2012年にパリ・シャトレ座で上演されたオペラ<オルランド>のアートディレクションで高い評価を得た新進気鋭のフランス人作家、ニコラ ビュフの美術館における初個展<ニコラ ビュフ:ポリフィーロの夢>が4月19日(土)- 6月29日(日)までの期間、東京の原美術館にて開催されます。

パリ生まれ東京在住のビュフは、ルネッサンスやバロックなどのヨーロッパの伝統文化と、子どもの頃から夢中になった日本やアメリカのマンガやアニメ、ビデオゲームなどのサブカルチャー、すなわち西洋と東洋、伝統と現代を融合した、壮麗で軽やかな作品に取り組んでいます。その制作は美術のみならず、舞台、ファッションなど多くの分野からも注目を集めており、日本でも「コム デ ギャルソン・シャツ」14-15AWコレクションにてグラフィックを提供し話題になりました。

「ユニコーンの皮」2010年、オービュッソン国際タペストリー研究所のための織物プロジェクト ⒸNicolas Buffe

この展覧会で、ビュフは、ヨーロッパの古典と和製ロールプレイングゲームの世界観に類似性を見出し、主人公である少年ポリフィーロの冒険を通し、夢と愛、闘いと勝利、死と再生という、普遍的なテーマが提示されます。

「黄金時代」2008年、東京都現代美術館「屋上庭園」展における展示風景 ⒸNicolas Buffe

主に壁画と立体作品を組み合わせた大型インスタレーションで構成される本展では、さらにAR(拡張現実)の技術を用いて鑑賞者が仮想空間で甲冑をまとうことのできるインタラクティブなマルチメディアインスタレーション、屋外の大型インスタレーションを含み、美術館全体をファンタジーの世界に変える異色の試みを行います。現代版冒険活劇とも言える世界へ観客を誘うインスタレーションは必見です!

本展イメージビジュアル2014年 ⒸNicolas Buffe

本展インスタレーションのための習作2014年 ⒸNicolas Buffe

「ノーマンズランドの門」2009年、フランス大使館旧庁舎「ノーマンズランド」展における展示風景 ⒸNicolas Buffe

「オルランド」 ポスター 2012年 ⒸNicolas Buffe

プロフィール:ニコラ ビュフ
ニコラ ビュフは、2012年3月にパリ、シャトレ座で上演されたオペラ<オルランド パラディーノ(騎士ロラン)>の総合的なアートディレクションを担当しました。ヨー ロッパの伝統的な美意識と日本やアメリカ由来のサブカルチャーとを見事に融合した仕事が高く評価され、評論家協会から同年の演劇・音楽・ダンス部門で のビジュアルデザイン最優秀賞を受賞し、一躍時の人となります。1978年にパリで生まれたビュフは、日本においては銀座メゾンエルメスのウィンドウディスプレイ「赤ずきんのカレちゃん」(2010年)、フランス大使館旧庁舎での グループ展<No Man’s Land(ノーマンズランド)>(2009年)のためのゲート制作や、東京都現代美術館でのグループ展<屋上庭園>(2008年)に参加している 新進気鋭のアーティストです。幼少期、パリでテレビ放映され夢中になった「宇宙刑事ギャバン」が、実は日本で製作された実写特撮番組であるこ とを後に知ったビュフは、日本への興味を強くかきたてられ、日本語や日本文化を勉強し、ついには活動拠点を東京に移し現在に至ります。マンガやアニメは現代日本が世界に誇る文化ですが、その影響を遠くフランスで(輸入された文化である認識さえもない)子どもの頃から受けて成長したアーティストは、それを咀嚼し、自身が本来持つ文化的背景と融合させることで独自の表現を生み出しました。

Event Information

ニコラ ビュフ:ポリフィーロの夢

会期:2014年4月19日(月)-6月29日(日)@原美術館
時間:11:00−17:00(水曜日は20:00まで/最終入館は閉館時刻の30分前まで)
休館日:月曜日(5月5日は開館)、5月7日
入場料:一般 ¥1,100、大高生 ¥700、小中生 ¥500
※原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料/20名以上の団体は1人¥100引き