨らむはずだ。

12.9(THU)
<A/Visions2>
Antibodies Collective

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Antibodies Collective

<A/Visions2>が実演される12月9日(木)には、ダンサー・東野祥子と現代音楽家・カジワラトシオが率いる京都拠点のパフォーマンスアーティストコレクティブ・Antibodies Collectiveによる舞台芸術作品『あらゆる人のための、誰のためでもない世界』も劇版として披露される。本公演は、淡路島の巨大工場にて発表した作品を劇場空間に再演出するというもの。淡路島での公演にも参加したケンジルビエン、吉川千恵、矢島みなみ、加藤律、ミナミリョウヘイ、尾身美苗、菊池航、鈴木春香、泊舞々、鶴家一仁が本公演にも登場し、アバンギャルドなダンスパフォーマンスで魅了する。

また追加ラインナップとしてコムアイがダンスパフォーマンスに参加することも話題に。YAKUSHIMA TREASUREのメンバーとして、鹿児島県の世界自然遺産「屋久島」にインスピレーションを受けた音源やライブを展開している。近年は民謡や能といった日本の伝統芸能、さらにはミャンマーなど海外の民族音楽への関心を煽る活動を続けている彼女だけに、エキゾチックなダンスでオーディエンスを異世界に誘ってくれるはずだ。

本公演で映像を担当する斉藤洋平(rokapenis)は、大阪・東京のアンダーグラウンドシーンでVJを務め、world’s end girlfriend、DÉ DÉ MOUSEといったアーティストたち、そして鬼才KILLER-BONGを擁するレーベル〈BLACK SMOKER RECORDS〉の専属VJとしても活動。他にも、UKの名門〈FAT CAT〉からデビューを果たしたCOM.Aや、青葉市子とGEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポーによるユニットNUUAMMをはじめ、多くのミュージシャンのミュージックビデオも手がけている。そんな斉藤洋平が、Antibodies Collectiveとのタッグでどのような映像表現を見せてくれるのか。さらに本公演では、12月11日(土)の<Nocturne 2>にも出演する日野浩志郎が音楽を手がけており、<Nocturne 2>とは異なったアプローチを見比べることができるのも楽しみ方のひとつだ。

ANTIBODIES Collective『抗う体』

Antibodies Collectiveによる山形ビエンナーレ2020『いのちの学校』 出品作品。

entrance : COM.A x rokapenis

2020年には、エレクトロニック・ミュージックシーンの奇才・COM.Aとのコラボレーション動画を公開。

12.11(SAT)
<Nocturne2>
YPY(日野浩志郎)

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日野浩志郎

そして、12月10日(金)、11日(土)、12日(日)の3日間は「渋谷ストリームホール」で、オーディオビジュアル、サウンドインスタレーション、アンビエント/エクスペリメンタルミュージックのライブパフォーマンスを大音量&スタンディングで堪能できるイベント<Nocturne>が開催される。12月11日(土)の<Nocturne 2>では、日野浩志郎によるソロプロジェクトYPYのライブに加え、今年デビューアルバム『Orca』をリリースしたミュージシャン・NTsKiと映像作家・Saeko Eharaのコラボレーションライブが実現することに。

バンド・goat、bonanzasのプレイヤー兼コンポーザーとしても活躍する日野浩志郎は、クラシック楽器と電子音を融合させたハイブリッドオーケストラ「Virginal Variations」や、 全身聴覚ライブ「GEIST(ガイスト)」の作曲・演出も手がける音楽家だ。今年Qeticでは、日野浩志郎が佐渡島の太⿎芸能集団 ⿎童とコラボレーションを果たした映像作品『戦慄せしめよ』の対談を実施している。

当時、日野浩志郎は自身の音楽がクラブミュージック的な解釈をされることに対して、「快楽的に受け止められることについての葛藤は一切ない。僕自身、快楽に忠実に作っているつもり。でも、それは自分にとっての快楽であって、最優先するのはお客さんではなく自分。誰かに合わせるのではなく自分がまず楽しめるものでないとクリティカルなものは作れないと思っている」と音楽に対する捉え方やアプローチについて語っていた。本イベントのライブでも、ダイナミックな音響が体感できる<Nocturne>ならではのパフォーマンスに期待したい。

