アメリカで刊行したプリンス(PRINCE)の評伝『This Thing Called Life: Prince’s Odyssey, On and Off the Record』(2020年10月)の待望の日本語訳が6月30日(木)に発売。
プリンス(PRINCE)評伝、待望の日本語訳が発売
本書は、ロックオペラ「3 Chains o’Gold」を共作した、元ローリングストーン誌・ジャーナリスト、ニール・カーレンが執筆。発売当初アメリカで大変話題になり「2020年秋回顧録・伝記トップ10」(Publisher’s Weekly)に選出された一冊だ。
音楽史における唯一無二の男、プリンス。公式発表されたアルバムは43枚、そのトータルセールスは1億5千万枚。7度のグラミー賞受賞、2004年にはロックの殿堂入りを果たすなど、その功績は正に偉大だ。一方で、インタビューなどは少なく、その人柄は謎のベールに包まれている。これまでプリンス自身がその少ないインタビューにおいてでさえ真実を語ってきたとは言い難く、彼に関する情報は、断片的でまことしやかなものがあまりにも多い。
本書ではそんなプリンスの本質に迫るべく、著者のニール・カーレン独自の記録以外にプリンスの両親、バンドメンバーを始めとする関係者の証言、既出の情報をまとめ上げ解釈を試みた一級品の伝記となっている。
プリンスはインタビューにおいて、録音、メモなどの記録を禁じた。そこでニールがとった行動は、正確な情報を記録するために、頻繁にトイレに行きトイレットペーパーにメモをしたという。本書執筆にあたってはニールがこのようにメモした大量のトイレットペーパーやインデックスカード、録音したが記事にしなかった情報をもとに気の遠くなる作業を経て執筆された。本書ではプリンス・ロジャー・ネルソンという個人がPOPアイコンとしてのプリンスを如何にして作り上げていったのか、そしてPOPアイコンとしてのプリンスと個人としてのプリンスとどのように折り合いを付けていったのか、愛憎入り交じった父親との関係、レコード会社との軋轢、マイテ・ガルシアとの結婚、程なく生まれた子どもとの死別、エホバの証人への入信など、プリンスの核心とも言える部分を著者独自の視点で解釈している。
彼についての書籍は多く刊行されているが、ここまで繊細で多才なアーティストの側面を愛情深く、丁寧な作業で捉えた書籍があるだろうか。ぜひこの機会に「プリンス」というアーティストを深く掘ってみてほしい。
RELEASE INFORMATION
プリンス FOREVER IN MY LIFE
2022年6月30日
著者:ニール・カーレン/著 大石愛里/翻訳
¥3,190
判型:四六判
頁数:544ページ
ISBN:9784491048482
発行元:東洋館出版社