12.11(SAT)
<Nocturne2>
dhrma&Yuki Ishida

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dhrma
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Yuki Ishida

さらに、12月11日(土)には、ビジュアルプログラミングのワークショップ・イベントを開催しているクリエイターコミュニティ、TDSW (Tokyo Developers Study Weekend) のキュレーションによりMasayuki Azegami&komakinex、dhrma&Yuki Ishidaの2組がオーディオビジュアルライブで参加。

今回注目したいのが、ともに1996年生まれの新鋭アーティストdhrma&Yuki Ishidaのふたりだ。スウィングしたブーンバップスタイルを主に、インダストリアルなビートメイクでも定評のあるビートメイカー/ラッパーのdhrmaと、リアルタイムレンダリングを用いた表現手法で藤井風やPUNPEEのライブステージ演出のほか、ミュージックビデオ・VJ・インスタレーション・ARなど多岐に渡る映像制作を行うYuki Ishida。各方面でプロップスを得るユースの旗手ふたりが、今回の初共演でどんな化学反応を生み出すのか必見だ。

また今年Qeticでは、dhrma、荒田洸(WONK)、SILENT KILLA JOINTの鼎談を実施。フライング・ロータス(Flying Lotus)やマッドリブ(Madlib)といったLAビートシーンを代表するアーティストの影響や、自身のビートライブのスタイルについても語られている。日本のビートシーンの在り方を模索する彼が、Yuki Ishidaとともに体現する新たなビートライブは見逃せない。

TRY-ANGLE vol.23 dhrma LIVE SHOW “TRY-ANGLE SP BEAT LIVE”

配信映像プロジェクト「TRY-ANGLE」にて行われたdhrmaのビートライブ

CHAUSIE02 – Digest @ Misono Universe, Osaka | Feb, 2021

大阪・味園ユニバースで行われたCOSMIC LABによるXR AudioVisual ショーケースにYuki Ishidaが参加

▼関連記事はこちら
鼎談:dhrma×荒田洸×SILENT KILLA JOINT|日本のビートシーンに期待するクロスオーバー感

12.10(FRI)-12(SUN)
<SHIBUYA RIVERSIDE DIGITAL ART WALL>
中山晃子

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12月10日(金)〜12日(日)の3日間、渋谷ストリーム前の渋谷川にプロジェクションマッピングで没入体験できるアートインスタレーションが実施されることに。渋谷川に映し出される作品には、2022年夏公開予定の、名画の世界に没入する美術館「IMMERSIVE MUSEUM(イマーシブミュージアム)」の印象派からダイジェスト映像が初公開される。さらに、VJとしての活躍だけでなく、液体から固体までさまざまな材料を相互に反応させて絵を描く「Alive Painting」シリーズを手がける画家・中山晃子が、池袋西口公園「Global Ring」のために制作した作品を改変した特別編集版を披露する。

中山晃子はこれまでにも色彩の差異を即時的に画像解析させてデジタル処理することにより、音を発生させるカラー・オルガン・システム「Fluid2wave」をエンジニアと共同開発し、音と絵を同時に奏でるソロ・パフォーマンスを実施。くわえて、GEZANと不破大輔(渋さ知らズ)とのコラボレーションや、アルス・エレクトロニカをはじめ海外のアートフェスでもパフォーマンスを披露するなど表現活動は多岐にわたり、彼女の深淵な世界観は国内外で評価を集めている。

昨年の<MUTEK.JP>では、ピアニスト・Eiichi Sawadoとのコラボでライブペインティングを渋谷ストリームホールで披露。今年は屋外のインスタレーション作品となり、また違った世界観が堪能できるはずだ。

MUTEK.JP 2020 – Eiichi Sawado&Akiko Nakayama live A/V

デジタルアート・メディア芸術・オーディオビジュアルライブといった最先端のテクノロジーを用いた表現や、音楽ライブ・ダンス・ワークショップのような身体性を想起させる体験と共存する<MUTEK.JP>。今年も本イベントならではのユニークでカッティングエッジな世界観が味わえる内容に。気になったプログラムをはじめ、他にも新しい発想と表現を追求するコンテンツがさまざま披露されるので、ぜひ現地で体感してほしい。

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INFORMATION

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MUTEK.JP 2021 Edition 6

2021年12月8日(水)〜12日(日)
日本科学未来館ドームシアター/LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)/渋谷ストリーム ホール
¥12,000(100枚限定)
※12月9日(木)〜12日(日)までの公演すべてに入場いただけるパスポートチケット
※12月8日(水)の「日本科学未来館ドームシアター」にはご入場いただけません。
文化庁委託事業「令和3年度戦略的芸術文化創造推進事業」
主催:文化庁、一般社団法人MUTEK Japan 特別協賛:東急株式会社 後援:日本科学未来館、ケベック州政府在日事務所

MUTEK.JP 2021[A/Visions1](1部公演)
2021年12月8日(水)
OPEN 18:30/CLOSE 19:15
日本科学未来館ドームシアター
ADV ¥2,000/DOOR ¥3,000
上映作品:
Axel Helios [CA/QC] – Drichtel
Baron Lanteigne & Bobby Tank [CA+UK] – Anthologie Desaxismundi & Terminal Wolf [CA/QC] – Inertia
Past Video & Deathvox [CZ+DK] – C0R3-C0LL4PS3 susy.technology [CA/QC] – Indivisible

MUTEK.JP 2021[A/Visions1](2部公演)
2021年12月8日(水)
OPEN 20:15/CLOSE 21:00
日本科学未来館ドームシアター
ADV ¥2,000/DOOR ¥3,000
出演:
Synichi Yamamoto + Seiichi Sega & Intercity-Express[JP]- Noesis (2021version) – LIVE

MUTEK.JP2021[A/Visions2]
2021年12月9日(木)
OPEN 17:30/START 18:30/CLOSE 20:30
LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
ADV ¥4,500/DOOR ¥5,500
出演:
Marihiko Hara & Ryo Shiraki [JP](Cb: Hiroki Chiba, Vn: Anzu Suhara, Vc: Masabumi Sekiguchi, Vc: Yumiko Iwao,
Santur:Kazune Iwasaki)
Antibodies Collective[JP]-『あらゆる人のための、誰のためでもない世界』

MUTEK.JP2021[Nocturne1]
2021年12月10日(金)
OPEN 18:00/START18:30
渋谷ストリームホール
ADV ¥3,500/DOOR ¥4,500
出演:
Saskia,Kana Kitty & Yumi Sagara,HitoshiSato[JP]-ロウLemna&Kaori Yasunaga [JP]
Wata Igarashi [JP] – FLOW
JACKSON kaki[JP]

MUTEK.JP2021[Nocturne2]
2021年12月11日(土)
OPEN 18:00/START 18:30
渋谷ストリームホール
ADV ¥3,500/DOOR ¥4,500
出演:
YPY[JP]
NTsKi&Saeko Ehara[JP]
Masayuki Azegami&komakinex[JP]
dhrma&Yuki Ishida[JP]

MUTEK.JP 2021 [Nocturne 3]
2021年12月12日(日)
OPEN 18:00/STRAR 18:30
渋谷ストリームホール
ADV ¥3,500/DOOR 4,500
出演:
Aalko aka Akiko Kiyama [JP]
Chihei Hatakeyama & Seiichi Sega [JP]
Masayoshi Fujita [JP]
Phew[JP]

SHIBUYA RIVERSIDE DIGITAL ART WALL
2021年12月10日(金)〜12日(日)
OPEN 18:00〜22:00
渋谷ストリーム前 稲荷橋広場〜金王橋広場間
上映回数:1時間に3回上映
プログラム:1回約15分(毎時00分、20分、40分)
無料
作品:IMPRESSIONISM -IMMERSIVE MUSEUM-、RAIN FOREST -Akiko Nakayama-
主催:株式会社ドリル、一般社団法人MUTEK Japan
協賛:東急株式会社
後援:渋谷区
協力:中村展設株式会社、株式会社ラディックス

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